弱い消散構造を持つ偏微分方程式系における安定性理論の新たな展開
Project/Area Number |
21KK0243
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 好寛 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (50534856)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,470,000 (Direct Cost: ¥11,900,000、Indirect Cost: ¥3,570,000)
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Keywords | 安定性解析 / 分散構造 / 偏微分方程式論 / 消散構造 / 微分方程式論 |
Outline of Research at the Start |
基盤研究(C)にて採択中の研究課題は「消散構造を持つ非線形偏微分方程式系における安定性理論の構築」である.基課題では,流体力学や弾性体力学など様々な分野に現れる,消散構造を持つ非線形偏微分方程式系における解の挙動を解析することが目的であり,現在順調に研究を遂行中である.一方,本申請内容となる国際共同研究では,極めて脆弱な消散構造やその引き金となる分散性に着目し,これまでの研究で扱った方程式系よりも解析が困難と思われる偏微分方程式系の解の挙動を解明することで,方程式系に内在する消散構造の体系的な分類を行うことが大きな目標となる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気体力学や弾性体力学に起因する微分方程式に関する数学解析を主な目的としており、対称双曲型方程式系や双曲ー放物型方程式系など一般の偏微分方程式系に関する安定性理論の構築を目指している。特に、これまでに知られていた消散構造よりもより弱い構造を持つ偏微分方程式系の安定性解析が主な研究課題であり、その解析のためには消散性だけではなく分散性に着目することが必要となる。一般論構築のためには具体的な物理モデルの数学解析が必要不可欠であり、ブラズマ流体力学におけるEuler-Maxwell方程式系や量子流体力学におけるQHD方程式系・Euler-Kortweg方程式系などを取り上げながら、方程式の持つ消散構造と分散構造の関係性に着目することで研究を進めている。 令和5年度は、本研究課題の基盤を構築するために、Gran Sasso Science Institute(GSSI)のPierangelo Marcati氏やPaolo Antonelli氏らと共に分散型の方程式系の持つ分散構造の解析と、これまでの研究課題であった消散構造の解析結果との比較検討を行った。これら二つの構造に関しては性質が大きく異なっており、その性質を互いに壊すことなく保持できるかが現在の研究内容の論点である。 また、情報収集のためにも国内外の学会等へ積極的に参加しており、研究発表も可能な限り行うようにしている。今回は8回の招待講演を行なっており、5回の国際研究集 会を含んでいる。また、国内滞在中には神戸大学での定期的なセミナーも開催しており、これらの場での意見交換・討論を通じて今後の研究の指針を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、多くの線形物理モデルを題材として方程式系の持つ分散構造の解析と消散構造との比較検討を行った。自身による研究によって消散構造に関しては多くの知見が得られているが、分散構造に関してはまだ不明な点も数多く残っている。よって、分散型方程式の専門家であるGran Sasso Science Institute(GSSI)のPierangelo Marcati氏やPaolo Antonelli氏らと共に、QHD方程式系などを用いて解析を進めた。また、分散構造が一般の方程式系でどのように表現できるかを特徴付けるのが今後の課題であり、その方針についても現在討論を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、分散構造の解析と消散構造との比較検討を進めていく予定である。また、それぞれの解析が順調に進んだのち、それらを組み合わせることでより精度の高い構造解析を行うことが大きな目標である。具体的には、偏微分方程式系に対応する固有値の実部だけではなく、虚部からも得られる解の性質を抽出することが大きな論点になると予想され、それらの解析が成功すると、これまでにはなかったより詳細な解の評価ができると考えられる。これら考察は今までにない研究内容であり、もし成功すると大変意義のある結果が得られることとなる。また、一連の解析によって具体的な物理モデルへの適用も期待され、より煩雑なモデルの安定性解析の一助となることが期待される。さらに、これらの解析を基に非線形偏微分方程式系への応用を進めることも今後の一つの目標である。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)