Project/Area Number |
21KK0252
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅沼 春彦 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (10757298)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,470,000 (Direct Cost: ¥11,900,000、Indirect Cost: ¥3,570,000)
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Keywords | メタ構造 / バンドギャップ / 振動発電 / 圧電 / 連成解析 / 周期構造 / 圧電振動ハーベスタ / バンドエンジニアリング / ワイドバンドギャップ / 非線形回路 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,構造物上に圧電型の振動ハーベスタを周期配置して,発電と振動抑制を可能にするスマート構造の実現を目指す.スマート構造は半導体の周期構造と類似したバンドギャップを形成して,発電と振動抑制の両立を可能にする.研究代表者の振動ハーベスタと非線形発電回路を連成解析する技術と海外共同研究者が独自開発した構造解析法を統合した新しいマルチフィジックス解析法の開発に取り組み,汎用的な構造解析・設計法を確立してワイドバンドギャップを発現する周期構造の解明を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造上に圧電型の振動発電素子を周期配置して振動抑制と発電の両機能を実現するスマート発電メタ構造の基礎を構築するため、海外共同研究を実施した。 発電回路を含む電気系とメタ構造の機械系の連成解析法を構築し、前年度の初期検討の結果を踏まえ、当該年度はより大型の片持ち梁構造を作製して解析の妥当性の検証と振動モードトラップ現象の観測に取り組んだ。解析で予測された周波数帯域にバンドギャップが形成されて振動が抑制される事、無線センサノードの駆動に十分な発電量が得られる事を実験で確認した。一方、試験構造の大型化により振動ノイズの影響が強くなり解析との正確な比較が困難になった事、また、振動モードトラップ現象の観測には数10チャンネルの電圧計測が必要である事が分かってきた。これらの課題は実応用でも問題となる為、本年度にその解決に取り組む。 また、1次元の梁構造で得た知見を2次元の平板型メタ構造に拡張し、FEM解析から振動発電素子の配置の構造対称性と振動抑制性能及び発電量との関係の解明に取り組んだ。構造対称性として基本の正方格子と六方格子を取り扱い、その振動抑制性能及び発電量を解析から比較した。その結果、振動波が一方向から入射される場合は正方格子がより優れた性能を有する事が分かった。今後、実際に平板型メタ構造を製作して解析と実験の比較評価を実施する。 また、振動発電素子と無線センサノード内の電気二重層コンデンサの特異な充電特性を解明する数値解析法を考案した。解析から、振動発電の緩やかな充電速度が電気二重層コンデンサ内の寄生容量の充電を誘発し、それが充電特性に影響する事を解明した。この現象の解明は学術と実用の両面から重要で、その成果をまとめた論文が審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外共同研究により、提案メタ構造の設計の基礎となる解析技術の構築には凡そ成功し、それを基に解析の妥当性を実験により検証した。また、学術的に重要な振動モードトラッピング現象の実験による観測を目指し、長さ1メートルほどの片持ち梁構造を製作した。しかし、比較的大型の構造物であるため、解析では考慮されない加振装置や環境のノイズの影響を強く受け、解析との比較評価が難しい状況となった。また、振動モードトラッピング現象の観測には数10チャンネルの圧電電圧の計測が必要である事が予備検討から分かってきた。本年度にノイズ対策や実験セットアップの改良を検討して、解析の妥当性の検証、振動モードトラッピング現象の実験による観測を目指す。 また、無線センサノード内の電気二重層コンデンサを振動発電素子で充電する場合、蓄積されるエネルギが従来モデルと著しく異なる事を発見した。前年度はこの現象の解明に取り組み多くの時間を費やし、他の課題に遅延が生じた。しかしながら、振動発電素子と電気二重層コンデンサの充電特性を再現する事が出来る新たな数値解析法の開発に成功し、その充電メカニズムを解明する事が出来た。更に、その解析法により複雑なステップを経て動作する無線センサノードの電圧特性の再現にも成功した。その成果をまとめ論文が審査中である。 以上、申請時には予想できなかった事象によりスケジュールで遅延が生じているが、新たな学術的な発見や成果もあった。本年度は研究を加速させて挽回を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実験セットアップの改良に尽力して振動ノイズの低減と多チャンネル電圧計測システムを構築し、解析と実験の高精度の比較評価と振動モードトラッピング現象の観測に取り組む。海外共同研究者と共に、より複雑な構造対称性を有する平板メタ構造の解析技術の開発に取り組み、バンドギャップ(振動抑制の周波数帯)のワイド化に加え、構造を伝播する振動波を制御する新たな平板メタ構造の実現を目指す。特に、実用性の高い複雑なメタ構造のシミュレーションを可能にするため、考案したモデル方程式を取り込んだFEM解析法の開発に取り組む。また、周期配置した多数の振動発電素子から高効率に発電を得る方法を模索し、振動発電素子間の電気的接続や発電回路の電力変換法と全発電量の関係を解明する。また、解析技術を基に数10センチ幅のミニチュア平板メタ構造を設計・製作し、2次元振動を可視化する評価システムの構築や実験による検証を進める。更に、先の年度に開発した波形送信型の無線センサモジュールを振動発電で自立駆動させて構造の加速度振動波形データを無線送信し、2次元構造の構造ヘルスモニタリングの概念実証を行う。
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