Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
【目的】ヒトES及びiPS由来心筋細胞において培養期間・条件によってどの種類の心筋細胞が出現し、どのように成熟化していくのか電気生理学的4種の手法を駆使して詳細に解析する。さらに、その分子機構に迫り、表現型との両面から多様な心筋細胞の発生分化を理解する。【方法】培養早期(30日未満)と後期(60日以降)におけるヒトEs及びiPS由来心筋細胞の活動電位変化を解析する。ヒトES及びiPS由来心筋細胞を培養時期に応じて精製し、多様性の変化を4種の電気生理学的手法で評価する。培養時期に応じた精製心筋細胞のイオンチャネルの遺伝子・蛋白発現量変化やそれらをコントロールする上流の遺伝子候補を探索する。【結果】まずヒトES及びiPS由来心筋細胞における様々なタイプの活動電位波形(結節型・心房型・心室型)を微小電極法により解析することに成功した。さらに培養早期から後期にかけての活動電位波形パターンを解析することで結節型、すなわちペースメーカ細胞の割合が減少し、心室筋細胞が増加することを見出した。さらにヒトES及びiPS由来の胚様体からミトコンドリア高発現分画をFACSを用いて抽出する(Hattori F Nature Methods 2011)ことで培養時期に応じたヒトES及びiPS由来精製心筋細胞を抽出した。培養時期に応じた精製後ヒトES及びiPS由来心筋細胞のチャネル電流の量的機能的解析を行うため、パッチクランプ法によって経時的変化を評価したところ、やはりペースメーカー電流が培養時期に応じて減少傾向にあることを確認した。また、さらにイオンチャネルにおける遺伝子発現量の変化をQT-PCRにより評価したところ、HCNチャネルは低下傾向にあることを確認した。今後、他のイオンチャネルに関する発現量の変化を解析し、さらにそれらをコントロールする上流の遺伝子候補を探索していく。