Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
申請者はC2H2型Zinc finger domainをもつZfp277の機能を明らかにする目的で、Zfp277ノックアウトマウスを樹立しマウス繊維芽細胞の細胞増殖を観察した。その結果、この分子が新規のがん抑制遺伝子Ink4a/Arfの制御分子として細胞老化を制御することを見出した。Zfp277欠損による細胞老化の誘導はBmilの強制発現によっても遅らせることができない。そこで、この分子機構を明らかにする目的でクロマチン免疫沈降(ChIP)を行い、ポリコーム複合体因子のInk4a/Arf遺伝子座での局在を解析した。その結果、Zfp277はポリコーム遺伝子複合体のInk4a/Arf遺伝子座へのリクルートに必須であることが明らかになった。また、この解析の過程で細胞老化を制御する上流経路である酸化ストレス経路(JNKおよびp38MAPK経路)の活性化が、Zfp277およびポリコーム複合体タンパクの発現量を制御することも見出した。これらの知見は、ポリコーム遺伝子の遺伝学的解析から示唆されている細胞老化と個体レベルのagingおよび幹細胞維持に共通する分子機構の一端を明らかにするものであることから、これらの知見を学術誌に成果として報告した(M.Negishi et al. PLosONE 5 : e12373 (2010))。現在、ChIP sequenceを用いてポリコーム遺伝子およびZfp277の網羅的ゲノム解析を行い、細胞運命を決定するポリコーム複合体の遺伝子発現機構におけるZfp277の重要性を解析している。同時に、Zfp277の造血幹細胞の機能を明らかにする目的で、Zfp277ノックアウトマウスの骨髄細胞から造血幹細胞を純化し、多分化能および長期骨髄再構築能の評価を進めている。
All 2010
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
PLoS ONE
Volume: 5