Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
近年、全身性エリテマトーデス(SLE)において、活性化B細胞は病態形成において中心的な役割を果たすことが解明され、B細胞を標的とした治療法の有用性が報告される。しかしながら、B細胞標的療法の予後予測や再燃予知、再燃時の戦略に関する情報は未だ極めて乏しい。本研究では、申請者らがパイロットスタディで行ってきた抗CD20抗体リツキシマブをはじめ、ヒト化CD20抗体オクレリズマブ、ヒト型CD20抗体オファツズマブ、抗CD22抗体エプラツズマブやSyc kinaseなどのB細胞標的療法の治療前後のリンパ球表面機能分子の発現(3-4カラー染色)および遺伝子プロファイル(DNAマイクロアレイ、遺伝子ネットワーク解析など)を長期にわたり検討することにより、1)どのような症例でより長期に有効であるか、2)長期経過観察での再燃予測3)再燃症例の特徴と有効な対処法の確立を行うことである。これらの検討の結果を踏まえてB細胞標的療法における治療フローチャートの策定を行う。B-T細胞間相互作用を制御するCTLA4-Ig複合蛋白アバタセプト、抗BLyS抗体ベリムマブ、TACI-Ig融合蛋白アタシセプトなどの治療にも適応し検討する。申請者らは、ACR診断分類でSLEと確定診断され、しかもステロイド大量療法をはじめ、シクロホスファミド大量間歇静注療法といった様々な既存治療に抵抗性でBILAGスコアにおいてカテゴリーAを1つ以上有する、治療抵抗性SLE20症例に対し、大学倫理委員会承認のもとインフォームドコンセントを文書取得しリツキシマブを投与した。その後、その臨床的有用性をBAILAG、SLEDAI、厚生労働省活動性基準などにて検討するとともに、投与前、28日後、2年後および再燃時の血清、リンパ球、全血RNAを凍結保存しており、これらの臨床検体に関して臨床的長期評価とともに下記の検討を加える。