Project/Area Number |
22H00097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 12:Analysis, applied mathematics, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高村 博之 東北大学, 理学研究科, 教授 (40241781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若杉 勇太 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20771140)
加藤 正和 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (30526679)
佐々木 多希子 武蔵野大学, 工学部, 准教授 (30780150)
久保 英夫 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50283346)
津田谷 公利 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (60250411)
若狭 恭平 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 講師 (60783404)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,990,000 (Direct Cost: ¥32,300,000、Indirect Cost: ¥9,690,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
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Keywords | 非線形消散波動方程式 / 非線形波動方程式 / 解の存在と爆発 / ライフスパン / モーメント / lifespan評価 / 初期値問題 / 空間低次元 / 半線形波動方程式 / 空間1次元 / combined effect / 古典解 / lifespan / ド・ジッター時空 / 半線形消散波動方程式 / エネルギー解 |
Outline of Research at the Start |
摩擦効果を考慮した波動現象を記述する消散波動方程式の解は、熱方程式の解に近い性質を持つと長い間思われてきた。ところが近年、必ずしもその主張に従わない例が多数発見されるに至った。そこで本研究では、解の最大存在時間評価という新しい指標の下に、非線形消散波動方程式の一般論を構築することに主眼をおき、その最適性や爆発境界の解析も行うのはもちろんのこと、そこに繰り込むことができる変数係数を持つ線形微分作用素の分類を行うことを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題初年度の今年度は、本研究の前に採択されていた基盤研究Bで見出した起点、空間1次元の半線形波動方程式と宇宙論に関係する非線形消散波動方程式の解析が主体となった。 前者に関しては非常に顕著な成果があった。まず、非線形項が未知関数の時間微分だけからなるモデル方程式に対して、なぜか空間1次元の解析だけ長年抜けていたものである。非線形項に空間変数の重みを付けて解析したが、それに関する結果自体は一般論の最適性に関する新しい情報を提供するものではなく、一般論の拡張時に補助的な役割を担うものである。しかしながら、この非線形項と未知関数自身からなる非線形項との和による特異な現象、両者が単独の場合に得られる古典解の最大存在時間 (lifespan) が和になるとその最小値より極端に短くなる現象、いわゆるcombined effect、が観測されるような解析に応用できることがわかった。実際、各点評価の逐次代入法という古典的かつ精密な解析に乗り、初期速度の全空間での積分量がゼロの場合にその現象を発見した。この結果は、線形自由な解の時間減衰がない空間1次元では得られないと思われていたもので、初期値を分類することによって出現させることができた。また、二種類の非線形項の和が生み出す影響を詳細に解明できたため、一般論に未だ分類不足な部分があることもわかった。これは非線形波動方程式の分野に大きく貢献するものである。 後者は、ビックバン直後のド・ジッター時空間で半線形消散波動方程式を考察すると、エネルギー解のlifespanにどのように変化するか、解の爆発から測ったものである。急激に宇宙が膨張および収縮している場合に対応する状況で、半線形項の臨界冪を明らかにし、lifespanの上からの評価を与えた。時間大域存在の証明はすでに他の研究者によって得られているので、後は結果の最適性だけが残った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
空間1次元でのcombnied effectの発見は、非線形波動方程式の分野では全く期待されていなかったことであり、その影響は極めて大きい。更に、その結果自体が一般論の分類不足を指摘するものでもあり、この分野およびこれから整備される非線形消散波動方程式の一般論構築に対する波及効果は非常に高いものになる。 また、ド・ジッター時空での非線形消散波動方程式に関する結果は、いわゆる試験関数法とは異なる従来の非線形波動方程式の解析に即した方法が開発および援用されている。それは非線形項に非局所項が含まれていることと、臨界冪における解の時間対数増大を正確に捉える必要があるからで、弱形式で試験関数を特別に取ることによって解の非存在を示す一般的と言われている試験関数法より可積分性による臨界性が明確になっている。 以上、結果自体の新規性と新たな解析手法の開発という二つの数学的な貢献を鑑みてこの自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた空間1次元における半線形波動方程式のcombined effectを起こす冪型非線形項は、高次元では解が有限時間爆発する指数の範囲が狭いため一般論の最適性を論ずるには十分なモデルである。しかし、空間1次元では全ての指数で解が有限時間爆発を起こすため、一般論の最適性を論ずるには未知関数自身と未試関数の導関数との積を含むようなモデルを考察する必要がある。次年度はまずその解析から始めたい。 それに加え、まずは空間1次元で非自励的なモデル方程式を解析する。時間変数と空間変数による非線形項に付加する重みがそれぞれバラバラに入っている今までの設定では、波動現象特有の特性方向に波が伝わり易いという性質を完全に反映したことにならない事実に気が付いたからである。予想される結果は、二つある特性方向の重みが、初期速度の全空間での積分量がゼロの場合と非ゼロ場合で異なり、それぞれ複雑に絡み合って古典解のlifespan評価を作り出すことである。 以上の二つの方向性を維持したまま、それらの解析を基礎として高次元への拡張や宇宙論や流体力学に現れる非線形消散双曲型方程式の解析を進めたい。
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