Project/Area Number |
22H04345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
3180:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
Iwata Naohiro 岡山大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥480,000 (Direct Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥480,000 (Direct Cost: ¥480,000)
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Keywords | 抑肝散 / 漢方薬 / エヌトレクチニブ / 抗がん剤誘精神機能障害 / Y字型迷路試験 / 空間認知障害 / がんゲノム医療 / 行動薬理学 |
Outline of Research at the Start |
遺伝子変異をターゲットとした抗がん剤のエヌトレクチニブは、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合タンパクを標的に抗腫瘍効果を示す一方で、認知機能障害の発生率が高いことが臨床上大きな問題となっている。これはエヌトレクチニブがTRKファミリーのうち細胞増殖作用を示すTRK融合タンパクだけでなく、精神機能に関与するTRK-Bにも非特異的に結合することが原因にあげられる。抑肝散はTRK-Bの特異的リガンドとなるBDNFの増加作用を持つことが報告され、エヌトレクチニブに対するTRK-B拮抗作用が期待できる。本研究ではエヌトレクチニブ誘発精神機能障害に対する抑肝散の効果について明らかにする。
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Outline of Final Research Achievements |
トロポミオシン受容体キナーゼ融合タンパク標的新規抗がん剤エヌトレクチニブ誘発認知機能障害に対する抑肝散の効果を評価した。5週齢ICR雄性マウスにエヌトレクチニブを2週間投与し、最終投与1時間後にY字型迷路試験を行った。同時に抑肝散も2週間投与した。エヌトレクチニブ投与によりマウスの自発的交替行動率は有意に低下し、抑肝散を併用することで自発的交替行動率の低下は抑制された。エヌトレクチニブは、Y字型迷路試験において空間認知障害を誘発することが示唆され、抑肝散と併用することによって、誘発される空間認知障害を改善することが示唆された。
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
新規抗がん剤エヌトレクチニブはNTRK融合遺伝子陽性固形がんに有効であり、がんゲノム医療が発展した昨今において重要な薬物である一方で、約3割もの患者でがん治療による精神障害 (ケモブレイン) が生じ、それに伴った認知機能の低下により、治療の中断を余儀なくされる。この問題に対し、本研究ではケモブレインモデルマウスを世界で初めて作製し、漢方薬の抑肝散がケモブレインの予防に有効であることを見出した。本研究成果は、エヌトレクチニブ投与後のマウスの空間認知障害に対する漢方薬の影響を評価したものであり、ケモブレインの予防法の確立に向けた基盤データを提供するものである。
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