Project/Area Number |
22K00080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
魯 恩碩 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70527142)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 申命記主義的歴史書 / 書記官文化 / 集合的記憶 / 自然観 / 環境倫理 / 集団的記憶 / 倫理・道徳文化 / 執筆・編集文化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は「集団的記憶」と「書記官文化」という二つの視点を通して申命記主義的歴史書を読み直そうとするものである。「集団的記憶」とは、個人ではなく共同体レベルで分かち合われる記憶を指す。近年は旧約聖書を歴史的事実との整合性という観点ではなく、記憶の場として読み解く研究が加速しているが、本研究はそのような最新研究動向と軌を一つにする。「書記官文化」とは、旧約聖書の執筆、編集、筆写、保存などに関わった人々の文化を示すが、そこには彼らを育成するための教育システム、彼らの神学世界および精神世界に由来する知的レパートリーなども含まれる。こうした要素を踏まえて申命記主義的歴史書をより立体的・多面的に読み直す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年9月29日~10月1日まで国際基督教大学で「Perspective on Nature and Environmental Ethics in the Old Testament」というテーマで国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムは、古代イスラエルにおいて「集団的記憶」と「書記官文化」が聖書の著者たちや編集者たちの自然観と世界観にどのような影響を及ぼしたのかを究明するための活発なディスカッションを生み出す、実り多いイベントとなった。本研究代表者も「Give Ear, O Heavens, and I Will Speak: The Non-Human Realm in Deuteronomy」というタイトルで論文を発表した。現在、今回のシンポジウムで学者たちが発表した論文の原稿を集め、一冊の本として出版しようと計画している。なお、本研究代表者は2023年10月に『旧約聖書と環境倫理』という訳書を出版した。この訳書は、キリスト教系出版社として有名な教文館で出版されることになり、広い読者層に読まれることが期待される。Mari Joerstad博士の『The Hebrew Bible and Environmental Ethics: Humans, Nonhumans, and the Living Landscape』の和訳である本書は、申命記と申命記主義的歴史書を中心とする旧約聖書を執筆した古代イスラエルの書記官たちの自然観を網羅的に扱い、人格的な自然観のテキストを次々と抉り出し、古代イスラエルの人々が見ていた、自然と人間が語り合う世界を非常に斬新な観点から描いている。本書の豊な内容に研究代表者は申命記主義的歴史書の形成における「集団的記憶」と「書記官文化」の研究に関連して数多くの示唆点とインスピレーションを得ることができた。本書を和訳し出版することによって、本研究課題が今後目指すべき方向性の一端を明確にすると共に、旧約聖書の「集団的記憶」と「書記官文化」が示す自然観への社会的関心を高めることを望む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「集団的記憶」と「書記官文化」の研究史と研究動向を分析し、独自的な理論的枠組みを形成するための研究を続けており、それが順調に進んでいる。今年度(2024年度)は勤務校である国際基督教大学から1年間、研究期間を取得し、研究に専念するための時間が十分に与えられているため、これまでよりも早く研究成果につなげることが可能になっている。国際学会やシンポジウムなどで培ってきた世界中の研究者たちとの交流とネットワークが本研究のために役立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、共著で1冊の英文研究書を出版するために準備している。Raymond F. Person博士、Eckart Otto博士、Mari Joerstad博士などからすでに原稿を頂いている。聖書学専門の出版社と交渉しており、その出版社は今回の出版プロジェクトに興味を示している。現在原稿は8割程度集まっており、年内の出版を目指している。なお、11月にアメリカのSan Diegoで開催されるSBL Annual Meetingに参加し、最新の研究動向を収集しながら、今後の研究推進方策を調整していく予定である。
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