文化の新たな理論言語:ラカンの精神分析に基づく人文科学のマテーム構築の基礎的研究
Project/Area Number |
22K00094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 和之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00293118)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ラカン / 欲望 / ファンタスム / コギト / ヒンティッカ / 弁証法 / 愛 / 現実界 / シニフィアン連鎖 / グラフ / 選言構造 / コジェーヴ / パスカル / デカルト / 精神分析 / 文化・批評理論 / 論理学 / 選言判断 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、文化についての新たな理論言語をジャック・ラカンの精神分析理論に基づき構築しようとするにあたって、その基礎となるべき諸問題を取り扱う。ラカンの精神分析理論と選言判断についての論理学の議論の関係を軸としつつ、ラカン派精神分析理論における論理学の利用の既存の形態、文化への理論的アプローチの既存の形態としての文化・批評理論およびそのなかでの精神分析の役割について包括的な調査と考察を行い、生じ得る問題点とその可能な解決について検討してゆく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目となる2023年度は、ラカンの精神分析理論と論理学の関係のうち、2023年にミレール版の刊行がなったセミネール『ファンタスムの論理』の議論、とりわけデカルトの「私は考える、ゆえに私はある」を「私は考えないか、私は存在しないかのいずれかである」の選言命題に読み替えたうえで、それを起点に「クライン群」様の四項図式を組み立てこれをもとに精神分析のプロセスを論じた部分を、J・ヒンティッカの論文「コギト・エルゴ・スムは推論か行為遂行か」と対照しつつ検討した。その成果は日本ラカン協会の論集22号に上記セミネールの書評論文として発表した。 また彼の理論が、ヘーゲルの弁証法の構想と重なりつつも、そのコジェーヴ的な理解とは異なった仕方で練り上げられていることについての検討をすすめ、その成果の一部についてはISPP-SIPP Conference 2023のパネル発表「所有の絶対化と愛の問題におけるその理論的帰結」および第62回哲学会シンポジウム「「世界哲学」という視点」における講演「生成を語る―精神分析と哲学」で発表した。 さらにISPP-SIPP Conference 2023ではまた、ラカンが人間についてその欲望を理論化するに際して重要な役割を果たしている「現実的なもの」ないし「現実界」の概念について、その説明の際にしばしば訴えられる「外」という形象が、彼の理論化した言語的装置とのかかわりで、複数の仕方で定義できることを指摘するとともに、そうした理論化の総体が欲望とその対象の二項関係によって枠づけられていることを示す研究発表を行った。 成果発表には至らなかったが、ヘーゲル論理学との接続についてはスラヴォイ・ジジェクの試みを、その周辺文献に遡りつつ引き続き検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘーゲル論理学については成果発表には至らなかったものの、作業は順調であり、また弁証法の位置づけについての検討が国際学会でのパネル発表に至った点は、予定以上の成果だった。総体として順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ラカンとヘーゲル論理学の関係についての成果発表の準備をさらに進めるとともに、また三年目に予定していた文化・批評理論における「理論」の地位に関する調査を進めて行く。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)
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[Book] 精神分析のゆくえ2022
Author(s)
十川 幸司、藤山 直樹
Total Pages
256
Publisher
金剛出版
ISBN
9784772419321
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