Project/Area Number |
22K00136
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
細井 尚子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (40219184)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 隆基 立教大学, 江戸川乱歩記念大衆文化研究センター, 助教 (00770851)
中野 正昭 淑徳大学, 人文学部, 教授 (40409727)
輪島 裕介 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (50609500)
宮 信明 京都芸術大学, 芸術学部, 准教授 (50636032)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 舞台性大衆娯楽 / 大衆性 / 日本 / 台湾 / 東アジア / 近代化 / グローバル化 / グローカル化 / 翻案 / 近現代 |
Outline of Research at the Start |
本研究は文化の基層に中華文化を共有し、20世紀に疑似西洋と言える「近代日本」空間に覆われ、その後アメリカを中心とする「西洋」の影響を受容した日本と台湾の舞台性大衆娯楽をサンプルに、この約150年間の変容を空間・媒体・ジャンルの越境性、政治・社会・経済などとの関係性といった多角的視点から総合的に研究し、グローカル化の果実が翻案域に留まり多様な文化の一様化をもたらすのか、 新たな「自」を創出し、文化の多様性を維持するのか等の問題に取り組む。日本・ 台湾両地の単なる二者比較研究ではなく、中国・韓国を補助線に東アジア文化圏という枠組における研究を進め、東アジア文化圏研究の国際的拠点の拡充にも努める。
|
Outline of Annual Research Achievements |
第二年度である23年度は、当初の研究計画通り「グローカル化の果実を近代化・グローバル化に分け、日本・台湾の複数の同類芸態を比較し、バリエーションの多様性は文化の多様性と置換可能かを検証」することを目指し、7月に国際論壇「東アジア文化圏の舞台性大衆娯楽―当事者の声・言葉から」(発表者10名、研究協力者、院生含む)、12月に国際シンポジウム「2023東亞大衆戲劇國際學術研討會 大衆演劇的全球化旅程」(発表者14名、研究協力者、若手研究者、院生含む)を開催、研究成果の発表、意見交換を行った。国際シンポジウムでは発表ではカバーできない興行の現場の声として、東京・新宿に「大衆演劇」の劇場を開場した水野多恵子氏に基調講演「20年後の“大衆演劇”のために」をお願いした。 「グローバル化の果実」を分析対象と設定した2度の国際研究集会を通じ、本科研が対象とする近150年間の日本と台湾の根本的な相違が明確になった。日本は創出された新たな国家体制、それを支える人材育成のための近代教育により、近代化によってそれ以前の多様性が一様化し、舞台性大衆娯楽においては西洋を手本とする方向性が定着した。また、1980年代後半以降、娯楽市場で顕著になったグローバル化の影響により、近代化の下、忘れられた近代化以前の観劇行為などが復活ではなく新たな事象という認識で現れるなど、グローバル化は多様性を特徴とする。しかし台湾では台湾史・社会において、近150年間は統治政権の変化によって把握され、いつから近代と見做すかの共通認識はなく、従って、近代化、グローバル化と国際化の相違は明確に認識されない。舞台性大衆娯楽においては多様性が一貫して保持されてきたことが、個々の研究報告の総体として浮かび上がり、台湾の舞台性大衆娯楽史は一貫して「自」をベースに「他」を受容・吸収するグローカル化の果実史と見做すべきかという仮説が想定された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二度の国際研究集会により、台湾の舞台性大衆娯楽における「バリエーションの多様性」はグローカル化による果実ではなく、台湾の舞台性大衆娯楽の在り方そのものであり、日本の舞台性大衆娯楽のグローカル化の果実に見るバリエーションの多様性との単純比較は、表層的なものに留まる可能性があることが認識された。これにより、23年度の当初計画の一部である「バリエーションの多様性は文化の多様性と置換可能か」という問題に踏み込むのではなく、台湾の舞台性大衆娯楽における多様性の分析を更に進めた結果、芸態と観客の属性に一定の結びつきが見いだされたため(日本の舞台性大衆娯楽の近世までの状況に類似)、他要素に関しても、更に分析を行うことになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本科研の学術的問いは「グローカル化の果実が翻案域に留まり多様な文化の一様化をもたらすのか、新たな「自」を創出し、文化の多様性を維持するのか」であり、最終年度の当初の計画は「グローバル化による文化の多様性と一様性・東アジア文化圏の『自』文化」について取り組み、総括とする設定であった。しかし23年度に台湾の舞台性大衆娯楽の多様性に関して抽出された本質的な問題を踏まえ、日本の舞台性大衆娯楽についても、近世までと1980年代後半以降の多様性の比較検討を加え、近代化とグローバル化の影響を検討する方向へ修正する予定である。 また、本科研の総括として論文集をまとめ、各自の研究過程で見出した問題などを含め、次への展開を図る。
|