高良玉垂宮の仏教美術の研究ー九州山岳霊場における神仏習合と神仏分離の一様相ー
Project/Area Number |
22K00176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Kyushu Historical Museum |
Principal Investigator |
國生 知子 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (80911453)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 山岳霊場 / 仏教美術 / 神仏習合 / 神仏分離 / 九州 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、筑後国を代表する山岳霊場・高良玉垂宮について、山の内外に分かれて伝わる仏教美術作品に注目し、それらの元の安置場所を推定しながら、神仏が習合したかつての山内空間を復元的に考察しようとするものである。あわせて、明治時代の神仏分離時の作品移座の状況を整理し、山の宗教空間が解体されると同時に、山の内外に新たな宗教空間が形成されていく過程を分析するものである。 山麓寺院の仏像仏画や、高良大社の神宝、山内外の石造物などを把握しながら、九州の山岳霊場における神仏習合と神仏分離の在り方について、美術史の視点から分析することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、筑後国を代表する山岳霊場である高良玉垂宮(高良山)について、山の内外に分かれて伝わる仏教美術を調査し、神仏が習合していたかつての山の様相を復元的に考察しようとするものである。 先行して進める、研究活動スタート支援「高良玉垂宮の仏教美術に関する基礎的研究-山内安置場所の復元と神仏分離過程の整理-」(令和3~5年度)と一体の研究として計画しており、スタート支援では山麓寺院に伝わる仏教美術の悉皆調査を進め、本研究では山内や、山内外の石造物にも目を向けることとしている。 本研究は、今年度が2年目にあたる。主な実績は、山内に現存する座主墓や供養塔の調査である。すでに昭和50~60年代に調査されているが、建立者や奉献者の名前から僧侶間の関係性が推定されるなど、今回の調査成果とあわせて再検討するべき情報が得られた。 また、久留米市が実施した高良大社所蔵の歴史資料調査の成果に基づき、神仏分離後に神社側に残された記録類・美術工芸品の洗い出し作業を進めた。結果、神社側には仏教色を含む遺品がほとんど現存しないことが確認された。山麓域における仏教遺品の充実ぶりに比べると、その少なさは際立ったもので、山の神仏分離が徹底したものであったことが窺われた。 この他、石造物調査として、安武八幡神社に現存する旧明静院大聖歓喜天常夜燈や、御井町の不動堂に安置される石造不動明王坐像を調査した。石造不動明王像は、近世の山北石工・秦氏の作例であり、高良山周辺には一門の作例が多く残る。 一連の成果公表として、久留米市で地元住民を対象とした講演会「高良山の仏教美術」を2回開催し、九州歴史資料館研究論集に「筑後国分寺の仏教美術について-近世高良山の元三大師信仰を示す作例に注目して-」を掲載した。これらはスタート支援の成果公表も兼ねる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地調査の他、かつての山内の状況を探るべく、縁起類・地誌類・絵図類などの確認作業を進めている。多くは寺院・堂宇の名称を記すのみだが、調査の過程で判明した安置仏や関係僧侶などの情報を加えながら、基礎情報を充実させることを試みている。数としては相当数が集まっているが、その内容は未だ断片的な段階に留まる。継続した作業が必要である。 山麓寺院の調査は、スタート支援で終了しなかった分を、本研究にも引き継いでいる。当初、調査対象として計画した3寺院のうち2寺院の調査を完了させ、残る1寺院に着手したところである。悉皆的な調査を心がけて小さな作例まで調査しているため、スケジュールに若干遅れが出ているが、寺院の文化財基本台帳の作成という意味も含めて、着実な成果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
山麓寺院の悉皆調査よって得られる情報は、当初の想定よりも大きかった。小さい作例まで含めると相当数が現存しており、それぞれがもつ情報は断片的ながら、複数が結びつくことで大きな情報になっていくことが、調査が進展するにつれて実感された。神宮寺組織の実態が未だ明らかではなく、基礎情報を集積していく段階にある高良山研究においては、丹念な悉皆調査を継続させることは、今後も極めて重要な課題であると思う。 このため、山麓寺院調査については、本研究でも重要な柱として継続したい。令和6年度は、御井寺を対象とする。神仏分離によって廃絶した座主本坊・御井寺蓮台院の由緒を継承し、明治時代に山麓に創建された寺院である。高良山の仏教的側面を考える上で極めて重要な寺院であるが、先行調査がおこなわれていない。まずは主要作例を把握しながら、調査の範囲を確定させていきたい。なお、今回の研究で対象とした主要3寺院の他にも、山からの移座像を安置する寺院は複数が存在しており、調査の必要性を認識している。しかし、研究期間の定めもあることから、本研究においては、御井寺の主要作例の把握をもって一区切りとし、そこまでの成果を山内に残る作例とあわせて評価することとする。 研究成果を公表としては、令和6年度に九州歴史資料館の展示室の一画で企画展を開催する。調査で確認された新出作例の一部を公開する小規模な展示だが、高良山の仏教美術にフォーカスした内容は初めてであり、地元の方に注目していただく機会となることを期待している。作品を紹介する小図録も刊行する。また、研究の最終段階では、成果をまとめた調査報告書を刊行する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)