Project/Area Number |
22K00314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
膽吹 覚 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (70362035)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 書誌学 / 絵入り本 / 勧化本 / 真宗 / 江戸時代 |
Outline of Research at the Start |
近世中期から後期にかけて真宗の聖典―浄土三部経、正信偈、和讃集―を挿絵入りで分かりやすく説いた勧化本が相次いで刊行された。これらの書籍はその書名(外題)の末尾に「図会」が付く〈図会系〉、「絵鈔」が付く〈絵鈔系〉、その他の3種類に大別できる。 本研究は〈図会系〉と〈絵鈔系〉という視座からその出版に関する問題(類板問題を中心に)を解明し、併せてこれらの勧化本に描かれた挿絵のテーマやモチーフを検討することよって絵入り勧化本(板本)による真宗門徒への教化の実態を明らかにすることを目的とする
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は2022年度に引き続き、真宗の絵入り勧化本の書誌学的調査を行なった。調査を実施した機関は東京家政学院大学附属図書館、東京大学総合図書館、三康図書館、国立国会図書館、弘前市立図書館、酒田市立光丘文庫の6機関である。対象典籍は〈図会系〉は『〈三世/因果〉大経五悪図絵』『〈大経〉四十八願和訓図会』『阿弥陀経和訓図会』『正信偈訓読図会』の5点、〈絵抄系〉は『阿弥陀経絵抄』『正信偈絵抄』『浄土和讃絵抄』『浄土和讃四十八願絵抄』『高僧和讃絵抄』『正像末和讃絵抄』『現世利益和讃絵抄』『三帖和讃絵抄』『御和讃絵抄』の9点、合計14点である。調査に際しては書型、巻冊、丁数、装丁、表紙、外題、表紙見返し、内題、序文、目録、行数、版心、本文(用字)、挿絵、跋文、刊記・奥付、広告・蔵版目録、蔵書印、書入れなどの項目をノートパソコンに入力した。調査終了後、次年度の研究の向けて、個々の勧化本についてその初版の確定、後印本の整理、板木の移動(奥付の本屋の差し替え)の確認、挿絵の異同の確認など、書誌学的データの整理を開始した。また、今年度購入した『大系真宗史料』(法蔵館)、柏原祐泉『近世庶民仏教の研究』を通して、江戸時代後期における真宗の勧化・布教活動に関する知識を学び、本研究の書誌学的調査で得られたデータとの関連について考究した。 今年度の調査と2022年度の調査とを併せて、研究開始当初に予定していた書誌学的調査をすべて終えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度当初に予定していた6機関での書誌学的調査を実施することができた。これによって2022年度に実施した調査と併せて、予定通り書誌学的調査を完了した。ゆえに本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は過去2年間に収集した書誌学的データに基づいて、絵入り勧化本の出版事情について研究する。 まず書籍ごとに奥付に記載された本屋を掲出し、井上隆明編『近世書林板元総覧 改定増補』(日本書誌学大系76、1998)や井上宗雄編『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店、1993)などの参考図書を利用して、その出版年、本屋名、所在地、丸板か相合板かの区別、求板の有無(板木所有者の変遷)などについて考察する。また、板本に出版広告や蔵版目録が収録されている場合は、その本屋名とその内容(掲載署名)にも留意する。また、作者が僧侶であるか否か―僧侶である場合は宗派の確認-、絵師の名前が明記されて場合はその絵師の業績-他の書籍の挿絵など―を調べる。 次に①の結果を踏まえて〈図会系〉と〈絵抄系〉本屋を比較対照し、両者にどのような傾向が見られるか考察する。考察に際しては、本屋と真宗各派との繋がりに留意する必要がある。考察に際しては宗政五十緒・朝倉治彦『近世書林仲間記録』(ゆまに書房、1977)、大阪府立中之島図書館編『大阪本屋仲間記録』(中之島図書館、1975)、朝倉治彦『割印帳』(同右、2007)、弥吉光長編『未完史料による日本出版文化』(ゆまに書房、1988)などの本屋仲間記録を精査する。書誌学調査の結果と本屋仲間記録の調査結果とを併せることで、絵入り勧化本の出版状況を明らかにする。 最終的にその研究成果を申請者が所属する学会(現時点では日本出版学会を予定)で研究発表する。
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