近代島根歌壇の研究―恒藤恭の短歌関連資料と山陰『明星』歌人資料を活用して―
Project/Area Number |
22K00324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
奥野 久美子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (50378494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 桃子 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (90642520)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 近代島根歌壇 / 恒藤恭 / 山陰「明星」歌人 / 近代島根短歌 / 明星 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、島根県出身の法哲学者・恒藤恭の旧蔵資料を蔵する大阪公立大学と、島根県立大学の収蔵資料を活用し、島根県の近代歌壇生成過程を解明することである。具体的には、近世歌壇との新旧交代の実態や、明星派を中心とする中央歌壇とのかかわりを、語彙レベルでの影響関係も含めて解明したい。 研究拠点は大阪と島根に置き、各地で地元の博物館・資料館と連携しつつ、研究成果を地域に開いていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究期間二年目であった本年度は、2023年8月7日~8日にかけて、島根県にて「令和5年度山陰歌人研究会」を対面開催した。7日は島根県立古代出雲歴史博物館にて、特別展「しまね×交通クロニクル」を見学した。同展では、恒藤恭と芥川龍之介に関する展示があり、本研究課題で研究対象としている山陰明星歌人資料の一部も出展されていた。同館学芸員の解説を得て、同資料の学術的価値について新たな知見を得た。 翌8日は本科研の代表者・分担者・研究協力者等、関係者合計14名が集い、島根県立大学松江キャンパス図書館にて公開研究会を行った。最初に、山陰明星歌人資料について、収集された研究協力者の寺本喜徳氏の解説を得て、実際の資料を閲覧した。 その後、研究発表として、奥野久美子(研究代表者)「奥原碧雲旧蔵文芸誌「白虹」第三号(東京・素娥文学会発行)について」、山村桃子(研究分担者)「『銀鈴』増野三良の歌―「花藻玉藻」をめぐって」、古澤夕起子(研究協力者)「晶子の〈国引き歌〉をめぐって」の3本の発表を行い、質疑も活発に行われ、有意義な会となった。研究成果は翌2024年度内に、島根県立大学の紀要に掲載予定であり、準備を進めている。 資料整備では、まず山村桃子氏(島根県立大学)を中心に、島根県立大学が所蔵する山陰「明星」歌人資料のうち、『明治・大正新聞切抜帖』(6~11号)をデジタル化し、また、山陰明星歌人の活動を調べるために必須の文献であるが、現在では入手困難になっている寺本喜徳編『山陰新聞文藝記事総覧』もPDF化し、これにより検索が可能となった。大阪公立大学の恒藤記念室所蔵資料の中からは、恒藤恭の松江時代を含む青年期の作品を、恒藤本人がスクラップした資料『Ⅷ-16 スクラップブック』と『Ⅷ-21 スクラップブック』の2点をデジタル化した。いずれも本研究課題に今後取り組むためにも有用な資料整備となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記した、年1回の研究会開催を実行し、有益な成果を得た。本年度の研究会は、コロナ禍を経て初めて、本研究課題の出発点である島根県で対面開催できたことの意義が大きい。また、研究代表者、研究分担者、研究協力者の三者がそれぞれ、研究課題の対象資料を活用した有意義な研究発表を行い、議論も活発に行うことができ、本研究会の成果は充分であった。研究会の成果について、論文や資料紹介として公刊することは、翌年度に持ち越しているため本年度の成果とはなっていない。 また、大阪と島根の資料を計4点、新たにデジタル化できたことも、大きな成果である。これらのデータについては、公開環境が整えば、前年度に島根県立大学図書館HPで公開したデジタル化資料と同様に、公開することも今後検討する。 上記の状況から、本研究課題は二年目もおおむね順調に進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究期間の三年目となる2024年度には、まず、2023年度に開催した研究会の成果を公刊することに取り組む。具体的には論文または資料紹介の形で、3本のレポートが公刊できる見込みである。 大阪公立大学では、恒藤記念室資料のうち山陰関係資料をデジタル化することを検討し、具体的に作業を進めていく。すでにデジタル化している資料のデータ入力も進める。データ入力を進めている島根県立大学資料とあわせて、公開方法などの検討もしていく。また、山陰関係資料として明治37年の「井川日記」の後半を翻刻校注する作業は前年度から続けており、2024年秋の刊行をめざす。 全体での研究会は今年度には計画していないものの、研究代表者の奥野は、恒藤恭の松江時代の短歌関係の資料や、山陰「明星」歌人資料を用いて、青年期の恒藤の短歌に関する研究発表(学会での口頭発表)を計画している。最終年度(2025年度)には締めくくりとなる研究会またはシンポジウムを開催したいと考えているため、それにむけての準備も進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)