澁澤龍彦蔵書目録を基盤とした文学におけるコラージュとアダプテーションの基礎的研究
Project/Area Number |
22K00343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
跡上 史郎 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (40261565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉方 健作 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (00625741)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 引用 / 剽窃 / コラージュ / アダプテーション / 説話 / 錯覚 / 学制 / 蔵書目録 / ブッキッシュ |
Outline of Research at the Start |
澁澤龍彦は、没後30年以上が経過した現在も新たな読者を獲得し続けている。その文学的営為の根本にあるのはシュルレアリスムのコラージュである。なぜコラージュがここまでの長期に渡る文学的生命を獲得したのか? この問題の解明は困難だが、事実として、どの書物のどの版のどの部分が何に使われたのかということは究明可能である。 澁澤が引用の組み合わせによって生成したテクストは、1960年代以降の幻想文学や異端文学、サブカルチャーにおいて重要な役割を担った。その淵源としての澁澤蔵書の研究は、アダプテーション研究や、現代文学・文化や出版史研究への多大な貢献を果たすことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
「澁澤龍彦蔵書目録」には、澁澤が収集した多岐にわたる書籍や資料が含まれており、それらは日本古典文学、日本近現代文学や海外文学、思想や美術、神秘主義など、幅広い分野にまたがっている。本から本を作るリブレスクな作家である澁澤龍彦を理解するにあたって、澁澤の蔵書は非常に重要な研究資料である。現在も新たな読者を獲得し続けている澁澤龍彦は、特有の文化領域を確立しており、澁澤龍彦蔵書目録に基づく研究は、澁澤個人のみならず、澁澤龍彦的文化圏がどのようにして形成されていったかを明らかにするものである。当該年度においては、泉鏡花生誕150年記念年にちなんで、澁澤中期に当たる1970年代の泉鏡花ブームにおいて澁澤龍彦の果たした役割を明らかにする研究で飛躍的な成果が得られた。「澁澤龍彦蔵書目録」に加えて、澁澤の「創作メモ」に基づく実証的な研究であり、熊本大学の紀要に基礎的調査が掲載刊行済、査読論文が2024年5月に刊行予定(校正済)である。一方、初期の澁澤についても、博物誌の観点からの研究成果が得られ、査読論文1件として刊行されている。また、パロディやアダプテーションといった現行の理論だけでは捉えきれない、澁澤のコラージュの実態を扱った2022年度の研究成果の一部が『日本文学』73(2)(2024・2)の学会時評で取り上げられ高く評価された。なお、副産物として『日本近代文学大事典増補改訂デジタル版』の新規項目「『血と薔薇』」「荒俣宏」(JapanKnowledge)にも本課題の成果が生かされており、現在校正待ちの状態である。なお、本課題は『澁澤龍彦蔵書目録』と澁澤の著作との対応関係を明らかにすることが目的であるが、『澁澤龍澁澤龍彦全集』全22巻のうち、1巻から5巻、および23年度の成果に関係ある各巻の「要調査項目」データベースを作成済である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、査読論文2本(うち1本は2024年5月刊行)、紀要論文1本等の成果が得られたが、網羅的な調査においては少々の遅れが見られる。理由は、研究代表者の昨年度の研究成果に注目した出版社から、これまでの研究も含めた単行本化の依頼が来たためで、単行本の準備のために網羅的な調査の時間を削らざるを得なかったことが挙げられる。また、研究分担者に関しては、『ふらんす』誌での連載が始まったという事情もあった。しかし、これらの仕事は本研究課題と密接に関わる要素を多分に有しており、ある程度の見通しが得られたところで本来の流れに戻れば、これまで以上の進捗が得られるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
まず代表者は、2022, 2023年度の成果を単行本にまとめる作業を急ぐ。研究分担者は、新たに獲得した「1880-1930年代フランス文壇に関する非母語話者による「証言」の統合的研究」(JP24K03793)と本研究課題を有機的に関わらせ、双方において成果が得られる体制を築く。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)