Project/Area Number |
22K00368
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土谷 彰男 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10434242)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 韋応物 / 新出墓誌 / 韋氏研究 / 新唐書宰相世家表 / 江州 / 古今紀要 / 貞元 / 節度観察史 / 中唐文学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は新出墓誌に基づく韋応物文学の総合的研究であり、唐代詞臣のありかたとその文学を明らかにするものである。2007年に発見が報告された新出韋応物墓誌は「詞臣」たる韋応物の像を明らかにしたものであるが、これを詳細に分析することによってこの墓誌の史料価値を明らかにするとともに、「詞臣」たる韋応物のありかたとその文学を検討する。唐代詞臣はこのうち「文雅」と目される一群の人物の存在が見出されるが、これを詳細に分析することによって唐代詞臣のありかたを解明するとともに、唐代詞臣の意識や行動において韋応物とその文学の形成が如何に聯絡するものであるにか検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究課題に係る学会発表として、「東亜漢籍整理与研究」シンポジウム(中国・復旦大学古籍整理研究所)において、『浅分中唐江州的政治社会情況対於韋応物詩歌意象的影響:従墓誌与詩歌研究談起』を発表した(2023年12月17日)。これは、「韋応物の{ジョ}}江二州における治績に関する一考察(下)」(『中国詩文論叢』第41集)に関するものであり、このうち第十一節における分析内容について、これを韋応物の江州刺史在任中の「風俗を観省す」(巡察)に係る作品と関連付けて考察しものである。 (2)本研究課題に係る論稿として、新出墓誌に見える記事のうち、おもに韋応物に至る世家の墓誌記録について考察し、これを「韋応物の世系について:韋応物墓誌の分析(三)」『中国詩文論叢』第42集、2023年12月、pp81-94)にまとめ論文を発表した。これは、韋応物墓誌に至る韋氏の世系とその記録について、これまで『新唐書』宰相世家表に基づく研究方法とは別に、新たな試みとして一般公開された墓誌データベースより関連する墓誌記録を収集し、収集された十四点の記録内容に対して、韋応物墓誌のテキストを分析パラメータに設定しスクリーニングを行うといった解析手法を用いて比較検討を行い、これによって各々記述の異同を考察した。その結果、韋応物墓誌が逍遥公房の流れにあることが確認されたことはもとより、『新唐書』宰相世家表に載せる逍遥公(韋{ケイ})の「八子」は「六子」であること(『北史』「韋{ケイ}伝」)、五代祖の韋世沖の女に韋耶書があること、祖父の韋令儀の女に韋嘉娘があることがそれぞれ認められた。なお、韋応物の父の韋{ラン}墓誌について、韋令儀の第四子と記述されており先行研究の第二子とは異なること、また、韋{ラン}の子の名のうちに韋応物のそれが見えないことを指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況とその方向性については、墓誌の検討及びこれと密接に関連する資料の分析を通じて、本研究課題に対して多角的に調査を行うことの必要性が示され、これによって具体的な研究を可能ならしめたと考える。ただし、分析の進展に伴い調査対象の範囲が広がりつつあり、そのため、韋応物の文学を成立させた背景の考察には大いに進展があったものの、それらを韋応物の文学論に帰納演繹させて研究を進めるに至っていない恨みがある。なお、貞元年間の詞臣については、本研究課題と平行する形で基礎的研究を公にしているところであり、本研究課題において今後の研究を推進するにあたってこれと発展的に統一を図りたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、次の各項目に掲げる内容を中心として進めていくこととする。 (1)本研究課題に係る基礎資料の完成を目指す。すなわち、『古今紀要』の校訂を継続して行うことである。 (2)本研究課題に係る論考について、韋応物新出墓誌の分析にあたっては、全体の解明を目指す。そのうち、天宝年間中の青年期における初任官から大暦十四年(779)前後の善福寺に退隠した、韋応物の生涯における前半生の記述の分析を中心に進めるべく、目下、草稿を用意しているところである。これについては、先行研究では序伝に見える「流落失職」「折節読書」の記述に沿った作品解釈が指向され、また、この間の「出仕と退隠」の特徴が韋応物の生涯にわたって反復されてきた点に着目した考察がなされてきた。彼の前半生はその文学の基礎が打ち立てられた時期であるが、この善福寺に退隠に至までの意義は韋応物の生涯においても、またその文学の形成においても決して小さくはないものと考えられ、すでに関連する資料を用意しているところであって、本研究課題に係る論稿として論文を発表する予定である。 (3)韋応物新出墓誌の分析にあたってはまた、左司郎中から転出し蘇州刺史に在任する間に卒するに至るまでの記述についてこれを分析する。このうち、当該墓誌の撰者である丘丹との間の詩歌の贈答は韋応物における官人像と詩人像との間において如何に関わるものであったのかを考察することとする。
|