Project/Area Number |
22K00384
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Kanazawa Gakuin University (2023) Juntendo University (2022) |
Principal Investigator |
中妻 結 金沢学院大学, 文学部, 講師 (90925091)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | ネオ・ヴィクトリアニズム / ヴィクトリア朝 / 書物のイメージ / 読み物文化 / イギリス現代小説 / ヴィクトリア朝文化 / 19世紀イギリス文学 |
Outline of Research at the Start |
イギリス・ヴィクトリア朝 (1837-1901)を舞台とし、現代的視点で過去を語る「ネオ・ヴィクトリア小説」は、1990年代以降目覚ましい興隆を見た。これらの作品に現れる、過去の保存とそれに対する現在の推進性に着目し、「書籍・本・書かれたもの・文字」のイメージに新たなる可能性を見出すことを目的としている。書物のイメージの脆弱さは、本の衰退、文字文化の低迷が叫ばれる現状を映しだし、同時にこの衰退と低迷に抗う文壇からの叫びを反映しているのではないだろうか。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「なぜネオ・ヴィクトリア作品群が、この30年間に英語圏で流行し、サブ・ジャンルと位置付けられるほどに発展していったのか」という問いを書物や文字のイメージを通して探り、この作品群が現代の文字文化の脆弱性を暴きながら、その先の推進性をも示しているという仮説を実証することを目標としている。 本年度は、ネオ・ヴィクトリア小説の確認と現代の文学界における位置づけを議論するために資料の収集や研究を行った。これまで本申請者は「ネオ・ヴィクトリア小説」と一般的に呼称されている小説を論じてきたが、Biofictionと定義されるジャンルからこの小説群の20世紀以降の発展を明らかにすることを試みた。過去の作家の伝記を現代の視点から創作するBiofictionという視点で見ると、ヴィクトリア朝作家(今回はチャールズ・ディケンズ、オスカー・ワイルド、ブロンテ姉妹)の人生を現代的視点から再評価する小説や映画が一定数存在し、それらもまたポストモダニズム研究や文学理論を応用しながら創作されてきたことがわかる。これらの作品を通して、作家の「伝記」に現れる事実をフィクションにする過程で、事実をどのように乗り越えていくか、という視点に立って小説作品を論じることができた。結果的に、ネオ・ヴィクトリア小説の現代における意味付けに一定の成果を見ることができた。 申請書で令和5-6年度に予定していた「本」「読み物」「書籍」に関する社会的・文化的イメージの確認に関しては、令和4年度に引き続き、19世紀における、書物のイメージを、文化、社会、歴史という観点で、書誌学的アプローチをするための研究を行った。特に、当時は今やキャノンとされるチャールズ・ディケンズと同等かそれ以上と見られていた大衆向け作家の、書物からそのほかのメディアへのエンターテインメントの広がりを確認し、令和6年度に論文にする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、申請書では令和4年度に予定していたネオ・ヴィクトリア小説の確認と決定、文学史における位置づけを確認する作業を行った。特に、Biofictionとの関連に関しては、他の文学研究者からの協力を得て、新しい視点に立ってネオ・ヴィクトリア小説のジャンルを俯瞰できたことが成果である。 当初令和5年度に予定していた書物のイメージに関する研究を令和4年度に始めたため、研究順が前後するものの、おおむね順調に進んでいると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、主に「ネオ・ヴィクトリア小説」に関する研究を進め、資料の収集や研究発表を行った。今後は、研究・発表の成果を論文にする予定である。 また、19世紀における、書物のイメージの研究では、大衆文学が他のメディアに広がりを見せた例として、Douglas Jerroldが読み物として出版した作品が、歌謡曲にまで変容していた事実がある。2002年に伝記が出版されたが、これまで雑誌編集者として以外では、あまり研究はされていない。ただし、社会における文字文化の消費の増大という観点で、本研究を進める一助になると想定しているため、令和6年度も引き続き検証を進める予定である。
|