都市計画の時代としてのフランス第三共和政とその文学:ル・コルビュジエと作家たち
Project/Area Number |
22K00445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
彦江 智弘 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80401686)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 文学と都市計画 / ル・コルビュジエ / ブレーズ・サンドラール / フランス第三共和政 / ランボー / 文学と都市 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランスの第三共和政期(1870-1940)を科学としての都市計画が確立され、やがてモダニズムの建築家がこれを発展させる時代と位置づけ、同時代の文学テクストと都市計画との関係を検討するものである。とりわけ本研究では第三共和政の後半期においてモダニズムの都市計画の確立に中心的役割をはたしたル・コルビュジエに注目し、ル・コルビュジエと関係のあった作家(ジロドゥー、サンドラールなど)、あるいは同時代の都市を描いた作家(セリーヌなど)関連づけながら、黎明期の都市計画と文学テクストとの批評的関係を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度はランボーの散文詩「都市」のうちに、ランボーの時代(1870年代)からル・コルビュジエによるモダニズムの都市計画の勃興の時代(1920年代)への推移を予兆的に読み取る読解の可能性を検証した。これはフランス第三共和政期の文学と都市計画という本研究課題全体に関わる問題意識に依って立つ取り組みだったが、本年度はこれをふまえ、よりル・コルビュジエと同時代の作家との関係にフォーカスすることを試みた。そこで取り上げた作家が、同じ年(1887年)にスイスの同じ街(ラ・ショー・ド・フォン)でル・コルビュジエとわずか1ヶ月の違いで生まれた作家ブレーズ・サンドラールである。 前年度にスイスで行った調査を踏まえつつ、ル・コルビュジエとサンドラールとの関係を、とりわけ1920年代後半のブラジルの遷都計画に対するふたりの関わりを通じて精査した。サンドラールはこの遷都計画にル・コルビュジエを参画させようと奔走しているのだが、ル・コルビュジエに対するサンドラールの微妙な距離感にも注視しながらその経緯を整理することに努めた。その成果は「サンドラールとル・コルビュジエのブラジル 1920年代の邂逅」(『常盤台人間文化論叢』第10号、2024年3月)として発表した。 また、この研究成果を検証するために、ル・コルビュジエ研究でも知られる芝浦工科大学特別研究員の林要次氏をコメンテーターとして招聘し研究会を開催した。研究会には本務校である横浜国立大学都市イノベーション研究員所属で建築史を専門とする菅野裕子特別研究員と守田正志准教授にもご参加いただくことで、実際に建築分野の研究者を交えた学際的な議論を活発に行うことができた。このような研究会は今後も継続して開催したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、ル・コルビュジエと同時代の作家との具体的関わりをブレーズ・サンドラールを取り上げることで深めることができた。その意味では研究の進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を通じてル・コルビュジエとサンドラールの関係はさらに深めることが可能であるという手応えを得たが、2024年度はル・コルビュジエと同時代の作家との関係を多角的に検討するために、一旦サンドラールを離れ、『夜の果ての旅』で知られるルイ=フェルディナン・セリーヌを取り上げる予定。 サンドラールのケースとは異なり、ル・コルビュジエとセリーヌは伝記上の接触はない。しかしほぼ同時代のニューヨークなどのアメリカの都市を経験しているなど研究の材料となるような接点が少なからずある。そうでなくても1930年代においてセリーヌが同時代の都市のありさまを小説作品において生々しく描き出していることは無視しえない。さらにセリーヌは政治文書において都市計画的提案を行ってさえいる。これらの点を踏まえながら、セリーヌとル・コルビュジエを対峙させながら検討を加える。 同時に、本年度も建築分野の専門家や1920年代のフランス文学の専門家を交え研究会を開催し、研究の総括に向かう。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)