明治のFrankenstein ー〈怪物〉の文化的変形
Project/Area Number |
22K00490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
中川 僚子 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (90192666)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 明治期の翻訳 / フランケンシュタイン / 文化的変形 / 近代女子教育 / 異文化交渉 |
Outline of Research at the Start |
メアリ・シェリーの小説『フランケンシュタイン』と、その初邦訳である明治中期の女子教育雑誌『國のもとゐ』の連載「新造物者」をめぐる十九世紀日英の比較文学・比較文化研究である。 「新造物者」の<怪物>表象は、異文化交渉が急激に展開した明治期日本に移植されて特異な「文化的変形」を遂げる一方で、原作の「神話性」を正確に伝えている。原作に見られる啓蒙主義とロマン主義の相剋は、約70年後に激動期を迎えた明治中期の日本において、翻訳「新造物者」にどう再現されたのだろうか。 近代化が排除した異物のメタファーとして<怪物>を捉え、日本の近代化の一側面を具体的に解明しつつ、原作の新たな読みの可能性を追究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年6月に、研修年(2017-18)に実施し未発表であった文献調査の結果を、その後の研究成果と併せてまとめた研究論文を発表した。ロンドン大英図書館ならびにオックスフォード大学ボードリアン図書館における調査時において、「新造物者」の底本がラウトレッジ社の簡約版である可能性が高いことはすでに判明していたが、それ以外に類似の版がある可能性は排除できていなかった。本論文では、19世紀中にイギリスで出版された『フランケンシュタイン』の各版を一次資料として調べた上で、1818年の原作初版と1889年の初邦訳の連載開始までの70年間の空白期間における、作者メアリ・シェリーと本作品の評価の変遷を辿った。特に当初必ずしも文学的評価が高くはなかった原作がいかにして命脈を保ち、遠く日本に到達し得たのかという問題を原作の出版史ならびに戯曲版の上演史から探った。 上記論文の執筆時には、19世紀にアメリカで出版された『フランケンシュタイン』各版の調査は困難で、先行研究の二次的情報に頼らざるをえなかったが、2022年10月にニューヨーク公共図書館のプフォルツハイマー・コレクションを訪ねたことで、19世紀の原作・翻案の出版状況、戯曲版の上演史を複数の一次資料で確認することができた。その結果、アメリカにおいても、戯曲版を初めとする翻案作品が、『フランケンシュタイン』を後世に伝える役割を果たしたことを確認することができた。 ニューヨーク滞在中、アメリカ・キーツ=シェリー協会のシンポジウムで研究発表を行い、その際、シェリー研究者らロマン派研究者と意見交換をする貴重な機会を得た。 2023年2月には、流通経済大学の三宅雪嶺記念資料館において、「新造物者」研究の一次資料である三宅花圃の『薮の鶯』の手稿(坪内逍遥が添削)を確認したほか、翻訳にかかわる花圃の履歴について新たな事実を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、国内外における資料調査の実施、研究論文刊行、海外での口頭研究発表を行うことができ、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、「新造物者」テクストと原作テクストとの異同を分析し、<怪物>の異物性とそれによって表象された近代性(批判)の関連を考察する。「新造物者」の挿絵の図像学的分析をさらに進めると同時に、近代女子教育のモデルとして構想された東京高等女学校の教育理念と実践について同時代資料から精査する予定である。 他の翻訳作品・小説における三宅花圃の文体を「新造物者」の文体と比較・分析し、花圃が翻訳者である蓋然性を明らかにする。 三宅花圃の教育歴・文学的業績を小金井喜美子など同時代の女性作家と比較しつつ、系統的に整理する。さらに坪内逍遥による『藪の鶯』草稿の添削と、P・B・シェリーによる『フランケンシュタイン』草稿の添削についての先行研究を調べ、近代女性作家誕生の諸条件を考察する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)