A Study on Regional Differences in Expressions of Consideration in a Region with No Honorifics
Project/Area Number |
22K00579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
岸江 信介 奈良大学, 文学部, 教授 (90271460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峪口 有香子 四国大学, 地域教育・連携センター, 講師 (10803629)
西尾 純二 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (60314340)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 待遇表現 / 無敬語 / あいさつ表現 / 命令表現 / 地域差 / ウチ社会 / 地域コミュニティー / 配慮表現 / 規範意識 / 地域コミュニティ / ウチ/ソト / 有敬語 / 親疎関係 |
Outline of Research at the Start |
漁村等の地域における敬意表現は都市部と比べ、無敬語に近く、敬意や配慮の表現が希薄であるとされてきた。このため「無敬語地域」といったレッテルを貼られることもある。一方、無敬語地域ではコミュニティの成員間の結束力が強固であり,ウチ社会を基盤としたコミュニティであると考えられる。配慮表現の使い分けの目安である目上/目下,ウチ/ソト,心理的・社会的距離の遠近,恩恵の有無等の基準は有敬語地域では当てはまるが,無敬語地域にも当てはめてよいのかどうか、検討を要する。無敬語地域には有敬語地域とは異なるウチ社会独特の言語行動のメカニズムが存在するという仮説を立て無敬語地域での研究を通じてこの仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では無敬語地域における配慮表現の調査研究を通して有敬語地域での配慮表現との比較を行いつつ,無敬語地域の配慮表現の実態を解明することを目的としている。無敬語地域の地域コミュニティの多くは成員間の結びつきが強固であり,コミュニティ自体が地縁関係にもとづいて組織されているケースが多く,ウチ社会を基盤としたコミュニティであると考えられる。現代日本語の配慮表現の使い分けの目安とされてきた目上/目下,ウチ/ソト,心理的・社会的距離の遠近,親疎関係,恩恵の有無などといった基準は有敬語地域においてはあてはまるが,ウチ社会をベースとした無敬語地域にも無分別にあてはめて比較することには注意を払わなければならない。 23年度においては、あいさつ表現に焦点をあて、有敬語地域と無敬語地域においてこれまでの調査結果の分析を行いつつ、分析を行った。無敬語地域のあいさつ表現を一括りにして言及することは難しいが、有敬語地域に比してシンプルな表現が用いられる傾向があるといえそうである。例えば、感謝されたときに返すことば(「どういたしまして」にあたる形式)を取り上げたところ、有敬語地域では「イエイエ」「イーエ ドーイタシマシテ」「イヤイヤ」「キニセントイテ」といった形式がよく見られるのに対して無敬語地域では「カマン」「カマンカマン」「ナンノ」「ナンノナンノ」といった形式がよく用いられることが判明した。有敬語地域出身の人が無敬語地域に行って感謝のことばをかけたときにこの種のことばを返されたら違和感を覚えるのではないかと思われる。 また、奈良県下全域での言語地理学的な調査から判明したことであるが、無敬語地域である十津川村など吉野地方では奈良県北部などとは異なり、相手に行為要求を行う際、直接的命令表現をよく用いる傾向にあることが判明した。有敬語地域の方言ではほぼみられないことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023度において計画していた無敬語地域での配慮表現の調査に関してだが、これまでの調査研究の分析を進める過程で、あいさつ表現や行為要求に関する表現に有敬語地域と無敬語地域の間で、地域差があることが判明した。このため、当初、予定していた配慮表現に関する調査票の見直しをする必要が生じた。これらが判明したのは、これまで配慮表現の調査で使用してきた調査票を用いて調査を開始した直前であった。この時点で予定どおり、調査を敢行するか、ここまでに判明した研究結果を勘案し、調査項目を大幅に改定して計画を立て直すか、躊躇した。分担者と協議した結果、あらためて調査票を改定し、調査の機会を窺うことになった。協議の結果をもう少し詳細に述べると、無敬語地域での調査についてだが、全国を対象とせず、近隣ではあるが、三重県志摩市、奈良県吉野郡十津川村、和歌山県各地に限定し、配慮表現をさらに具体化させ、行為要求表現やあいさつ表現についてより深く分析が可能となるような調査票を立てて調査研究にのぞむという方向で進めることになった。 また、当研究を開始した時期はコロナ禍にあったため、調査方法を文書による通信調査に限定していた。新型コロナウィルスが5類に移行した今、対面による調査も可能となっており、調査方法の見直しについても検討した。 さらに当研究の計画では次年度を含めると、3年間の期間があるので進捗状況に応じた計画の見直しをすることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では無敬語地域での対面による調査を実施する方向で研究計画を練り直し、実際に各地を訪問、対面による調査を実施する予定である。まず、近畿地方における無敬語地域(大阪府岸和田市、三重県志摩市、奈良県吉野郡十津川村など)のほか,和歌山県沿岸、高知県各地で配慮表現の比較を行う予定である。これまでの調査結果から今年度、明らかになった、無敬語地域における、命令表現を中心とした行為要求表現やあいさつ表現の実態など、研究を進め、実態の解明を目指したい。 また、これまで予定していた、無敬語地域にみられる言語行動の共通基盤がどのような状況なのか、その解明を目指すとともに各地域の差異について記述を行う予定である。 なお、これまでどおり、自分からの働きかけ(行為指示型:依誘・禁止など)や,相手からの要求に対する応答(要求 答型:受諾 拒否 保留など)のほか,感謝や謝罪,褒めなどの配慮場面でどのような言語行動がみられるのか調査を行い,分析・記述を行う。対人配慮に関して話者が異なる聞き手に対し,どのような意識を有しているか,話者にきめ細かい内省を求めるとともに無敬語地域による配慮表現の使い分けにはどのような差がみられるのか、この部分に焦点を当てた研究を行う。 社会的属性や場面差にもとづいた視点から分析を行い,無敬語地域の相互の配慮表現行動の差がどういった規範や軸にもとづき,行われているのかを吟味する。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Book] 奈良県言語地図2024
Author(s)
岸江信介・塩川奈々美監修
Total Pages
141
Publisher
(株)共同精販印刷
ISBN
978-4-9913564-0-7
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