中世仮名文書の文体の研究─日本語史資料としての価値と特色の解明─
Project/Area Number |
22K00581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
辛島 美絵 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (60233996)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 仮名文書 / 古文書 / 文体 / 接続表現 / 鎌倉時代 / 接続詞 / 接続助詞 / 譲状 / 身分 / 性別 |
Outline of Research at the Start |
本研究は中世の仮名文書(仮名が使用されている古文書)の資料性と価値を解明しようとするものである。鎌倉時代の仮名文書の文接続法や文終止法に着目し、漢字専用文書や、中世以前の古文書以外の資料(変体漢文資料、仮名文学資料、説話や軍記などの和漢混交の文学資料等)と比較することによって、仮名文書の文体の特色を明確にし、仮名文書の文章の「書き言葉」としての文体の成立過程、当時の日常の「話し言葉」の反映度と反映されやすい箇所を解明し、〈仮名文書の価値と活用方法〉を実証的に示すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間中には、鎌倉時代の譲状を仮名の多寡により分類した上で、譲与文言を記載する際の定型表現部分の接続表現を調査し、これをもとに仮名主体で書かれた文書(仮名主体文書)の文体を考察した。研究の結果、仮名の多寡による古文書の文体上の差異や特色の一端を明確にし、〈定型表現部分ならびに接続表現への着目〉〈仮名の多寡による比較〉が古文書の資料性研究の方法として有効であることを示した。 2022年度には、文書の仮名の多寡により当該定型部分に下記(1)~(4)の特色が見られることを示した。 (1)〈仮名主体文書〉と〈漢字専用文書〉において、独自の接続表現を使用する例が多い。(2)〈仮名主体文書〉でのみ使用される接続表現は接続助詞が多いが〈漢字専用文書〉〈漢字主体文書〉でのみ使用されるのは接続詞ばかりである。(3)接続表現の異なり数は〈仮名主体文書〉が最も多い。(4)〈仮名主体文書〉は後半期に文書数・当該定型使用率・接続表現の異なり数・独自の接続表現の割合が増大する。 2023年度は上記をふまえ、当該定型部分の接続表現に独自のものを用いる〈仮名主体文書〉14通の原本(写真)について文書全体の文体の調査を行い、下記(5)~(7)を指摘し、研究期間全体を通して(8)(9)を実証的に示した。 (5)同じ種類(用途)の〈仮名主体文書〉であっても、文体的な差異がある。(6)譲状の〈仮名主体文書〉の文体には、〈漢字専用文書〉の譲状に近い文体と、より書状的な文体とが認められる。(7)この文体の相違には、書き手の身分・性別・地域の差異が関係している。(8)古文書様式上の定型的部分(古文書として同じ内容を表現すべき部分)において仮名文書の表現上の特色が看取される。(9)譲状の当該定型の接続表現は、仮名文書全体の文章の特色と関係している。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)