Strata of the historical Lotharingia and governmental practices of the Ottonian royal court
Project/Area Number |
22K00839
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
千葉 敏之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20345242)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ヨーロッパ史 / ロタリンギア / オットー朝 / 統治実践 / 修道院 / 証書 / リエージュ / ケルン / 中世 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画「歴史的ロタリンギアの堆積構造とオットー朝宮廷の統治実践」は、カロリング朝時代の9世紀から、学知の革新及びネットワーク型修道会の時代である12世紀に至るヨーロッパ社会の連続と不連続の波を見すえつつ、王権の統治意志が、在地の司教座・都市・修道院・貴族層が織り成す各圏域の堆積構造(統治資源)に依存しつつ、いかにして現実の統治行為として実践されえたか、この問題を研究枠組みの抜本的再構築(リフレーム)の一環として、応募者の専門であるオットー朝を対象に行なうものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
「歴史的ロタリンギア」科研(3カ年)の2年目にあたる2023年度は、1年目の2022年度に行なった「立て直し」以前の時代の堆積構造の分析を踏まえ、「立て直し」時代の堆積構造の継承と変容を明らかにする研究に進んだ。事前の基礎的分析の手法は昨年度と同様で、トリーア歴史叢書に収録された個別研究の成果を分析し、そのうえで司教文書、修道院文書、国王文書の関連を評価し、データベース化した。8月22日から9月4日までヨーロッパに渡航し、現地調査を行なった。今回は、北西ドイツ・ベルギーを中心に史資料収集と現地調査を行なった。まず初めに大司教座及び拠点修道院ザンクト・マクシミン修道院の所在地であるトリーアを訪問し、トリーア市立図書館(Die Stadtbibliothek Trier/ Wissenschaftliche Bibliothek der Stadt Trier)にてオットー朝時代の貴重な写本コレクションを閲覧した。続いて歴史的ロタリンギアの拠点司教座リエージュとトリーアを結ぶ経路上に位置する拠点修道院、プリュム修道院(プリュムのレギノの歴史叙述や「立て直し期」の所領明細帳の成立地)を訪ねた。さらに、プリュムからリエージュに向かう途上にある二重修道院スタヴロ=マルメディ修道院をそれぞれ訪問し、現地調査と関連資料の収集を実施した。以上の施設をまわる過程で、歴史的ロタリンギアの知の拠点から拠点への接続経路の割り出しを進めた。続いて、マース川とソンブル川の合流地点に位置し、司教座が置かれていたナミュールと、ロベ修道院(Abbaye Saint-Pierre de Lobbes)を調査した。帰国後は、ロタリンギアの「立て直し」期の分析をさらに進め、2022年度に分類・解析したデータと収集した史料群(司教文書・修道院文書・裁判史料)と比較しつつ、その変容の具体相について分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画「歴史的ロタリンギアの堆積構造とオットー朝宮廷の統治実践」は、カロリング朝時代の9世紀から、学知の革新及びネットワーク型修道会の時代である12世紀に至るヨーロッパ社会の連続と不連続の波を見すえつつ、王権の統治意志が、在地の司教座・都市・修道院・貴族層が織り成す各圏域の堆積構造(統治資源)に依存しつつ、いかにして現実の統治行為として実践されえたか、この問題を研究枠組みの抜本的再構築(リフレーム)の一環として、応募者の専門であるオットー朝を対象に行なうものである。その際、ネウストリア=北フランスに展開する西フランク=カペー朝宮廷との間の圏域、すなわち歴史的ロタリンギアを取り上げ、なかでもケルン=リエージュ圏がカペー朝宮廷とオットー朝宮廷とを媒介する学知と資源の回廊として、ロタリンギア発の修道院改革運動と連動しつつ果たした機能に注目する。 「歴史的ロタリンギア」科研(3カ年)の2年目にあたる今年は、昨年度に引き続き、現地フィールド調査および文献・資料の収集に重点を置いた。事前に行なった証書資料・研究文献の分析から得られた情報とその地理的分布をもとに、ロタリンギア圏のうち、アイフェル山地圏の拠点修道院であるプリュム修道院、またアルデンヌ森林地方の拠点修道院であるスタヴロ=マルメディ二重修道院を訪問し、その地形的特徴を踏査するとともに、関連施設での施設調査・文献収集(とくに地図)を行なった。また、8月27日以降は拠点をミューズ・ソンブル川が合流する拠点都市ナミュールに移し、ミューズ川沿いの交易・文化伝播の拠点として機能したナミュール司教座、その近くに所在したソンブル河畔のロブ修道院を訪問し、地形調査と文献・地図収集、施設の調査を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画の最終年度である2024年度は、過去2年間にわたる調査と収集した資料の分析を進め、とくにオットー朝とカロリング=カペー朝がこれら統治資源をいかに活用したか、その事態の分析へと進む。夏期に予定している現地調査では、今回はとくに北フランスでの史資料収集:ケルン=リエージュ圏のオットー朝時代における学知・人材のハブとしての役割を検討しつつ、ロタリンギアを発祥地とするブローニュ、サン・テヴル、ゴルツェ、聖マクシミンの4つの修道院改革運動の発生と波及との連携性についての分析に関わる教会・修道院施設と関連地域を訪問し、オットー朝期における施設間の関係、果していた役割、オットー朝・カペー朝王権によるその活用の実態を明らかにする。その際、とくに注目したいのが、オットー3世の治世に司教領国を形成し、都市の大規模な改造を敢行してその神聖地誌を刷新し、司教座附属学校の改革を行なったリエージュ司教ノジェ(位972-1008)の活動である。 9月以降は、3年間にわたる分析の成果を個々に突き合わせながら本研究計画の成果を総合することで、支流も含めたミューズ川流域文化圏の人材・思想・知識の提供源としての潜在力をあぶり出すとともに、オットー朝及びカペー朝が歴史的ロタリンギアをその統治にいかに活用したかという点について、新たな展望を開きたいと考えている。なお成果は、学術論文として公表する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)