Project/Area Number |
22K00904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田中 聡 立命館大学, 文学部, 教授 (10368011)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 地域資料 / アーカイブ / 比較地域学 / 梵鐘 / 史学史 / 近代京都 / 歴史意識 / 地域資料アーカイブ |
Outline of Research at the Start |
京都地域(京都市及び周辺地域)において、地域史を物語る文字・音声資料の発掘・調査を行い、地域住民主体による地域史の作成や言い伝え等の記録が、学校教育や映像作品、ラジオ劇、モノ資料などの多様な媒体を通して地域住民の歴史意識にどのような影響を与えたのかについて、「京都地域資料アーカイブ」の構築作業を通じて解明する。近代以降の京都における埋もれた地域資料の発掘を進め、その成果の積極的な公表を通じて、「伝統的な日本文化」の象徴といった紋切り型のイメージから実際の京都を解放し、人々がよりリアルな近現代の京都に向き合うための新たな視点・「京都学」の研究方法を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、未だ京都地域に埋もれている(歴史学的な調査対象とされてこなかった)多様な文字・音声資料の発掘を行い、目録化し、アーカイブを構築することを主な目的と定め、NHK社会科ラジオ劇関係資料、紙芝居『祇園祭』(1952年)、立命館大学「夏期日本史公開講座」関連資料、京都市周辺在住者の戦災・占領期に関する聴き取り、京都市内寺院の梵鐘、銅駝史料館所蔵の近代文書群等を研究対象として想定した。2023年度において特に進展があったのは、銅駝史料館所蔵資料の調査・整理であり、一万数千点に及ぶ所蔵資料も目録をほぼ完成した。さらに、京都府立丹後郷土資料館所蔵の郷土史家(岩崎英精)関連資料の調査、古代史家山尾幸久旧蔵資料の目録作成にも新たに取りかかり、それぞれ別メンバーとプロジェクトを立ち上げて調査を進めている。 また、韓国大邱大学の招聘を受け、①「地域社会から学ぶ-「京都学」の目的と可能性」、②「立命館大学における「京都学」講座の達成と課題」の講演・報告を行った(5/11・12)。2005年以降、申請者が取り組んで来た京都地域資料の研究状況の概略を紹介するとともに、それが地域研究にいかなる新局面を切り開きつつあるかについて説明し、「大邱学」の新たな構築に関心を持っている地域住民・研究者の参考となるように努めた。また立命館大学における「京都学」関連講座の成り立ちから現在に至るまでの制度的な展開と、具体的な科目の教育内容について整理し、大学と地域の連携の実践例としての独自性と課題について示した。上記内容を「地域社会から学ぶ-大学における「京都学」の目的と可能性」というタイトルで原稿化し、『東アジア都市の接続と連結』(学古房、2024年2月)に日本語原文・ハングル訳が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた各資料に関しては、それぞれの目録の作成が順調に進み、いずれも纏めの段階に入っている。銅駝史料館所蔵資料については、概要を地域住民に示すための小冊子を執筆し、2024年度中に刊行予定である。調査メンバーによる共同研究により、本資料群が明治初期の番組小学校から尋常小学校・国民学校を経て戦後の新制中学校へ至る銅駝校の歴史全体を知ることの出来る、他に例の無い一括資料であることが解明出来た。またアジア太平洋戦争期の京都に関する検討の結果は、2023年9月にリニューアルされた立命館大学国際平和ミュージアム常設展のなかにコーナーを設けて展示された。 梵鐘調査に関連する調査を韓国釜山大覚寺にて行い、植民地期における日本人職人の出作に関する新たな知見を得た。空白となっている近代以降の三条釜座鋳物師を検討する上で示唆を与える資料と考えられる。 研究の進展に伴って調査範囲を拡大し、京都府北部で昭和戦前期から郷土史家として活躍し、丹後縮緬や近海漁業などの歴史を研究するとともに、戦後の天橋立の景観保全運動を主導した岩崎英精の資料整理を研究協力者とともに開始した。また、立命館大学で20数年教鞭を執り、独創的な日本古代史を構築した山尾幸久の研究関係資料・蔵書(2万数千点余)の目録作成に取りかかり、研究の枠組の形成過程解析を進めた。さらに本学京都学クロスメジャー研究室へ寄贈された、幕末~戦前の京都に関する貴重な資料数百点(多田香疇筆『日本真景』や、伏見警察署の昭和初期の写真アルバム等)について、研究協力者とともに分類・整理を開始した。これらはデジタルデータ化し、京都資料アーカイブに組み込むことで将来的に広く学術利用出来るようにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は本科研の完成年度に当り、この3年間に調査してきた資料の一部(社会科ラジオ劇資料、夏期日本史公開講座資料、岩崎英精資料、山尾幸久資料)について完成した目録稿と、共同研究者とともに執筆する各資料に関する論考を纏めた冊子体の報告書を刊行する予定である。2007~2010年度科研報告書『国民的歴史学運動の京都地域における展開過程に関する研究』に仮目録を掲載した京都民科歴史部会所蔵資料は、その後の管理環境の変化が大きく影響していることが判明したため、現状を確認したい。また紙芝居『祇園祭』関連資料の現状についての原稿を執筆し、上記報告書に掲載する。 これらに加え、京都府立歴彩館で始まった「洛中の文化資源共同研究会」プロジェクトとも連動し、三条釜座鋳物師が居住した近世釜座町に関する新出史料「釜座伝来記」の翻刻を行い、解題を付して大学紀要等に公表するとともに、関連する京都市内の梵鐘調査を実施する。また立命館大学京都学クロスメジャー所蔵の竹松家資料(1950~80年代までのテーマ別新聞スクラップブック約300冊)のデジタルデータ化作業を完了する。 さらに10年以上前から継続している、京都府第3代知事北垣国道の日記『塵海』に関する人名・施設等の基礎的データを集積した一般書の公刊(2025年度を予定)に向けた準備作業を進める。 これらの作業を併行しつつ、京都地域資料アーカイブの全体像を明確化し、完成を目指したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)