元代の海商・船戸と東アジア海域の海運・貿易に関する研究
Project/Area Number |
22K00920
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
矢澤 知行 近畿大学, 国際学部, 教授 (60304664)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 元代 / 社会経済史 / 船戸 / 海商 / 海運 / 東アジア海域交流 |
Outline of Research at the Start |
本研究の第一段階(2022年度)では,①元代における海商と船戸の概要に関する研究に着手する。 本研究の第二段階(2022-2023年度)では,②元代における海商と船戸の活動状況と彼らの具体像の解明,③本研究の周辺領域の解明を行う。 最終の第三段階(2024年度)では,④本研究の仮説ともいえる,元代の中後期における海運~東シナ海・黄海貿易~南海貿易の接続関係について一定の結論を出す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,元代における船戸と海商の具体像を分析することにより,黄海や東シナ海で行われた海運や貿易とそれらの接続関係を解明するとともに,そうした海上活動がモンゴル時代の巨大なネットワークの中でどのような位置づけにあったのかを探ることにある。 今年度は,まず,14世紀の初頭から中期にかけて活動した船戸に着目した研究を進めた。これらの船戸の動向や,海運万戸府の官吏の任命状況などの分析を行い,その成果として研究論文「元代における海運運営体制の展開」を公刊した。また,同論文で十分に明らかにできなかった元代の末期にかけての海運運営体制について,さらに研究を推し進め,その成果を続編の論文にまとめるための作業を行った。 また,それらの研究をふまえ,元朝史研究会において「元代における海運の展開とその意義」と題する研究報告を行った。同報告では,元代の海運が,西方系財務官僚にとっては国内運輸と海外貿易などを包括する行財政機構構築計画の一部であり,江南在地の新興有力船戸にとっては海運港を拠点に富民として成長する契機となる事業であり,そして,両者の協力あるいは補完関係の延長上に海運運営体制が完成し,それがモンゴル元朝の管理下に置かれたとの理解を述べた。 次に,本研究の周辺諸領域に関わる水中考古学・日元貿易・南海貿易などの先行研究の収集を始めた。綏中三道崗や太倉,カ(草かんむり+河)沢,蓬莱などの古船,沈没船に関する調査報告書や研究論文などがそれにあたる。本研究では,それらの研究蓄積を視野に収めつつ,海を行き交った人(海商・船戸)・モノ(交易品)・情報(宗教・言語など)などの側面からも研究内容を補強する作業に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで,14世紀前半以降に活動した船戸に着目した研究を進め,その内容を研究論文「元代における海運運営体制の展開」として公刊し,さらにその内容をもとに元代における海運の意義に論及した研究報告「元代における海運の展開とその意義」を行った。これらの論文と報告では,海運運営体制の展開に関する5つの時期区分を示すとともに,海運遂行に必要な“リソース”(監督・管理官などの人員,船舶・港湾などのハードウェア,制度・命令系統などのソフトウェア)の観点から各時代における海運の特徴を明らかにした。 また,元末の海運についての精査と,海運やその周辺領域に関わる水中考古学の先行研究の整理は,現時点では途上の段階にあるが,いずれも研究内容を論文にまとめるための準備に着手している。 以上のように,本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては,まず,元代の末期にかけての海運運営体制について不明な課題がいくつか残されており,それらを再検討した内容を論文として公刊したい。 また,元代の海運に従事した船戸だけでなく,黄海・東シナ海貿易に参画した海商の活動状況と彼らの具体像を明らかにするとともに,海運と黄海・東シナ海貿易や,東シナ海貿易と南海貿易の接続関係を,航路を往来した人・モノ・情報の面から分析することによって,モンゴル時代における東アジア海域交流の歴史的意義を解明することをめざす。 そして,最終的には,本研究の仮説ともいえる,元代の中後期における海運~東シナ海・黄海貿易,南海貿易の接続関係について一定の結論を出す。そのうえで研究を総括し,ユーラシア規模の海域交流の中での位置づけや,宋代~元代~明清代における東アジア海域史の展開とその意義を再考する。なお,本研究の成果は,研究発表と研究論文を通じて順次公表し,最終研究報告書を刊行する計画である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)