解剖学的方法に基づく日本列島の各時代人類集団の正確な身長推定
Project/Area Number |
22K01005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐伯 史子 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (20780216)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 身長推定 / 骨格復元法 / Fully-Raxter法 / 古人骨 / 日本列島の人類集団 / 解剖学的方法 / 日本列島集団 / 骨考古学 |
Outline of Research at the Start |
身長は、個体や集団の特徴をあらわす最も基礎的な身体情報の一つである。過去の人々の身長を明らかにするためには遺跡出土人骨の身長推定が必要となるが、日本列島集団を対象とした従来の身長研究には、結果の正確性に検討の余地が残されていた。本研究では、古人骨の身長を最も正確に推定できる解剖学的方法を駆使して、縄文時代から近世までの多数の人骨を調査し、日本列島の各時代の人々の身長をできるだけ正確に復元することを目指す。本研究は、日本列島の各時代集団の身長を解剖学的方法で追求する初めての試みであり、古人骨の身長研究の推進に貢献するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
身長は、個体や集団の特徴をあらわす最も基礎的な身体情報の一つである。過去の人々の身長を明らかにするためには遺跡出土人骨の身長推定が必要となるが、日本列島集団を対象とした従来の身長研究には、結果の正確性に検討の余地が残されていた。本研究では、古人骨の身長を最も正確に推定できる二つの解剖学的方法(骨格復元法とFully-Raxter法)を駆使して、縄文時代から近世までの多数の人骨を調査し、日本列島の各時代の人々の身長をできるだけ正確に復元することを目指している。 2022年度は、以下の3つの研究を進めた。(1)縄文時代人の身長を最も正確に推定できる数学的身長推定法の探索:高い正確性が期待される骨格復元法で求めた身長を基準として、Pearson式や藤井式などの数学的身長推定法で算出した値との差異を検討し、縄文時代人の身長推定における数学的身長推定法の妥当性を検討した。また、これについて結果を論文にまとめるべく準備を進めた。(2)東京都港区湖雲寺遺跡から出土した江戸時代人骨群のFully-Raxter法に基づく身長推定:新潟医療福祉大学に保管されている湖雲寺遺跡から、頭骨・椎骨・下肢長骨・足骨が完存する骨格を選び出し、Fully-Raxter法で身長を推定するための骨計測を実施した。資料数が多いため、この研究は2023年度も継続して実施する予定である。(3)愛媛県上黒岩第2岩陰から出土した縄文早期人骨の身長推定:上黒岩第2岩陰遺跡から出土した縄文時代早期人骨について、身長推定を含む包括的な骨考古学的調査を実施した。成人男性大腿骨についてPearson式により身長を推定したところ161.6cmの結果を得たが、この値は近隣の上黒岩岩陰遺跡の縄文早期男性と同程度であり、後晩期の縄文男性よりやや高い値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縄文時代人については、女性10体・男性10体を資料として、骨格復元法に基づく身長推定と、Pearson式および藤井式による数学的身長推定を終えており、現在、それらのデータを分析して、縄文時代人の身長推定における数学的身長推定法の妥当性を検討する論文の作成に取り掛かっている。また、研究計画に則り、解剖学的身長復元に必要な人類学的骨計測器具(マルチン式骨計測版、デジタルネックノギスなど)を購入し、研究環境を整備した。これらの計測器具を用いて、湖雲寺遺跡から出土した保存状態良好な江戸時代人の成人骨格の計測を進め、データを収集している。さらに、本研究課題に関連して、縄文時代早期の貴重な出土人骨について身長の研究を実施するなど、広く人骨資料を用いた身長研究を推進している。以上の通り、本研究計画は順調に進行している状況にあり、2023年度以降の研究の遂行にも不安はない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、当初の計画に従い、以下1~3を中心に研究を推進する。(1)2022年度に着手した縄文時代人の身長研究に関し、骨格復元法で求めた復元身長を基準として、数学的身長推定法の縄文時代人身長推定における妥当性を評価し、成果を論文にまとめてオープンアクセスジャーナルに投稿する準備を進める。(2)東京都港区湖雲寺遺跡から出土した江戸時代人骨群の頭骨・椎骨・大腿骨・脛骨・足骨を計測し、Fully-Raxter法に基づき身長を推定する。また、上腕骨・橈骨・尺骨・大腿骨・脛骨・腓骨の全長と最大長を計測して、Pearson(1899)、Trotter and Gleser(1952)、藤井(1960)、佐宗・埴原(1998)などの数学的方法で身長を推定し、Fully-Raxter法で求めた身長を基準として、各方法の江戸時代人骨の推定身長における妥当性を検討する。(3)国立科学博物館や東北大学など保存状態の良好な遺跡出土人骨が多く収蔵されている研究機関を訪問し、Fully-Raxter法および数学的方法による身長推定で使用するため、各時代の古人骨を資料として骨計測を実施する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)