出土漆塗膜の模擬試料作成の試み―より安定的な保存処理法の開発のために
Project/Area Number |
22K01012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
楊 曼寧 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, アソシエイトフェロー (40911079)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 出土漆塗膜 / 保存処理 / 劣化 / 模擬試料 / 保存処理実験 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、出土漆製品のより安定的な保存処理法を検討するために、1) 出土漆塗膜表状態を詳細に観察するとともに、2)出土漆塗膜の立体的な化学構造を把握し、これらの結果に基づき実際の漆塗膜の特性を再現した3)保存処理の実験用の模擬試料を作成することと4)出土漆塗膜の劣化状況が乾燥による変形に及ぼす影響を検討することを主要な目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
出土漆塗膜は保存処理の過程でしわや剥離など、種々の劣化が生じることが問題となっており、この効果的な抑制法を検討するためには、劣化の発生機構や支配要因を解明することが重要である。本研究は、出土漆製品のより安定な保存処理法を検討するために、出土漆塗膜の物性測定、層構造を含む状態の詳細観察、および化学構造の分析をおこない、さらに、これらの結果に基づき実際の漆塗膜の特性を再現した模擬試料を作成することを目標とする。 初年度となる令和4年度は模擬試料作成の前段階として、1) 出土漆塗膜を採取してその表面状態の詳細観察、2) 出土漆塗膜の化学成分を含む特性の把握、3)保存処理の実験用の模擬試料となる塗膜の作成、を実施した。 1)保存処理中の漆塗膜の変形挙動が異なる2点の出土銅製品を対象としてそれらの状態を調査した結果、塗膜の劣化状態と金属の減肉状態との関連、カールした資料とカールが生じないものの塗膜厚さの差が認められた。2)上記資料を全反射フーリエ変換赤外分光法で成分分析を行い、得られたスペクトルで明確な差異は認められなかった。塗膜の深さ方向での化学構造を把握するために、資料から採取したサンプルを樹脂にてスライドガラスに固定して表面・界面物性解析装置で斜め切削し、塗膜断面に対する顕微赤外分光法でマッピングを実施した。3)生漆をバーコーターでガラスに均一に塗布し、恒温恒湿器で塗膜を硬化させた。一方で、金属の上に漆塗膜を作成するには、古来より焼付という方法が使用されており、ガラスに塗布し硬化させた塗膜が充分にその特性を再現されておらず、基板の影響と焼付け条件の違いによる成分変化の検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は1) 出土漆塗膜の表面状態の詳細観察、2) 出土漆塗膜の化学成分を含む特性の把握、3)保存処理の実験用の模擬試料となる塗膜の作成を予定していた。1)と2)については、デジタルマイクロスコープによる細部観察とフーリエ変換赤外分光分析装置による成分分析で当該塗膜の特性を概ねに把握することができた。顕微赤外分光装置を用いて、塗膜の深さ方向の化学構造の分析に着手したものの、装置に故障が生じ、予定していた点数を分析することができなかった。当該装置は令和4年3月に修理されており、追加のサンプルの測定については早急に実施する予定である。 3)については概ね当初の計画通りとしたが、再現性の向上を目指し、基板の影響と焼付け条件の違いによる成分変化を考慮し、模擬試料となる塗膜の追加作成が予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は以下の3点を中心に研究を進める。 1) 出土漆塗膜表面状態の詳細観察:令和4年度に引き続き、非破壊で測定可能な範囲内、幅広く出土漆塗膜の構造を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡で詳細に観察し、塗膜の下地構造、厚みと劣化状態の関係や保存処理工程と変形の関係などのデータを蓄積する。 2) 出土漆塗膜の立体的な化学構造の把握:塗膜深さ方向の化学構造と組成分布を明らかにし、変形挙動が異なる資料から得られる吸収ピークを比較することで、出土漆塗膜の劣化に伴い発生した化学変化の把握を試みる。詳細観察で得られる漆塗膜の下地構造、厚みと表面状態の情報と合わせて総合的な劣化評価をおこなう。 3) 保存処理の実験用の模擬試料の作成:銅基板に生漆を焼付ける条件の違いによって成分変化の有無を確認する上に、その結果に基づいて作成した塗膜の成分が安定になるまで冷暗所保存を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)