Project/Area Number |
22K01024
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03070:Museology-related
|
Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
加藤 ゆき 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70342946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (70300960)
大島 光春 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40260343)
石浜 佐栄子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (60416047)
大坪 奏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 非常勤学芸員 (40598041)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | ハンズオン展示 / ハンズオフ化 / 発話採集 / 展示評価 |
Outline of Research at the Start |
五感に働きかけるハンズオン展示は、これまで多くの博物館施設で導入されてきた。利用者にとってハンズオフ(観覧主体型)展示よりも印象に残り、展示への理解を深める上でより効果的な手法であることが先行研究により確かめられている。しかし、最近は新型コロナウイルス感染症の影響により、展示物への接触を制限(ハンズオフ化)している施設が多く見られる。 ところが、ハンズオフ化したハンズオン展示での利用者意識の変遷や教育的効果は、ほとんど調べられていない。本研究では、ハンズオン体験の有無が同一展示にどのように影響しているのか、直感的・感覚的な感想の「発話」データを収集し、ハンズオン展示の意義の再評価を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
多くの博物館施設で導入されているハンズオン展示は、標本等をケースに入れずに間近で見られるよう配置し、参加体験型の見学ができるよう工夫がなされている。その結果、ハンズオフ(観覧主体型)展示に比べ利用率、滞在時間ともに長い傾向がみられ、積極的に展示を注視する傾向があることが報告されている。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、ハンズオン展示はほぼ全て『触れることのできない(ハンズオフ化)』展示として制限されてきた。 本研究は、ハンズオン展示のハンズオフ化がどのように利用者に影響したのか、そもそもハンズオン展示自体が利用者にどのように受け止められているのか、それからどのようなことを学んでいるのかを調査、解析することにより、展示企画側が意図し考察すべき課題を明らかにして、より多くの利用者が興味・関心をもつ展示活動の実践に寄与することを目的として実施してきた。 令和4年度はハンズオフ化されたハンズオン展示において利用者の行動観察を行うと共に、直感的・感覚的な感想である『発話』データの収集をすすめた。結果、利用者の約4割が展示を注視することなく通過した。残り6割は展示の前に立ち止まり、その多くで『指さし行動』が見られ、少数ではあるが標本を『探す』、『細部を観察する』といった積極的行動も見られた。発話内容として、多くが展示タイトルをそのまま読み上げ、続いて標本の形状(大きい、丸い、つやつやしている)等の感想を話し合っていた。家族グループでは子どもから大人に対して疑問(なぜ?どうして?)が投げかけられ、それに対して大人が回答する、といった場面も見られた。発話は子どもを連れた家族グループで多く見られ、遠足等の子どもを主とした団体や大学生のグループではほぼ行われず、グループの人員構成による違いが見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の拡大による影響で、接触を伴う入館者へのアンケート調査などが実施できなかった。それに代わり、ハンズオフ化されたハンズオン展示での来館者行動調査や発話採集を複数回にわたり実施した。 (1)『書面による利用者の基礎情報の収集』については、接触制限などの影響により思うように実施できなかったため、令和5年度以降に改めて実施する。 (2)『行動観察及び発話採集による評価素材の収集』については、予定通り実施することができた。令和5年度は、ハンズオフ解除後のハンズオン展示での評価素材の収集を試みる。 (3)『観覧後のアンケートによる評価素材の収集』については、対面でのアンケート等の実施が新型コロナウィルス感染症対策の関係で難しかったが、規制の緩和を受け、令和5年度以降に改めて実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)評価素材の収集と利用前後調査の検討 令和4年度に引き続き、ハンズオン展示での利用者の行動観察及び発話採集を行うとともに、併せて利用者に対するアンケートを実施し、利用前後の展示に対する満足度や理解度の変化を測る。さらに、ハンズオン展示を体験した利用者が、帰宅後、日常的な会話や行動にどのような変化があったのか、といった意識変化を調べるためのアンケートを実施するべく、その手法等を検討する。 (2) 評価素材の解析とハンズオン展示評価の試み 令和4年度から収集してきた評価素材を解析し、ハンズオン展示の評価を試みる。評価素材には満足度や閲覧時間といった数値化しやすいものと、自由意見や閲覧時の行動や動線、会話など数値化が難しいものとが混在する。観覧時の行動や動線はアンケート結果との関連度を解析、自由意見や会話にはテキストマイニング法を用い、単語・文章の出現の頻度や共出現の相関、出現傾向などを抽出、解析することにより概要把握を行う。これら評価素材から共通ファクターを抽出し、ハンズオン展示の評価を試みる。 (3)『新たな』ハンズオン展示の在り方の検討と提案 得られた評価をもとにハンズオン展示の在り方と、当館としての展示の方向性を検討し、報告書としてまとめる。当館は開館してから20年以上経過し、現在、展示更新の検討を始めている。そのため、本研究で得られた成果は、最終的に展示更新を前提とした提言としてまとめ、更新の基本設計への活用を図る。
|