現代アメリカ行政国家の動揺と「保守」の憲法観――大統領の人事権を手がかりに
Project/Area Number |
22K01107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
会澤 恒 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (70322782)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 大統領の人事権 / ニューディール型行政国家 / 独立行政機関 / 保守政治 / 単一執行権理論 |
Outline of Research at the Start |
アメリカの大統領が連邦行政機関の官職について持つ人事権に関する近時の合衆国最高裁判例は、これを大統領に集約する方向性を示しており、行政機関の独立性を掘り崩すかのようである。本研究はその意義を、判例法の内在的理解、「保守」の憲法観の政治史への定位、専門的能力の活用・政治的アカウンタビリティの確保の観点に照らしたパフォーマンス評価という作業から明らかにする。本研究は、法的なロジックの分析を政治史に結びつけ、具体的な手触りを伴ったアメリカ理解をもたらす。また、統治における専門性とアカウンタビリティとの緊張関係は、現下の感染症対策を含め洋の東西を問わない。その比較検討に向けた事例を本研究は提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ合衆国の大統領が連邦行政機関の官職について持つ人事権に関する近時の判例動向を手がかりとして、「保守」的な憲法観が現代型行政国家に対してもたらす動揺を検証し、その要因と影響とを分析するものである。 本年度は、着想の契機となった合衆国最高裁の判例法を内在的に把握する作業に従事した。その一環として特許審判を違憲とした判決を検討する評釈を公表した。この事件で争われたスキームでは、商務長官限りによって任命された特許審判官が行政部門としての終局的決定を行っており、この決定に大統領が直接に任命する主要官僚は異議を差し挟むことができなかった。法定意見が、このようなスキームは大統領を起点とする行政部門の「命令の連鎖」を破壊して違憲だとする一方で、個々の事案処理に対する上官の指揮・監督は必須ではないとの反対意見も提出されている。すなわち、行政のアカウンタビリティとは何を意味するのか、人事において適切な人物を選任することに留まるのか、個々の事案処理についても究極的に大統領が責任を負うことがポイントなのか、という位相差を析出できた。近時の最高裁が大統領の人事権について有する関心が、法執行権能を大統領に一元的に把握させようとの保守派の理論である強い単一執行権論とも通底することを確認した。 また、ニューディール型行政国家体制は、行政部門による裁決手続とそれに対する司法審査を、訴訟における上訴手続と同様の連続的なものとして把握していた。これに対し、近時の最高裁判例においては、裁決手続を執行部門内部で終結すべきものとして位置付け、これに対する司法審査との間でラインを引いている、という特徴も見出された。これはニューディール体制の相対化であるが、形式の確保に留まっていて決定の実質に大きな差異はないとも見受けられ、この形式への関心が那辺に由来するのか、というさらなる問いが析出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の作業として予定していた、大統領の人事権に関する合衆国最高裁の判例法の検討作業が進展し、具体的な判例評釈――関連する背景事情などについても論じた結果、浩瀚なものとなった――として公刊した。その作業を通じて、保守派の理論である強い単一執行権論が影響力を強めていること、だが保守派の法律家の間にも位相の差が見受けられること、ニューディール体制の相対化が見受けられるが、形式の確保に関心が偏っており実質面への関心が弱いこと、といった諸点を析出した。こうした諸点のもたらす要因が那辺にあるのか、という次の検討課題へのステップを確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は当初予定していた研究計画を着実に遂行できており、次の検討課題である「保守」の憲法理論の内在的分析と政治史への定位という作業に着実に取り組んでいく。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)