Project/Area Number |
22K01308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山崎 望 駒澤大学, 法学部, 教授 (90459016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 圭 立命館大学, 法学部, 准教授 (90720798)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 民主主義 / 現代思想 / 嫉妬 / エクリチュールフェミニン / ジュディス・バトラー / コリーヌ・ペリュション / 生と死 / 政治的なもの / ジャン=リュック・ナンシー / アセンブリ / 非暴力 / デモス / 他者をめぐる哲学 / 人民をめぐる哲学 / フェミニズム |
Outline of Research at the Start |
研究目的は、自由民主主義を自明視することなく、民主主義の担い手であるデモス(民衆)に着目して、(1)自由民主主義の危機を明らかにし、(2)それを踏まえてデモス像の刷新を目指すことである。 具体的には、政治学の独占的な研究対象とされがちな民主主義について、(1)他者をめぐる哲学と、人民(people)という主体をめぐる哲学、そして(2)人間の脆弱性に着目し相互依存を重視するケアをめぐるフェミニズムと、国境を越えるフェミニズムという、二つの人文科学の観点を導入し、投票や熟議を通じて集合的な意思決定を行う、合理的で自律性の高いデモス像の刷新を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
今期は各自で研究を進めると共に、研究会を二回開催し研究成果の確認と統合を図る共に隣接分野で最先端の研究を進めている研究者を招聘することで、研究成果全体の位置づけにつても模索した。 研究代表者の山崎は、柄谷行人の交換論を足掛かりに、文化人類学と哲学において主に研究が進められている贈与論について考察を深め、商品交換による交換が主流となった現代の資本主義社会とは異なる交換システムの社会において、民主主義がいかなる形態をとり得るか、について考察を深めた。研究会における報告と議論を経て内容を再検討し、書籍に形で公刊する予定である。 研究分担者の山本は、「政治的なもの」と現代思想の関係についての研究を進展させると同時に、精神分析的政治学の確立に歩みを進めている。現代社会でも問題化している嫉妬という人間の感情について、思想史的観点および現代社会における観点から分析を行い、嫉妬と民主主義の関係について考察を深めた。その成果は山本圭『嫉妬論』光文社新書として公刊され、広く多分野にわたる反響を呼んでいる。 また既述した研究会では、第一回は伊藤潤一郎(新潟県立大学)、五十嵐舞(新潟県立大学)両氏を招聘し、各々「コリーヌペリション『糧』をめぐる考察」と「可視/不可視の差別とバトラーの認知に関する図式について」を、第二回には清水知子(東京藝術大学)、横田祐美子(横浜美術大学)両氏を招聘し、各々「死/生時代の政治と芸術」と「エクリチュールフェミニンにおける言語の政治性」について講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現代思想、とりわけ哲学の観点からのアプロ―チとして、バトラーやペリュションなどの世界的な影響力を誇る論者の思想を考察すると同時に、エクリチュール・フェミニンや「嫉妬」の概念、また人と自然/動物の関係性の考察を通じて、所与とみなされがちな「現実」を揺らがす諸構想についての研究を深めることに成功しつつある。他方、現代民主主義論において重視されている、政治の前提条件を構成する「政治的なもの」に着目することで、既存の政治そのものを自明視しない政治の在り方の模索も行っている。この「政治的なもの」の観点から、代替的な政治/社会構想を展開する準備が整いつつある、と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究で深めてきた哲学についての理解と、「政治的なもの」に着目した政治学の接点をより明確化するために、招聘した/する研究者との協働作業も視野に入れて研究業績を独創的な形でまとめるために必要な作業を進める予定である。
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