Project/Area Number |
22K01332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
中田 晋自 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60363909)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 参加型予算 / ミニ・パブリックス / 抽選民主主義 / 市政改革 / 住区評議会 / 市町村合併 / フランス |
Outline of Research at the Start |
近年の欧州諸国は、メンバーを抽選で選ぶミニ・パブリックスに国政レベルのテーマの審議を託すなど、抽選民主主義の「新時代」にある。他方フランスの住区評議会制は、人口8万人以上のコミューン(市町村)に都市内分権組織の設置を義務づける市民参加制度であるが、その制度設計を一任された当該コミューン議会が、この組織を自治体予算の編成から排除するなど、従来からその限界性が指摘されてきた。しかし近年、これらの組織を通じてミニ・パブリックスや参加型予算(予算編成に市民が参加)を実践している自治体も登場していることから、本研究では、こうした先進的事例がどのような理論的・実践的意義を有しているか解明していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の欧州諸国は、メンバーを抽選で選ぶミニ・パブリックスに国政レベルのテーマの審議を託すなど、抽選民主主義の「新時代」にある。メンバーを抽選で選出する熟議体はミニ・パブリックスと呼ばれ、1970年代初頭の米・西独でその試みが始まったが、近年では欧州諸国の国政レベルにおいて、その存在感を示している。 他方フランスの住区評議会制は、人口8万人以上のコミューン(市町村)に都市内分権組織の設置を義務づける市民参加制度であるが、その制度設計を一任された当該コミューン議会が、この組織を自治体予算の編成から排除するなど、従来からその限界性が指摘されてきた。しかし近年、これらの組織を通じてミニ・パブリックス(抽選制熟議体)や参加型予算(予算編成に市民が参加)を実践している自治体も登場している。 以上のことを踏まえ、本研究の目的は、フランスの市民参加制度の実施状況を俯瞰するとともに、とりわけ法定の都市内分権組織である住区評議会の枠組みを活用して、ミニ・パブリックス(抽選制熟議体)や参加型予算を実践している都市自治体の先進的事例を、現地調査研究を通じて収集・分析するなかで、より実効的な市民参加制度のあり方を探求することにある。 そこで、1年目はフランス南東部のアヌシー(Annecy)市、そして2年目は北西部のレンヌ(Rennes)市を事例研究の対象地域とした。2020年春の全国一斉コミューン議会選挙の結果、アヌシー市では市政担当者の交代(中道右派から環境保護派へ)が起こり、この新市政は、選挙公約に従い、「市民参加改革」を実行に移すとともに、前市政下で設置された住区評議会についても、抜本的な見直しをおこなった。他方レンヌ市では、社会党と環境保護派の市政が再選を果たし、2021年に「地域民主主義・市民参加憲章」を改定して、市政改革をさらに拡充させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【研究実績の概要】で述べたように、本研究は、フランスの市民参加制度の実施状況を俯瞰するとともに、とりわけ法定の都市内分権組織である住区評議会の枠組みを活用して、ミニ・パブリックス(抽選制熟議体)や参加型予算を実践している都市自治体の先進的事例を、現地調査研究を通じて収集・分析するなかで、より実効的な市民参加制度のあり方を探求することを目的としている。 当初、2年目にあたる2023年度については、1年目(2022年度)に訪問したアヌシー(Annecy)市を対象とする本格的な現地調査を実施する予定でいたが、同市役所との日程調整が上手くいかなかったため、急遽2年目の調査対象地域をレンヌ(Rennes)市に変更することになった。とはいえ、レンヌ市では、2020年のコミューン議会選挙で再選を果たした社会党と環境保護派の市政が、1期目の2015年に制定した「地域民主主義・市民参加憲章」を抜本的に見直し、これを改定して市政改革をさらに拡充するなど、本研究の問題意識に合致した重要な知見を得ることができた。 このように、当初の予定とは異なる方向に進んでいるものの、一定の発展が見られることから、本研究の現在までの進捗状況に対する評価を「やや遅れている」とした上で、次項のような研究の推進方策をとろうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べた理由・事情から、本研究では、アヌシー市につづき、レンヌ市を対象地域とする現地調査研究を実施している。特にレンヌ市を対象とする調査研究では、同市がすでに実績を上げている参加型予算をさらにバージョンアップさせるべく、「子どもたちのための参加型予算」(子どもたちが予算の使途についてアイディアを出し、子どもたちが投票をおこなって優先順位を決定し、その実施状況を子どもたちが監査する)を試行していることを学んだ。 そこで、本研究の最終年度にあたる2024年度についても、レンヌ市と並んで参加型予算の分野における実績をあげているフランス南東部の地方都市グルノーブル(Grenoble)を対象に定め、研究を推進していきたいと考えている。2024年の夏に向けては、すでに同市役所への訪問について同市の担当者から承諾を得ているなど、準備も進んでいる。
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