Project/Area Number |
22K01411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
板井 広明 専修大学, 経済学部, 准教授 (60405032)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 功利主義 / フェミニズム / ベンサム / 古典派経済学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ジェンダー視点から、経済学を思想史的に検討するものである。とりわけA.スミス、J.ベンサム、T.R.マルサスといった古典派経済学が前提にする経済主体と人間の再生産の捉え方および方法論的前提を考察する。 これは、1990年代以降のフェミニスト経済学的視点から、従来の経済学の再検討を行なうことでもある。性別役割分業などのジェンダー不平等という現象に着目するだけでなく、その不平等が生み出される構造やその不平等を分析する経済学の経済人モデルなどの方法論的前提自体に潜むジェンダー・バイアスを、古典派経済学の時期にまで遡って検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、C. Nyland & R. W. Dimand編のThe Status of Women in Classical Economic Thought, Edward Elgar Publishing, 2004やM. Evans他編 The SAGE Handbook of Feminist Theory, 2014所収のE. Hanappi-Egger, “‘Homo Economicus’ and ‘His’ Impact on Gendered Societies”などを参照しつつ、これまでの経済学史およびフェミニスト(政治)経済学において、女性がどのような経済的存在(労働者に含まれるのか、家事労働の担い手としてか、無償労働の担い手としてか)として描かれてきたのかの再検討を行なった。 その上で、ベンサムが自らの経済学の先駆者にして最重要人物と考えたアダム・スミスの『国富論』、さらにその前に構想されていた『法学講義』において女性の法的地位などについて詳細に行なっている検討を分析し、とりわけ民法領域における女性の規程を考察した。その上で、ベンサムの経済思想における女性の位置づけを考察するために、市場の外部=家庭へと女性が放逐された点を、社会規範からの逸脱者を放逐する論理から検討し、コロナ禍ではあったが、ロンドン大学UCL所蔵のベンサム草稿を検討できたのはありがたく、それに加えて、ベンサムのOf Sexual Irregularities, and Other Writings On Sexual Morality(OUP, 2014)の諸テクストを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の進捗状況では、民法領域における財産権に基づいた女性の保守的な位置付けというベンサムの見解を検討するため、1802年に出版された『民事および刑事立法論』を編集した弟子のデュモンが保管していた草稿類(ジュネーヴ大学)をコロナ禍故にチェックすることができなかった点が予定とは異なっているため、おおむねという評価とした。また参加予定だった国際功利主義学会はローマで2023年7月に開催されるが、学期中の開催となってしまったため、参加が難しくなった。その点は、渡英時のロンドン大学UCLのベンサムプロジェクトの研究者との意見交換で補いたい。ただ1年目にロンドンでの草稿調査ができたので、その点での研究の進展は予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ベンサムの草稿類は膨大な量に及ぶため、丹念にそれを読解し解釈するしかない。その点では、今夏も、ロンドンでの草稿調査をしっかり行なう考えである。一方で、新型コロナウイルス感染症の扱いが変わり、国内の研究者との研究交流を持ちやすい環境になってきたので、18世紀および19世紀思想史研究者との研究交流を積極的に行ない、さまざまな観点からの研究を行なうことが、これまでの研究の隙間を埋める意味で重要であろう。また2024年刊行予定で、柳田芳伸・原伸子編『経済学者たちの女性論:同一賃金論からフェミニズム論へ』にベンサムの女性に関する経済学的認識についての論考を準備することになるので、研究課題の中心的テーマでもある、この論考を緻密なものとするよう練り上げる予定である。
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