Project/Area Number |
22K01507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹内 文英 東海大学, 政治経済学部, 教授 (00640749)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 実質為替レート / PPPパズル / 粘着性と変動性の相互関係 / ニューケインジアンモデル / 粘着性 / 変動性 |
Outline of Research at the Start |
マクロ・ミクロ経済に大きな影響を及ぼす実質為替レートについて、「PPP (購買力平価)puzzle」に関わる2つの特性、①均衡状態への収束スピードに関わる「粘着性」、②均衡からの乖離の大きさに関わる「変動性」を、従来とは異なるアプローチにより解明する。 従来とは異なり、途上国も含めた幅広いデータを使い予備的に分析した結果、両者は非線形の凸関数に近似できる関係にあることが分かった。粘着性が高く変動度が相対的に大きいグループ、粘着性が低く変動度が大きな国々のグループ、それらの中間的な性格を持ったグループに分かれる。このような粘着性と変動性の特性の背後にあるメカニズムを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マクロ・ミクロ経済に大きな影響を及ぼす実質為替レートについて、「PPP (購買力平価)puzzle」に関わる2つの特性、すなわち、①均衡状態への収束スピードに関わる粘着性(persistence)、②均衡からの乖離の大きさに関わる変動性(volatility)、について従来とは異なるアプローチにより解明することにある。 前年の2022年度には途上国も含めた幅広いクロスセクションのデータを使い、wavelet filterという先進的な時系列分析の手法を使って分析した結果、実質レートの粘着性と変動性の関係は、非線形の凸関数に近似できることが分かった。非線形の関係性は途上国、先進国のいずれでも観察でき、途上国は先進国に比べて全体として変動度が大きく、粘着性は低くなっていた。この非線形の関係性は、これまでのこの分野の先行研究では明らかにされていなかった。 2023年度は、この特徴的な粘着性と変動性の非線形の関係がどのようにして出現するのかを、価格の粘着性とマネタリーショックを基本とするニューケインジアンモデルを使って検討した。分析の結果、(1)粘着性と変動性が非線形の関係にあるのは主に、インフレ率の金融政策反応パラメータに依存している、(2)途上国は先進国に比べて全体として変動度が大きく、粘着性は低くなっているのは、モデルの全要素生産性(TFP)の粘着性を規定するパラメータの違いに依存している、ことが明らかになった。2023年度はこのモデル分析の結果を海外の研究学会で報告することができた(33rd RSEP International Conference on Economics, Finance & Business organized by Review of Socio-Economic Perspectives (RSEP) on 23-24 November 2023 in Rome)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は大きく、データ解析とモデル分析の2つの分野に分かれるが、前年度に1番目のデータ分析を行い、2023年度はモデル分析を行なった。予定通りに作業が進捗し、分析結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに行ったデータ分析、モデル分析の結果を踏まえて次に取り組むのは、実質レートの粘着性、変動性の非線形の関係を規定していると考えられる全要素生産性(TFP)と金融政策に関わるデータの収集と分析である。全要素生産性(TFP)の粘着性を規定するパラメータ、及び、インフレ率の金融政策反応パラメータを分析対象国について計測する必要がある。データ分析を行なって得られるパラメータとモデルの分析内容とが整合的かどうかを検証していく。以上のデータ分析には全要素生産性、潜在G D P、物価、金利、マネーストックなどのデータを、途上国を含め広範に収集する必要がある。そのため、I M Fや世界銀行などの国際機関が公表している既存のデータベースのほか、先進国・途上国のマクロ、セミマクロデータを長期間にわたり幅広く収容していることに特徴があるCEICデータベース(CEIC Data Inc.)を購入して利用する。
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