Project/Area Number |
22K01552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮尾 龍蔵 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40229802)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 非伝統的金融政策 / マクロ実証分析 |
Outline of Research at the Start |
世界金融危機を契機に先進各国は非伝統的金融政策を相次いで採用・拡充し、危機終息後もその利用は続いている。本研究の目的は、マクロ時系列分析の手法を日本と米国のデータに応用し、非伝統的金融政策の役割について実証的な再検討を行うことである。特に、①生産性や潜在成長率など経済の供給面への影響、②政策効果の違いをもたらす経済条件、③資産買入政策におけるフロー効果とストック効果の区別などを検証し、現代の非伝統的金融政策がどのようなメカニズムを通じて経済・物価に影響を及ぼしているのか、そして経済の持続的成長にどの程度寄与するのか、定量的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マクロ時系列分析の手法を日本と米国のデータに応用し、非伝統的金融政策の役割について実証的な再検討を行うことである。 2023年度は、前年度に引き続いて、政策効果の違いをもたらす経済条件に着目し、貨幣量と物価の関係に焦点をあてた分析を進めた。貨幣量と物価の関係を論ずる貨幣数量説の議論では、貨幣の流通速度が一定という前提がおかれるが、貨幣需要が強まり流通速度が低下すれば、貨幣量と物価の関係は弱まりうる。この点に着目して、貨幣量、流通速度、物価の相互関係を分析する構造ベクトル自己回帰モデルを構築した。日米のデータを利用し、期間を分けた検証を行った結果、金融危機前の期間については総じて明確な正の関係が検出された一方、金融危機/バブル崩壊後の期間では、貨幣量の増加に伴って流通速度が持続的に低下しており、物価との関係が弱まっているとの結果が示された。また、貨幣需要の均衡関係の枠組みに基づいた考察も行った。各変数に対数を取るモデル(「ログ・ログモデル」)に基づいて検証したところ、ゼロ金利近くの期間でも安定した貨幣需要関係が引き続き存在する一方、ゼロ金利後の期間では貨幣需要関係が不安定化したことが日米両国のデータから示された。貨幣量と物価の関係は、貨幣需要関係の観点からも、近年のゼロ金利後の利上げを契機としてさらに弱まった可能性が示唆された。以上の研究成果をとりまとめ、学術論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って実証分析を実施し、概ね順調に進捗している。研究成果を学術論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、予定している他のプロジェクトの分析へと進む。学会等への対面参加の機会を増やし、意見交換の場を増やすことを計画している。
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