バリア・オプションのGreeksの統一的な計算手法の確立
Project/Area Number |
22K01556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石谷 謙介 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30636436)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | バリア・オプション / Greeks / Wiener汎関数積分 / 微分連鎖律 / 3次元Bessel橋 / Brown彷徨過程 / Brown引越過程・Bessel引越過程 / 関数近似と逆関数法 / Brown引越過程 / 時間非一様なMarkov過程 |
Outline of Research at the Start |
近年では、バリア・オプションが金融実務において広く利用されており、金融機関がバリア・オプション取引を行う場合に、事前にGreeksとよばれるリスク量を正確に計算し把握することが重要な課題と認識されている。従来の研究では、その数学的困難さゆえに、一定の条件をみたすバリア・オプションを除き、未だ統一的なGreeksの計算方法は確立されていない。申請者はこれまで、様々なタイプのバリア・オプションの1次オーダーのGreeksを統一的に計算するための公式を発見している。本研究の目的は、様々なタイプのバリア・オプションのGreeksを、高精度に計算する統一的な手法を提案することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
BSモデルよりも発展的なモデルの下で「バリア・オプションの高次Greeks」を統一的に計算する手法を開発するためには、拡散引越過程という新たな確率過程を構成し、その諸性質について研究する必要があることが判明した。一方で、一般的な設定の下で拡散引越過程を構成するためには、いくつかの困難が伴うことも本研究を通じて徐々に判明してきた。そこで、2023年度は、今後の研究において一般的な拡散引越過程を構成するための足掛かりとして、拡散引越過程の中のある特定のクラスである「δ次元Bessel引越過程」について詳しく研究を行い、そこで得られた研究成果が以下の査読付き学術論文に掲載された。
Kensuke Ishitani, Tokufuku Rin and Shun Yanashima (2023), ``On the Weak Convergence of Conditioned Bessel Bridges," Journal of Mathematical Sciences The University of Tokyo, Vol. 30(3), 287-339.
なお、δ次元Bessel引越過程の汎関数期待値を計算するためには、δ次元Bessel引越過程のサンプルパス生成を行う方法がまず第一に考え着くが、研究を進めるにつれ、δ次元Bessel引越過程の汎関数期待値を計算するためにサンプルパスを直接生成することは困難であることが徐々に判明してきた。しかしながら、本研究を通じて、δ次元Bessel引越過程は、定義されている時間区間のうち終端点を除くことで、条件付きδ次元Bessel過程と同じ分布に従うことも解明できたため、条件付きδ次元Bessel過程の高速サンプルパス生成を通じて、δ次元Bessel引越過程の汎関数期待値を計算できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BSモデルの下で「バリア・オプションの高次Greeks」を統一的に計算する手法を開発するためには、Brown引越過程という新たな確率過程を構成し、その諸性質について研究する必要があることが判明した。このBrown引越過程に関する研究成果は以下のプレプリントとしてまとめ上げ、現在、同内容の論文を査読付き学術論文として投稿中であり、一度のMajor Revisionによる改訂原稿を提出済の状態である。
Kensuke Ishitani, Daisuke Hatakenaka, Keisuke Suzuki, ``Construction and sample path properties of Brownian house-moving between two curves," arXiv:2006.02726.
また、BSモデルの下で「バリア・オプションの1次Greeks」を統一的に計算するための微分連鎖律(提案手法)はすでに申請者により開発済であり、シングル・バリアの場合にはその有効性を検証済である。そこで、現在はダブル・バリアの場合における提案手法の有効性の検証を進めている。ダブル・バリアの場合においても、提案手法である微分連鎖律の主要項の理論的計算は終えており、境界項の数値計算に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
BSモデルの下で「バリア・オプションの1次Greeks」を統一的に計算するための微分連鎖律(提案手法)はすでに申請者により開発済であり、シングル・バリアの場合にはその有効性を検証済であるため、ダブル・バリアの場合における提案手法の有効性の検証を行う予定である。この件に関する具体的な取り組み状況としては、ダブル・バリアの場合においても、提案手法である微分連鎖律の主要項の理論的計算は終えており、現在は境界項の数値計算に取り組んでいる。
また、BSモデルよりも発展的なモデルの下で「バリア・オプションの高次Greeks」を統一的に計算する手法を開発すべく、一般的な設定の下で拡散引越過程を構成し、その諸性質について研究する予定である。2023年度において、拡散引越過程のある特定のクラスである「δ次元Bessel引越過程」に関する研究実績を得たため、その研究の経験を通じて得られた知見を活かして、一般的な設定の下での拡散引越過程の研究に取り組む予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)