共通価値創造の観点からみたコミュニティビジネスによる大都市圏の地域活性化方策
Project/Area Number |
22K01707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
河藤 佳彦 専修大学, 経済学部, 教授 (40433156)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | コミュニティビジネス / 共通価値創造 / NPO法人 / 経済的価値創造 / 社会的価値創造 / 自治体政策 / ソーシャル・キャピタル / 制度経済学 |
Outline of Research at the Start |
コミュニティビジネスには、収益事業体としての自立性と地域活性化への貢献という公益性が共に期待される。そこで、収益性と公益性の両方の要請に同時に応える方策の拠り所として、ポーターとクラマーによる「共通価値創造」の理論を導入する。 本研究では、代表的な大都市圏としての関東地方に着目し、ヒアリング調査とアンケート調査により、大都市圏の地域活性化にコミュニティビジネスが果たす役割の重要性とその振興方策について提言する。大都市圏にはビジネス機会が多くあり、収益性と公益性を同時実現できる可能性が高いことから、コミュニティビジネスが持続可能な地域コミュニティを支える重要な社会基盤となることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度には、本研究の拠り所となる基本的な理論体系について文献レビューや資料調査により論点整理を行い、内閣府及び東京都のNPO法人データベースから抽出し調査協力を得た8法人に対してヒアリング調査を実施した。また同年度には、論点整理とNPO法人へのヒアリング調査の一部成果を活用し、1回の学会報告、2本の研究ノート、1本の論文(査読付き)に取りまとめた。並行して、NPO法人へのヒアリング調査の結果の整理を進めた。 令和5年度には、令和4年度に実施した8法人へのヒアリング調査の成果を活用して1回の学会報告を実施し、1本の論文(査読付き)に取りまとめた(受理済み)。並行して、関東地方の市区町村(316団体)に対してアンケート調査を実施し(郵送方式)、市区町村の施策内容などについて情報を取得した。実施時期は2023年6月~7月、回収率は概ね40%であった。現在、分析と考察を進めている。また同年度内には、アンケート調査の結果を踏まえ、注目すべき3自治体に対してヒアリング調査を実施した。 令和5年度末時点における研究成果の到達点は次のとおりである。非営利活動を主たる目的とするNPO法人は、本質的に収益を確保することが難しい。社会的価値と同時に経済的価値が創造できる「共通価値創造事業」を見出すことが重要であり、それが事業の自立性と継続性の達成に繋がる。また、公益性の高さ故に地域諸主体との連携を円滑に図ることができるNPO法人としての優位性を活かし社会的価値創造に取り組むことは、NPO法人にも地域社会にも共に有益である。人件費については「通常賃金」を基本とすることが重要であるが、一方で地域社会への貢献を希望する人々に活動の場や精神的な満足感を提供する役割もNPO法人の活動には求められる。そのため、ボランティアや有償ボランティアの参加も、本人の意思に基づくことを前提に肯定されるべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度においては、当初計画どおり、本研究の拠り所となる基本的な理論体系に関する論点整理、関係資料に基づく実態の裏付け分析とNPO法人へのヒアリング調査の実施、さらにヒアリング調査の成果の一部も活用した2本の研究ノートの作成、1回の学会報告、1本の論文(査読付き)への取りまとめを達成することができた。 令和5年度おいても、当初計画どおり、研究令和4年度に実施した8法人へのヒアリング調査を活用して、1回の学会報告、1本の論文(査読付き)(受理済み)に取りまとめることができた。令和5年度には、これと並行して、関東地方の市区町村(316団体〔政令市5、政令市以外の市175、特別区23、町92、村21〕)に対してアンケート調査を実施し(郵送方式)、実際に施策を実施している市区町村の施策内容などについて情報を取得した。実施時期は2023年6月~7月、回収率は概ね40%と好調であった。なお、アンケート調査では次の項目について調査した。①コミュニティビジネス振興の担当部局、②取組みのコミュニティビジネス振興施策、③コミュニティビジネス振興施策の実施対象、④コミュニティビジネス振興施策の総合的な政策効果、⑤地域の特性や優位性をコミュニティビジネス振興に活かせているか、⑥コミュニティビジネス振興に向けた今後の政策の方向性について(自由記述)。アンケート調査の回答数は百数十件と多数であったが、研究補助者の支援を得て第1次データとして集約することができた。記述内容の点においても、多くの自治体が積極的に調査に協力してくださった。 さらに同年度内には、このアンケート調査の結果を踏まえ、注目すべき3自治体に対してヒアリング調査も実施することができた。当該自治体の1つは東京都内(23区)、1つは茨城県内、1つは栃木県内であり、いずれもヒアリング調査に好意的に協力してくださった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度~5年度の2年間は概ね計画どおりに研究を進めることができた。令和6年度は本研究の最終年度になることから、これまでの研究成果を総合的に整理し、本研究全体を総括したい。 まずは、令和5年度に実施の、関東地方市区町村に対するアンケート調査とヒアリング調査の結果の整理分析にしっかりと取り組み、学会報告や論文作成などの具体的な成果に結び付けたい。また、これまでの研究成果についても、コミュニティビジネスの意義の関する理論的考察から実施主体の可能性、その中から本研究が特に着目したNPO法人に関する、事業としての成立・継続要件の観点から再度整理し、令和5年度に実施の市区町村アンケート調査の成果なども含め、総合的な研究成果として取りまとめを行い、学会報告や論文などにより公表していきたい。 令和6年度で本研究は終了する。しかし、コミュニティビジネスの成立・継続の要件、市区町村による振興方策のあり方について総合的に理解するためには、更なる研究の継続が必要と考えている。今般の研究においては、コミュニティビジネスの主要な実施主体としてNPO法人に着目した。その理由は、社会的価値を創造する非営利団体であるNPO法人が、コミュニティビジネスを成立・継続させるための要件について考察することは、コミュニティビジネスに求められる厳しい成立・継続要件について熟考することに繋がると考えたことにある。しかし一方で、収益活動を本来の事業活動とする民間企業もコミュニティビジネスの有望な実施主体である。そのため、民間企業が経済価値と同時に社会的価値を創造するための意義や要件について明らかにすることも、コミュニティビジネスの可能性を大きく拡げるためには不可欠だと考えられる。そのため引き続き、民間企業におけるコミュニティビジネスの成立・継続要件、取り分け大都市圏における意義と役割に関する研究にも取り組みたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)