Project/Area Number |
22K01717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西尾 久美子 近畿大学, 経営学部, 教授 (90437450)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | プロフェッショナル / エキスパート / キャリア / 人材育成 / 能楽 / 京都花街 / 熟達化 / ディベロップメンタル・ネットワーク / ネットワーク / 事業システム / 技能育成 / キャリア形成 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、日本の伝統文化のエキスパート人材の育成と事業システムについて、①エキスパートが獲得する技能は何か、②熟達化を促す技能発揮と創造性を求められる場はどのように設定されるのか、③エキスパートはフィードバックをどう活用するのか、④育成者の役割をエキスパートが担うことが自身のキャリア形成にどのような影響をもたらすのか、の4点を明らかにする。そして、それら分析結果をもとに、エキスパート人材の熟達化と創造性を探求する新しい取り組みとの関連について探求する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、能楽や京都花街などの日本の伝統文化技能を有する専門職に調査の協力を得ることができ、インタビュー調査並びに公演などの技能発揮の場や稽古など自己の研鑽の場の参加観察調査を行った。その結果以下3点が明らかになった。 ①若手人材が育成者の役割を担い後輩に「教える」ことが自身のキャリア形成に影響を与えていることが明らかになった。そして、若手人材が教えるという行為とその経験の解釈を通じて、技能を伝えるだけでなく教えることを通じて学ぶことの大切さを獲得してる可能性や、先輩や師匠など技能レベルの高い専門職との関係性の構築に「教える」ことで得た知見を活用していることも示唆された。 ②熟達者のレベルに達するまでのキャリア形成の歩みの特色として、生涯現役の専門職として、自身が所属する一門や疑似家族関係などで結びつきが深い後進の指導を引き受けることと、自らのキャリア形成を両立させていることが明らかになった。具体的には、エキスパートが若手や中堅の指導育成や技能発揮から学んでいることや、新たな技能発揮の機会などを獲得していることが分かった。また、エキスパート同士が、所属する組織や流儀地域の壁を越えてつながりをもち、技能レベルと熟達のプロセスを相互に理解し、その状況について情報共有をし、尊重しあっており、ディベロップメンタル・ネットワークが形成されていることが分かった。 ③さらなる高みを目指すエキスパート(達人)へのキャリアを歩むためには、専門性だけでなく創造性や芸術性を磨くための場の設定が重要であり、そのような機会を専門職の連携によって作り出していることがわかった。このような場では、専門職の連携によるレベルの高い集団芸が発揮されるので、後進の専門職にとっては、高い技能発揮を現場経験を通じて直接知ることになり、一緒に舞台にたつプロフェッショナルたちの技能の熟達に貢献していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、ほぼ計画通りに研究をすすめることができた。 新型コロナウィルスの影響があった年度当初は進捗が遅れ気味であったが、その後は、対面でのインタビュー調査や稽古などの場での参加観察調査も継続的に行うことができ、おおむね順調に研究を進めることができた。また、文献研究に関しても、予定通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に調査協力を得られた能楽師や芸妓・舞妓など複数の調査協力者に、令和6年度も継続的に調査を行う。また、関連事業者や顧客・観客・素人弟子など事業システムを構成するメンバーへの調査も実施する。具体的には、専門職の熟達化のプロセスと事業システムの関連性をより明確に明らかにするため、若手から中堅へのキャリアの歩み、中堅からベテランの域に達するキャリアの歩みに焦点をあてて、キャリア形成のプロセスの状況とキャリアを取り巻く事業システムの構成メンバーとの関係性について研究を進める。 継続的に調査協力を得ている専門職とのネットワークを活用して、専門職同士の連携の実情や変化や、また、このような専門職同士のディベロップメンタル・ネットワークを活用した創造性や新規性の創出などについても研究を推進していきたいと予定している。 熟達化に伴って生じると想定される創造性や新規性の創出に関しては、グループで活動をする若手から中堅を目指す能楽師囃子方数名に調査の協力を得られており、今後も参加観察を継続的に行うとともに、聞き取り調査も並行して行う予定である。 さらに、エキスパートとして目される能楽師(人間国宝クラス)やその後継者からも調査への協力が継続的に得られており、非常にレベルの高い技能発揮が見込まれる公演を参加観察調査することが可能となっているので、こうした機会を活用して、プロフェッショナルからエキスパートへのキャリア形成のプロセスをより明確にするよう研究を推進していく。
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