Project/Area Number |
22K01870
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
赤枝 尚樹 関西大学, 社会学部, 准教授 (50645546)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 福祉政策 / 社会関係資本 / ウェルビーイング / 国際比較 / 国際比較研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、主に国際比較分析をとおして、ウェルビーイングに対する福祉政策と社会関係資本の効果、さらにはそれらの相乗効果に関する検討を行う。特に福祉政策については、従来用いられてきた公的支出に関する指標に加え、Luxembourg Income Studyのデータから再配分の仕組みに関する変数も算出し、検討する。そのことにより、福祉政策によって社会関係資本の役割がどう変化するのかとともに、福祉政策が効果を発揮しやすい社会関係資本のあり方についても明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はウェルビーイングに対する福祉政策と社会関係資本の効果を検討するものである。令和5年度は、主観的ウェルビーイングに対して、福祉政策の主要な指標である公的社会支出の対GDP比と、社会関係資本がどのような相乗効果をもつかどうかを国際比較分析で検討した。さらに、社会関係資本が福祉政策への意識の格差にどう影響するかについても国際比較研究によって検証している。 前者の研究では、国際的にも評価の高いデータとして知られるEuropean Social Surveyから29か国のデータを用いて、国際比較分析を行った。その結果、国の公的社会支出が増えると、social trust、informal social contact、formal social contactといった社会関係資本の3つの側面が主観的ウェルビーイングを高める効果が促進されることを明らかにした。そのことにより、ウェルビーイングに対して、福祉政策と社会関係資本の相乗効果が幅広く認められることを示す結果となっている。 また、後者の研究では、著名な国際比較調査であるWorld Values SurveyとEuropean Values Studyのデータを組み合わせ、74か国のデータを用いて、国際比較分析を行っている。その結果、社会関係資本の中心的な指標であるsocial trustが、学歴による再配分意識の差を埋め合わせ、人々が再配分に賛成しやすくなる効果を明らかにした。従来の研究においては、とくに高学歴層で再配分に反対しやすいことが明らかになっているが、social trustは、そうした高学歴層においてとくに再配分意識を高める効果が強いことが重要な知見といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、令和5年度は、OECDによる公的社会支出のデータの整備や、それを用いた国際比較データの分析をさらに進めることを予定していた。予定通り、令和5年度は公的社会支出のデータを用いながら、European Social Surveyの分析をさらに進め、International SociologyやJournal of Social Policyなどの国際雑誌に査読付き英語論文が掲載されている。計画通りに研究が進められているといえる。 それらに並行して、Luxembourg Income Study Databaseから計算した、universalismやtargetingなどの指標を用いた研究の準備も進めており、全体的な研究の進展も予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、大きく二点のものを考えている。 第一に、ウェルビーイングに対する福祉政策と社会関係資本の相乗効果(交互作用)に関する分析を進めるにあたり、Luxembourg Income Study Databaseから計算した、universalismやtargetingなどの指標を用いた研究に取り掛かることである。その内容は、国際カンファレンスでの発表や、国際雑誌で論文として刊行するなど、国際発信していく予定である。 そして第二に、そうした分析を広げていき、ウェルビーイング以外のアウトカムにも適用していく。健康や選択の自由など、様々な対象に応用が可能であると考えられるため、それらを想定しながら分析・議論を進めていく予定である。こうした視点の分析はこれまで行われておらず、国際的にもインパクトのある研究になるポテンシャルがある。
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