Project/Area Number |
22K01906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
滝田 祥子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 教授 (40305462)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 集合的記憶 / 東洋思想 / 日系アメリカ人強制収容 / 日系アメリカ人 / 強制収容 |
Outline of Research at the Start |
記憶研究に東洋的思想の視点を加えると、どのような新しい発見が生まれるか?西田幾多郎が哲学的に検討した日本の仏教思想をベースに、人間が社会や自然などの環境と係わり合いながら場 (境界帯)を生成し、相互作用により世界をともに創出している状況を見る視点を取り入れると、日系アメリカ人強制収容の記憶の生成の場がどのように分析できるだろうか?日系アメリカ人が強制収容所の中で、もしくは、出所後に書いた文芸作品を分析の対象として「集合的記憶理論」の新たな可能性を模索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東洋思想的観点から「集合的記憶」についての社会学的分析を見直そうとするものである。本研究でいう「東洋思想的観点」とは 、西田幾多郎が哲学的に検討した日本の仏教思想をベースに、人間が社会や自然などの環境と係わり合いながら場(境界帯)を生成し、 相互作用により世界をともに創出している 状況を見る視点である。 申請者はこれまでアルヴァックスの集合的記憶理論を、第二次世界大戦中に日系アメリカ人が強制収容された跡地への巡礼の旅の記憶 が生成 される現場を詳細に観察することにより「再考」してきた。今回新たに展開させようとしている研究では、これまでの研究の蓄積を、思想的観点から 「再々考」するものである。具体的には、収容経験を元に執筆された文芸作品のなかで「西欧的自我」と「経験」がいかにして主題とし て立ち現れてくるか、 その言説の変化を1次資料、2次資料を使いながら再解釈していく。 2023年度には、当初計画通り、研究に必要な1)1次資料としての帰米2世の知識人、文芸同人が執筆した文芸作品集で22年度に収集できなかたものの購入、2)2次資料として東洋思想研究のために西田幾多郎全集、タゴール著作全集等の必要文献を購入。3)23年度中期までの研究結果を、2023年6月30日の世界社会学会メルボルン大会でまとめて報告するための渡航費、参加費、として支出した。サンパウロ大学社会学部教授のVeridiana Cordeiro氏 との共同研究で、東洋思想を日系ブラジル人女性3世代の集合的記憶の語りの分析に応用した論文「“It tastes like home to me”:Cooking and remembering among Nipo- Brazilian women」を共同執筆し、Asian Studiesへの掲載が確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、前年度までの管理職の任をとかれ、予定通りに研究を進めていくことができた。ただ、計画通りの研究のその先が見えてきてしまい、東洋的な時間感覚や収容所で作られもしくは描かれた収容者による工藝品を「民藝」として捉え直すことができるのではないかと考えるようになった。2024年度にひとまず、本基金のプロジェクトをまとめることに専念したい。また、発展的な課題も研究できるように2025年度の科研費応募の準備を進めているところでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、7月には当該研究のフィールドワーク地であるツーリレイク隔離強制収容所跡地への巡礼の旅に参加し、8月後半から9月初頭にかけてサンフランシスコで現地調査を行う予定である。帰米二世の文化について、より深く知るために戦前戦後のサンフランシスコでの彼らの生活についての一次資料を収集する予定でいる。2024年度中に、横浜市立大学の紀要に3年間の研究成果をまとめた論稿を投稿する予定でいる。強制収容所内の工藝品に関しては、これまで「尊厳の芸術」(Art of Gaman)という観点でまとめられていたが、このことについて今一度関係者と意見を交換したいと考えている。
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