Research on the physiological function of traditional edible oils and their application in food practice
Project/Area Number |
22K02133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
池本 敦 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60295615)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アケビ種子油 / アセチル基含有油脂 / 1,2-ジアシルグリセロ-3-アセテート / リパーゼ / 遊離脂肪酸 / リポタンパク質 / 植物油 / トリアシルグリセロール / 消化吸収 |
Outline of Research at the Start |
秋田の伝統的食用油であるアケビ種子油は天然では稀なアセチル基含有油脂が主成分であり、消化酵素で分解されにくいために吸収率が低く、体脂肪が付きにくく太りにくい特性を持っている。本研究では、これらの油脂の小腸上皮細胞における取り込みや再合成の過程を解析して代謝特性を明らかにする。さらに、体内動態を調べ、臓器・組織蓄積性や生理機能を解析することで、アセチル基含有油脂の安全性や新たな有効性を検証する。また、様々な調理法に適用可能かどうか、食用油としての安全性や利用特性を分析し、食生活における活用性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
秋田の伝統的食用油であるアケビ種子油の主成分1,2-ジアシルグリセロ-3-アセテート(DAGA)は脂質消化酵素のリパーゼで加水分解の基質となりにくく、消化吸収の効率が低くなる。培養細胞系の実験系で検証したところ、ヒト結腸ガン由来Caco-2細胞株において、トリアシルグリセロール(TG)を添加した場合と比較して、DAGAを添加した場合は、リパーゼにより生成する遊離脂肪酸(FFA)の量が顕著に低かった。これを反映して、細胞内で再合成された後、リポタンパク質に組み込まれて基底膜側に分泌されるTG量は、腸管腔側にTGを添加した場合と比較して、DAGAを添加した場合では顕著に低いことが分かった。DAGAはリパーゼにより消化されにくく、吸収後に小腸上皮細胞から分泌されるTG量も低くなることが培養細胞系で示された。 その際、培地にTGを添加した場合と比較して、DAGAを添加した場合は、脂肪酸結合タンパク質I-FABPのmRNA発現レベルが低下することが分かった。一方で、DAGA処理により脂肪酸のβ酸化に関与する酵素の遺伝子発現レベルが上昇した。以上のようにDAGAは細胞内の脂質輸送レベルを低下させることや、脂肪酸の酸化分解を促進することが体内への脂質の移行効率を低下させる機序の一因になっていることが示された。 また、動物実験によるDAGAの機能性の解析では、マウスを用いた動物実験によって、経口投与したDAGAがどのような形で血中へ移行し、どのような臓器・組織に分布するのか解析し、アセチル基含有油脂の体内動態を解析した。Caco-2細胞で観察された遺伝子発現の変化は、DAGAを摂取したマウス小腸でも確認され、DAGAの有する新たな機能が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に確立したヒト結腸ガン由来Caco-2細胞株を使用した培養細胞モデルで脂質の消化・吸収過程を測定する実験系を用いて、DAGAの消化吸収効率が低くなる現象を再現できた。そのメカニズムとして、DAGAが細胞内の脂質輸送レベルを低下させることや、脂肪酸の酸化分解を促進することが体内への脂質の移行効率を低下させる機序の一因になっていることを示すことができた。 同様の現象がDAGAを与えたマウス小腸でも確認され、DAGAの有する新たな生理機能が明らかとなった。今後、さらなる解析を通して、DAGAの有する体脂肪蓄積低下作用のメカニズムや生理機能を実証する見通しを立てることができた。 未解決の課題として、DAGAの加水分解で産生される酢酸の寄与を見積もる必要がある。また、体脂肪の蓄積低下がインスリン抵抗性の改善に寄与し、Ⅱ型糖尿病の予防に有効な可能性を追究したいと考えており、その基礎データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
摂取したDAGAがどのような形で血中へ移行し、どのような臓器・組織に分布するのか解析し、アセチル基含有油脂の体内動態を明らかにする。その際、臓器・組織への蓄積や生化学的パラメータに及ぼす影響を解析し、アセチル基含有油脂の安全性と有効性を明らかにする。 また、DAGAの加水分解で産生される酢酸の寄与を見積もる必要がある。また、体脂肪の蓄積低下がインスリン抵抗性の改善に寄与し、Ⅱ型糖尿病の予防に有効な可能性を追究するためにインスリン分泌に関与するインクレチン分泌に及ぼす影響を解析する。 アケビ種子油の活用法を検討するために、安定性と調理特性の解析各種保存条件(期間、温度、遮光)において、酸価や過酸化物価がどのように変動するのかを解析し、最適な保温条件を検討する。 アケビ種子油の食生活における利用性の解析については、アケビ種子油と各種食材との組み合わせを検証し、アケビ種子油の安定性や嗜好性が高められる活用法を検討する。アケビ種子油を活用した加工食品や健康食品を開発し、現代の食生活に適したアケビ種子油の利用法を官能評価により検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)