Project/Area Number |
22K02164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
小林 弘司 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (00610255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 洋哉 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (00325490)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | MVCs / 細菌スクリーニング検査 / 腸管出血性大腸菌 / 食中毒細菌 / 固相マイクロ抽出法 / 微生物由来揮発性化合物 / 簡易迅速検査 |
Outline of Research at the Start |
本研究は細菌が出す「におい」に着目し、食中毒細菌の検出や制御への応用を検討する。「におい」は高速GCを基盤とした電子嗅覚システムにより解析し,細菌の「においの指紋」としてデータベース化して食中毒細菌のスクリーニング検査に応用する。また、ある細菌の「におい」は、他の細菌の増殖を阻害する可能性があることが報告されている。このため、本研究でも特定の匂い成分が食中毒細菌の増殖を阻害するかどうかについての検討も行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
食品の微生物学的安全性を確保するために、これまで多くの細菌検出法が開発されいる。検出法として確立されているものには,菌体を測定対象とする培養法,イムノクロマト法,PCR法がある。また、菌体が発生する二酸化炭素の検知するものがあるが,細菌の産生した揮発性化合物 (MVCs) を測定対象とした検出法は確立されていない。本研究はMVCsを測定対象とした細菌スクリーニング法の開発を目的としている。本法は細菌の培養後に培養液を取り出す必要がないため汚染のリスクが少なく、さらに、自動化も見込まれる.2023年度は、大腸菌の病原性有無に関連するMVCsの同定を試みた。 病原性大腸菌と非病原性大腸菌をTSB培地で24時間培養した培養液上清をGC-MSに供した。その後、超高速GCのクロスサーチを用いて病原性大腸菌に特有なMVCsの同定を行った。また、培養開始から6時間および12時間後の培養液についても同様にGC-MSによる測定と超高速GCのクロスサーチを用いて化合物の同定を行い、MVCsの経時変化を調べ病原性の有無による相違について検討したが、病原性大腸菌に特異的な化合物の同定はできなかった。一方で、両菌株で共通するMVCsであっても、産生量が病原性と非病原性大腸菌で異なるものを見出した。また、経時的なMVCs産生量変化は、菌株や化合物によって異なり、培養時間によって産生量の異なるMVCsが確認された。これらの結果より、代謝された化合物や代謝産物由来のMVCsの増減や時間経過によるMVCsの産生量の変化を見ることで病原性の有無の判断材料となることが期待された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病原性大腸菌に特異的な化合物を同定するには至っていないが、定常期だけでなく対数増殖期(6時間培養と12時間培養)の培養液の解析しMVCsの経時変化の検討を行った結果,培養時間帯に特異的に産生される化合物の存在が示唆された。また,時間経過によるMVCsの面積値の比較を行うことで,化合物の種類によって多く産生される時間に違いがみられることを明らかにした。さらに,Escherichia coli IFO3301株ではIndole,Benzyl nitrileで経時変化による産生量に有意差が見られ一方、Escherichia coli O157ではNonanal, Decanal,Indole,Benzyl nitrile,1-Hexanol, 2-ethyl-,2-Nonanoneで経時変化による産生量に有意差が見られた.特に,2-NonanoneはEscherichia coli O157株でのみ測定回数3回以上同定された化合物であり,Escherichia coli O157で特異的に産生される化合物ではないが,他の属細菌と比較して有意に多く産生される化合物であることを確認している.これらの結果より,2-Nonanoneのような標的細菌のみにおいて特異的な傾向を示す化合物の面積値の経時変化を病原性の有無や菌株の違いを判別するための指標の一つとすることができることが示唆された.また,香気成分は代謝の副産物として産生されることが多いため,代謝経路と生成される化合物やその産生量,経時変化を対応させて比較を行うことで病原性の有無の判別や菌株の同定の可能性が高まると考えており、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は培地の組成による化合物の種類の変化や面積値の違いについても検討をすすめる。予備実験において、培地の種類によって,大きなピークが現れている保持時間が異なり,TSB培地で培養した時と共通する化合物やTSB培地での培養では確認されていなかった化合物が確認された.この結果より,培地の栄養状態によって代謝経路を変化させた為に培地依存的に産生される化合物の存在が示唆される.確認された化合物を大腸菌代謝マップにおいてどの代謝経路において産生されるか確認した結果、現在までにIndole,Phenol,Octanoic acid,Benzaldehydeの4種類の位置確認している. 香気成分は代謝の副産物として生成されることが考えられるため,時間経過や培地条件の違いによる代謝経路の違いを判別し,それに伴って生成される香気成分について検討を行う必要があると考えている。また、培地組成が明らかとなっているさまざま培地にて産生される化合物や産生量を検討することで選択培地のように,大腸菌の病原性の有無を判断することができる特異的な化合物を生産するかについても検討を進める。最終的には、確立した条件を用いて一般に市販されているカット野菜で本検出法の確実性を検証する。
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