Project/Area Number |
22K02224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣瀬 公彦 北海道大学, 大学文書館, 特任助教 (70828425)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 東北帝国大学農科大学 / 大学予科 / 入学者選抜試験 / 旧制高等学校 / 高等学校長会議 / 北海道帝国大学 / 入学者選抜試験制度 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、北海道帝国大学大学予科の入学者選抜試験制度を1918~1930年の期間について調査し、旧制高等学校や他の帝国大学大学予科と比較考察するものである。 北海道帝国大学が附属する大学予科は、旧制高等学校と異なる制度にあった一方で、「大学令」(勅令第388号、1918年12月6日)により高等学校高等科と程度を同じくすると規定されたように、類似した教育階梯であった。選抜試験についても、高等学校との関連性が認められる。そこで、文部省により規定されていた旧制高等学校の選抜試験との関係を分析し、旧制高等学校から帝国大学へという進学経路とは異なった、北海道帝国大学大学予科の選抜試験について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、1907~1917年の東北帝国大学農科大学大学予科の入学者選抜試験について、1913~1917年の期間を対象として高等学校長会議の決議事項の分析や高等学校との試験実施状況の比較をおこない、全体の期間をまとめた論文を発表した。 まず、「札幌帝国大学設立案」(札幌市中央図書館所蔵)、『教育時論』記事、『官報』掲載「生徒募集」広告により、1907年9月に札幌農学校が東北帝国大学農科大学に昇格する以前から、昇格後に付設する大学予科は高等学校大学予科第二部と程度を同じくする旨が示されていたことを確かめた。 次に、入学者選抜試験の制度や実施内容に関して、以下の5点で高等学校の入学者選抜試験に準拠することを明らかにした。1点目は1908~1917年に高等学校長会議へ参加していることである。2点目は試験日程で、高等学校長会議において、1909・1910年は第七高等学校造士館と共に、1911・1913~1916年は単独で、他の高等学校に先行して試験を実施することが決議されている。3点目は、高等学校で1910年より導入された無試験入学者検定を、文部大臣への稟請を経て、1911年より適用させたことである。4点目は試験科目で、大学昇格以前に試験を実施した1907年を除き、1908~1917年は高等学校第二部(および第三部)に課された科目と同一であった。5点目は入学許可の最小限点数で、1910年開催の高等学校長会議において決議されたところ、入学志願者撰抜試験委員会の決議録が残る1911~1914年に同じ基準で入学許可の判断をおこなっていた。 上記の結果、東北帝国大学農科大学大学予科の入学者選抜試験について、高等学校長会議において高等学校に準じて扱われ、東北帝国大学農科大学においても高等学校第二部と同じ程度で実施すべく試験の制度や実施内容を変更していたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、国立国会図書館において1906~1917年発行の雑誌(『日本教育』、『教育学術界』等)を追加調査し、1913~1917年の東北帝国大学農科大学大学予科の入学者選抜試験について、高等学校長会議における決議事項と、高等学校における試験の実施内容と比較して分析した。以上の調査結果をとりまとめ、論文「東北帝国大学農科大学大学予科及び高等学校における入学者選抜試験制度の変遷(2)」(『北海道大学大学文書館年報』第19号、2024年3月発行)を発表した。 これは、本研究において、1918年に東北帝国大学農科大学が北海道帝国大学となり、「大学令」(勅令第388号)により大学予科が高等学校高等科と同程度であると定められて以降の期間を対象として入学者選抜試験制度を比較・検討するための前提となる。 また、北海道帝国大学期の前半(1918~1930年)について、国立国会図書館において雑誌(『中学世界』、『受験と学生』、『教育研究』等)および入学試験問題集を閲覧し、高等学校長会議の内容、入学試験制度改正に関する言説、試験問題の内容について調査した。 また、1908~1935年に東北帝国大学農科大学予科主任および第四・第五・第三各高等学校長を務めた溝淵進馬の日記資料について、オーテピア高知図書館において1904~1908・1916~1920年分、高知市立自由民権記念館において1909~1910・1922~1925年分を調査し、高等学校長会議の開催状況がうかがえることを確かめた。 以上より、本研究はおおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、1918~1930年における北海道帝国大学予科の入学者選抜試験について、2022年度に調査した高等学校長会議決議書、雑誌記事、試験問題集をふまえて、高等学校や他の帝国大学予科の試験実施状況と比較しつつ分析し、論文として発表する。 高等学校の入学者選抜試験は、実施方式を1917年より共通問題を全校一斉に実施する方式に改めていたところ、1919年より共通問題を各校で実施する方式、1926年に二班制、1928年に各校実施方式と、試験規程の改正を繰り返した。入学資格も1919年より中学校4年修了に改められ、試験科目数や試験問題の内容についても、高等学校長会議で議論され、変更されている。 北海道帝国大学は1918年4月に設置され(勅令第43号)、大学予科を附属した(勅令第44号)。大学予科は、「大学令」(1918年12月、勅令第388号)により高等学校高等科と程度を同じくすると定められた。その入学者選抜試験の制度と実施内容について、高等学校高等科と比較して特徴を考察する。 そのため、旧制高等学校記念館、国立国会図書館、静岡大学附属図書館における資料調査を予定している。
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