Project/Area Number |
22K02367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
水木 理恵 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (70626093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 真紀子 上智大学, 外国語学部, 教授 (10593494)
平山 亮 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10728075)
小川 公代 上智大学, 外国語学部, 教授 (50407376)
熊本 理抄 近畿大学, 人権問題研究所, 教授 (80351576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 個人の境界線 / 道徳教科書分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、日本人における個人の境界線の感覚を量的に測定する指標の開発と多様性教育コンテンツの開発を最終目標とするが、その過程で日本内外の多様性教育及び個人の境界線の教育の現状、人権問題当事者・支援者、人権教育担当者への聞き取り調査から日本人の境界線に関する意識を明らかにしていく。また、指標作成後、量的調査により、指標の妥当性を検討する。さらに、聞き取り調査、文献レビュー及び海外の多様性教育の現地調査結果と統合し、日本社会に適した多様性教育コンテンツを開発する。その後、このコンテンツによる多様性教育の研修会を実施し、境界線の指標を含めた尺度を使いその評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①個人の境界線感覚を量的に測定する尺度を開発すること、②多様性教育プログラム開発・実施・評価を行うことで、日本人の対人感覚や文化的価値観にそった人権教育により、日本社会における多様性理解の促進に寄与していくことを目的としている。 今年度は、個人の境界線に関する文献研究を行った。精神科看護の領域、コミュニケーションの領域、家族療法の領域、精神分析の領域、メンタルヘルス臨床の領域といった、様々な領域で個人の境界線という概念は研究され、その定義は一貫しておらず、自他との間を示す線という定義を概ね共有しながら、何を内包するかは領域間で差異があることが明らかになってきた。 また、日本人が個人の境界線を学ぶプロセスを知る手がかりとして、3つの出版社の小学校の道徳の教科書において、個人の境界線やその侵害がどのように提示されているかを、質的分析により明らかする研究に着手した。小学1年生の教科書の一部を分析した結果、自他の境界線の概念は道徳の教科書では伝えられていない可能性が示唆された。引き続き、残りの教科書の内容分析を実施していく。 3回の班会議により、「個人の境界線」が、文化心理学、ケアや支援の実践場面、そして文学といった研究者の専門分野でどのように表出し、扱われているかを話し合い、日本人における自他の境界の不明瞭さや、境界侵犯について探索した。その結果、代理意思決定が必要とされ、自他境界の問題が顕著になるエンドオブライフケアの日本の現状について、佐久大学の島田千穂教授を講師としてお招きし勉強会を実施した。、講義では、西洋式の「自己決定」の代理決定ではなく、日本では患者本人と家族による共同での意思決定であると示され、今後どのような取り組みが日本人の自他の境界線を明確化し、互いに尊重しながら繋がり続けることが可能であるかを話し合い、日本独自の境界線のあり方の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
道徳教科書の質的研究は研究手法と分析対象データを決定し分析に着手をしたが完了には至らなかった。文献研究も「個人の境界線」に関連した概念がいくつかあることが明らかになったため、それらの概念のつながりを含めたさらなる文献研究の必要が出てきた。このことから、道徳教科書の質的研究と個人の境界線の文献研究は、来年へ継続となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究班の各メンバーが自身の専門分野について発表する勉強会を実施し、知見を共有し、尺度項目の作成および多様性教育のコンテンツ作成の基礎となるよう、個人の境界線についてより深い探索及び検討をしていく。道徳の教科書の質的分析も継続し、境界線感覚を含む多様性教育の可能性及び日本人の境界線感覚の測定の方法を探索する。また、個人の境界線に関する文献研究も引き続き行い、尺度項目作成の具体的な資料を入手し、項目作成に着手する。 これらと並行して、マイノリティ当事者・支援者からの聞き取り調査の実施のため、関係機関の探索と調査依頼を始める。聞き取り調査は、対面またはリモートで対象者にインタビューし、その内容を分析して、マイノリティ支援に携わる人々における、個人の境界線感覚及び多様性教育に関する現状とニーズを明らかにすることを目的とする。文献研究と聞き取り調査の結果も、個人の境界線感覚尺度の項目の作成に反映し、可能であれば、予備調査や専門家との意見交換により尺度を修正していく。 また、個人の境界線に焦点を当てた多様性教育プログラムの開発のため、北米での多文化カウンセリングプログラムや多様性教育コンテンツ及び、個人の境界線・Boundary教育の、プログラム内容や実施方法といった情報収集のための予備検索に着手する
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