不登校の大学生を対象とした課題解決型短期カウンセリングプログラムの構築
Project/Area Number |
22K02681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09050:Tertiary education-related
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Research Institution | Kyoto University of the Arts (2023) Osaka University (2022) |
Principal Investigator |
竹中 菜苗 京都芸術大学, 芸術学部, 准教授 (20510291)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 大学生の不登校 / 学生相談 / 大人になること / 大学生の時間感覚 / カウンセリング / 現代の若者にとっての「大人」 / 時間の感覚 / 課題解決型 |
Outline of Research at the Start |
大学生の不登校は、今、我が国の大学が抱える重大な問題の一つである。不登校の学生にとって、大学の学生相談室はもっとも身近な専門的心理支援の場であると考えられるが、不登校の学生へのカウンセリングは開始初期の段階での中断、あるいは数年にわたる長期的関わりの継続という二極化の傾向がある。本研究では不登校の学生に対して有効な、来談回数を限定した「課題解決型短期カウンセリングプログラム」を提起する。このプログラムの実用化によって、せっかく学生相談室を訪れたものの不登校の解消に向かうことなく中断する事例、および、数年にわたる同一学生の来談による学生相談室の公共性の低下を防ぐことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、無時間性とも言うべき世界に身を置いているかのような不登校の大学生に対し、カウンセリングにおいてあえて時間性を意識させることが不登校状態の解消につながるのではないか、という仮説のもと、短期カウンセリングプログラムの実施を計画していた。しかしながら研究代表者の異動に伴う学生相談フィールドの変化から、プログラムの対象となる長期欠席学生に出会う頻度が大幅に減ることとなり、2023年度は当初の計画を修正しながらの研究遂行となった。2023年度の実績は下記のとおりである。 (1)2022年度に実施した、大学生にとって大人になるとはどういうことかを明らかにする調査の結果分析と学会での口頭発表、英語論文化の準備。この調査を通しては、大学生が「大学生」という立場をどのように位置づけ、一般的にどのような時間感覚をもって日々を過ごしているかを明らかにしている。 (2)長期にわたる不登校状態にあった学生との学生相談室での面接経過の分析と学会での口頭発表。長期的な関わりとなった事例を検討し、それだけの時間をかけることの必然性について検証した。 (3)米国ニューヨークにあるPace UniversityおよびNew Schoolを訪問し、学生相談室の活動やシステム、利用学生の特徴等についての協議を行なった。 (4)不登校の大学生の心理とカウンセリングプロセスについて、2021年に招待講演として口頭発表を行ったものの書籍原稿化(英文)。 (5)不登校の大学生への学生相談室でのカウンセリングプロセスについての質的研究に着手。主に学生相談室のカウンセラーがどのような時間的見通しを立てて不登校の大学生のカウンセリングを実施しているのかを検証するためのインタビューガイドを洗練させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度より研究代表者が国立大学から私立大学に異動したことで、本研究の研究対象として想定していたような、長期欠席学生の事例に出会う機会が大きく減少し、短期カウンセリングプログラムを試行することが困難となった。国立大学と私立大学では一般的に連続欠席学生に対する対応、また、学費や休学という選択肢の取りやすさ等が異なり、国立大学ほどに欠席の長期化が生じにくく、長期欠席という現象自体が起こりにくいためである。 しかしながら私立大学にも明確な理由なく欠席がちになる学生は存在する。新たなフィールドとして私立大学までを視野に入れることで、より全体的に大学生の不登校を考えられることは本研究課題にとっての好機であると捉え、2023年度はまずは私立大学における個別事例から欠席しがちな学生の心理について、また、国立大学の一般的な対応とは異なる私立大学の支援体制についての調査を進めた。このことにより、もともとの研究計画からは遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように研究代表者が臨床実践の場面で長期欠席学生に対応する機会が激減したため、研究の方針を次のように変更して今後、研究を進めていく予定である。 (1)大学生にとって大学を卒業し、社会に出るということがどのようにイメージされているのかを明らかにするための質問紙調査の実施。これによって大学生として過ごす時間を多くの大学生がどのように捉えているのかを知り、その流れに乗ることのできない不登校の学生の心理について考察することができると考えられる。 (2)大学の規模や性質を問わず、大学に入学したものの欠席しがちになる学生は存在する。学生相談の現場で欠席過多の学生に対応しているカウンセラーに協力を依頼し、カウンセリング場面で観察される不登校の学生の特徴とカウンセリングのプロセスの特徴を明らかにするための質的研究の実施。主な着眼点としては、不登校の学生がどのような時間感覚をもっているのか、その学生に対応するカウンセラーがどのような時間感覚で、何を志向してカウンセリングを実践しているのか、という二点である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)