Project/Area Number |
22K03077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 敬一 静岡大学, 教育学部, 教授 (90313923)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 教授準備による学習 / 教授的質問 / 質問生成 / 質問予想 / 教授による学習 / 教授準備 / 構成的処理 / 大学生 |
Outline of Research at the Start |
人は他者に教えたり教える準備をしたりすることで学習内容についてより深く学ぶことができる(以下,教授による学習)。本研究は,(a)教えることを意図した質問(教授的質問)を準備することが本人の学習にどのような影響を及ぼし,また,それはなぜか,(b)複数の学習者が協同することで教授的質問準備の学習効果を高めることができるか,という問題に実験的手法を用いてアプローチし,教授による学習のメカニズムやその学習効果を高める方法を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は次の通りである。 (1)教える相手の疑問や質問を予想して教授準備することの学習効果:教授内容に関して教える相手がどのような疑問を抱き質問してくるかをまず予想し,その予想に基づいて教授準備をすることの効果を調べるために,昨年度実施した実験のデータを分析した。分析の結果,準備中に行われた学習材の処理の効果を統制すると,予想した群がそうでない群より学習成績が高いことが示された。以上の実験結果を論文にまとめ,教育学部研究報告(紀要)に投稿し掲載された。 (2)教える相手の疑問や質問を予想して教授準備することの学習効果(追試実験):教材としてのPowerPoint原稿作成課題を用いて,大学生104名を対象にした実験を実施した。 (3)教授・教授準備による学習の理論的検討:昨年度に実施した実験で教える準備をする際に教授的質問を作成することが学習に影響を及ぼさなかった理由も含め,学習者の教授準備による学習や教授による学習が効果を発揮したり発揮しなかったりする原因を理論的に説明するために,先行研究の知見を基に教授による学習の役割仮説を提案した。この仮説に関する論考を「心理学評論」に投稿し掲載された。 (4)教授準備による学習と教授による学習の相乗効果:本研究課題と密接に関わる問題として,教授による学習に教授準備による学習がどのように,またどの程度寄与しているかを明らかにするために,先行研究の知見を広く網羅したメタ分析を行った。メタ分析の結果,教授に先立つ準備学習が教授を予期しているかどうかが教授による学習の重要な調整変数になることが示された。この結果を国際誌Educational Psychology Reviewに投稿し掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「おおむね順調に進展している」と判断したのは次の理由による。 (1)研究実施計画に基づき,教える相手の疑問や質問を予想して教授準備をすることの学習効果(教授的質問の生成が学習に及ぼす効果に含まれる)に関する実験研究のデータを分析しその研究成果を論文にまとめることができた。加えて,同じ問題に関する新たな実験研究を実施し,必要なデータをとることもできた。 (2)これまでの研究成果などを踏まえて,教授・教授準備が学習に及ぼす効果を理論的に説明することができる新しい理論的アイディア(教授による学習の役割仮説)を形にし,論文としてまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,次の3点を挙げることができる。 (1)教材としてのPowerPoint原稿作成課題を用いて,教える相手の疑問や質問を予想して教授準備することの学習効果を調べた実験で得られたデータを分析し,以前の実験で得られた結果が概念的に追試されたかどうか調べる。そうすることで,教える相手の疑問や質問を予想して教授準備することの効果がどの程度,頑健か明らかにする。 (2)本年度の研究で形にすることができた,教授による学習の役割仮説に基づき,大学生の場合,学習を促進する形で教授準備として教授的質問を作成することがなぜ難しいのか,教える相手の疑問や質問を先に予想するとなぜ教授準備による学習が促進されるのかを明らかにする実験や調査を実施しする。 (3)本研究課題に関する3カ年の実証的・理論的研究の成果をまとめる。
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