Project/Area Number |
22K03180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
神前 裕子 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30534359)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 高齢者 / COVID-19 / 人間関係 / 精神的健康 / IT / 社会的距離 / 老年的超越 |
Outline of Research at the Start |
COVID-19の感染拡大により,人々の暮らしは一変し,特に死亡リスクの高い高齢者については厳格な社会的隔離を余儀なくされ,孤立,それによる身体・精神へのネガティブな影響が懸念されている。現在までの世界各国の調査報告によると,身体への悪影響は一致した結果が得られているが,心理的影響についての結果は多様である。本研究では高齢者の人間関係と精神的健康の関連に注目し,発達および臨床心理学を専門とする立場から,面接による詳細な質的データの分析と,そこから得られた仮説にもとづく質問紙調査による検証を行い,いかなる人間関係を持っている場合に高齢者の精神的健康が維持されるかについて検討し,明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,コロナ禍を経た高齢者の人間関係と精神的健康の関連について明らかにすることを目的とした。未曾有の感染症拡大下に置かれた人々の人間関係は大きく変化し,特に感染症によるリスクの高い高齢者についてはこれまでの自分の人間関係,生活を大きく変化せざるを得ない状況にあった。2023年5月8日から「新型インフルエンザ等感染症」は「5類感染症」になり,我が国における人の流れもコロナ禍前に近いくらいに戻ってきた。しかし,約3年間の隔離された状況の影響は大きく,高齢者の持つ人間関係の本質的な変化が予想された。 今年度は,海外において自宅で暮らす日本人の高齢者を対象としたインタビュー調査を中心に,グラウンデッド・セオリー法(Glaser & Strauss, 1996)を用いて質的分析を進め,量的調査に向けての仮説生成を進めた。具体的には,高齢者の人間関係・生活の変化,ITを活用した人とのつながりの重要性,それに関連した精神的健康への影響などが示された。インタビュー調査と質的分析は同時的に進め,理論的飽和に至るまで調査は続け,この分析結果,生成された理論・仮説を用いて,質問項目を作成し,質問紙調査を実施する予定である。 高齢者にとって人間関係は,精神的健康に関連することは自明のことであり,コロナ禍という人間関係を変化させた事象のもとに,いかなる人間関係を持つことが精神的健康を高めるかについて検討することは意義あることと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度においては新型コロナウイルス感染症の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」であり,高齢者の協力を得ることが難しかったことが影響し,全体の進行がやや遅れている現状にある。また,本研究はインタビュー調査により仮説生成をしてから,質問紙調査による仮説検証を行うものであるため,インタビュー調査の質的分析が非常に重要となり,今年度については細かな分析を中心に進めたため時間を要した。現在は新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」になり,特にわが国においての状況は改善したため,国内を中心とした調査の実施は円滑に行えるようになったので,調査をさらに進めるとともに,「5類感染症」になったによる状況の変化も調査結果に影響を与えるため,慎重に分析結果と質問紙調査(量的調査)の研究計画を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,インタビュー調査により仮説を生成し,それに基づき,質問紙調査を行い仮説検証を行うものである。今後の進行は,インタビュー調査については理論的飽和(本研究での目的とする内容が全て把握できたと考えられる段階)まで継続しながら仮説を生成し,その内容から,質問紙調査の項目を決定し調査を行う予定である。 これまでの質的分析の結果からも重要な知見は得られたと考えられ,今年度は学会発表や論文作成についても同時に行っていく。 新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」になったによる状況の変化は大きく,当初予想・検討していた内容とは変更が必要なこともあろうと考えている。対策としては,まずはその変化を高齢者の視点からはどのように捉えられているかを確認し,新たな問いが必要と判断されたら,追加の調査も実施したい。
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