Project/Area Number |
22K03395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山浦 義彦 日本大学, 文理学部, 教授 (90255597)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 高可積分性 / Gehring 理論 / Legendre-Hadamard 条件 / 分数階方程式 / 分数階ソボレフ関数 / 二重非線形偏微分方程式 / 分数階放物型方程式 / エネルギー勾配流 / 変分解析 |
Outline of Research at the Start |
現在, 論文として投稿中である, 分数階 p-Laplacian の研究をさらに先に推し進める. それと同時に関連する問題の研究も進める. 具体的には以下の問題に取り組む. [1] 分数階 p-Laplacian 方程式の弱解構成と正則性解析, [2] 低階項つき分数階 p-Laplacian 方程式の弱解の高可積分性, [3] 分数階熱方程式の変分流の構成. これらの研究において基礎となる, 時間変数の離散化による後退差分法と, 最速降下曲線によるエネルギー勾配流の構成についての基礎研究も同時並行的に進めていく.
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Outline of Annual Research Achievements |
大きく分けて双曲型偏微分方程式の高可積分性の時間差分アプローチの研究、および、分数階放物型二重非線形方程式の弱解の存在と正則性についての研究を行った。実績の本質は、偏微分方程式の現代的取り扱いにあり、それは次のように概要を述べることができる。与えられた方程式に対して、古典解よりも広い関数空間の中での弱い意味での解の存在を証明し, これを弱解と呼ぶ。そこで得られた解は、あくまで弱い意味の解であるため、本来求めたい解の候補に過ぎない。そこで、得られた弱解について, 微分可能性や可積分性といった、いわゆる≪弱解の正則性≫を証明することが不可欠となる。 (1) 双曲型偏微分方程式の研究。弱解の1階導関数の可積分性を証明した。弱解を求める関数クラスにおいて、予め2乗可積分性は備わっているので, 目標は2よりわずかにでも高い可積分性になる。この研究では、[星野-菊池]による先行研究が知られている。そこにおける主要項の係数に対する楕円条件である Legendre 条件を Legendre-Hadamard 条件に弱め、先行研究と同じ結論を得ることを目指した。この研究成果は論文としてまとめている。 (2) 分数階放物型二重非線形方程式の研究。分数階方程式は非局所型方程式とも呼ばれ, 局所方程式が関数の定義域内の解の情報のみから基本性質が証明されるのに対して, 非局所方程式の場合は空間全体での解の情報が使われる. 実際, 主要項は「微分」ではなく空間全体で定義される特異性をもつ「微分差分」によって定義される。また、本研究で扱う方程式は時間微分項および、分数階項の両方に非線形性を有する「二重」非線型方程式である。発表された論文では, 条件を課した二重非線形問題に対する体積保存問題を解決した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 双曲型偏微分方程式の高可積分性。先行研究では取り入れられていない変分解析を可能な限り入れる試みを行った。その結果、弱解に対して定義されるエネルギー量の大局的な単調性不等式を導出することができた。エネルギー有界性の鍵を握るのが、汎関数の凸化である。係数条件である Legendre-Hadamard 条件が各点に対する条件ではなく、積分型で意味をもつ弱い条件であるため、扱う汎関数には凸性がない。このため, 指数関数を使った変換トリックを採用し、汎関数の凸化を行った。これにより、変分解析と一般臨界点解析、すなわち、方程式利用には差がないが、証明手法として他の設定の問題に対しても使える可能性がある点が有意義であると考えられる。また、上記変換によって得られる弱解の逆変換によって、本来求めたい弱解に直す議論にギャップがあることがわかり、その精密な評価を実現することができた。現在、投稿論文としてまとめている。 (2) 二重非線形分数階方程式の研究。時間微分項の指数と分数階項の指数に臨界条件を付加して得られる方程式の体積保存問題の弱解の構成についての研究を行った。この研究の基本原理は、考える方程式に対して, 低階項を0に置き換えることによって得られる、いわゆる≪プロトタイプ(原型)≫の方程式を考える点にある。プロトタイプの方程式の弱解は有限時間で消滅することが証明される。この消滅時刻に依存する常微分方程式の解を組み込むことによる≪Intrinsic スケーリング≫と呼ばれるスケール変換により、求めたい体積保存問題の弱解をとらえることができた。この結果は、論文として出版することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 双曲型偏微分方程式の高可積分性の研究に関しては、現在進めている方程式に≪消散項≫を付加した非線型方程式に応用する計画である。主要項の係数条件は Legendre-Hadamard 条件とし、同じく transformation トリックを使って解析を行う計画である。その際に、まず問題になるのが大局的評価の変分手法による解析であるが、それについては現在手掛かりを得ている。大局的評価さえ得られれば、局所評価に関しては先行論文とほぼ同じ証明が通用すると考えられる。 (2) 非局所方程式の研究については、時間微分と空間二重積分の指数に一切の制約条件をつけることなく、二重非線形方程式の弱解の存在を証明することができた。この結果は、間もなく出版予定である。また、得られた弱解の正則性(ヘルダー連続性)について現在研究を進めている。特に正値性の伝播に基づいた解析を目指している。正値性に関する、空間方向の測度に関する評価、DeGiorgi によって確立された時空における測度の評価、および、各点正値性評価の三つの補題が本質的に使われる。これらから正値性が伝播することを証明するために、指数関数変換を施す必要がある。以上の考察は、局所方程式については先行研究が知られている。本研究はその非局所方程式への理論適用と位置づけられる。非局所方程式の扱いでは、空間大局的なエネルギーを考えるため、必然的に Tail と呼ばれるエネルギー項が生じる。この扱いが研究の要となる。現時点では不自然と言わざるを得ない有界評価を仮定した結果である。最近、Kassmann-Weidner がこの難点を「線型調和関数」の問題で解決しこの分野における研究を一気に推し進める論文が発表された。今後、弱解のクラスの正則性から導出できるという点において自然な積分条件に置き換える研究を推し進める計画である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)