Project/Area Number |
22K03404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12030:Basic mathematics-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 克弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40213722)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | グラフ理論 / 極値問題 / ハミルトン閉路 / 緩和構造 / グラフの分割 / 閉路 / 大域構造 |
Outline of Research at the Start |
与えられたグラフにあらかじめ指定された部分構造が含まれるかどうかを判定するグラフ理論の問題について扱う。特に,辺の数や頂点の次数など様々なグラフ不変量との関連において,その最善な条件を追及する極値グラフ理論の研究を行う。部分構造としては主に,ハミルトン閉路に代表されるような大域的部分構造を扱う。どのような部分構造の存在判定が困難であるか,またどのような不変量と関連付けるとその存在判定が容易になるかについて,主としてハミルトン閉路を緩和した構造に着目して解明を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
グラフのハミルトン閉路に関する研究では,前年度に引き続いて,グラフのタフネスと禁止誘導部分グラフの条件による十分条件の研究を行った。特に,1-タフというハミルトン閉路が存在するための自明な必要条件を仮定したとき,k-連結グラフにどのような禁止誘導部分グラフ条件を与えるとハミルトン閉路の存在が保証されるかについて研究を進めた。k-連結グラフにおいては,最大の独立頂点集合の位数である独立数がk以下であればハミルトン閉路をもつ,というChvatal-Erdosの定理がよく知られているが,この定理の緩和条件となる禁止誘導部分グラフ条件を与え,少しの次数条件を加えることによって,ハミルトン閉路の存在が保証できることがわかった。 グラフの全域部分構造としてハミルトン閉路を緩和させたものとして2-因子の概念がある。2-因子の存在については,Tutteによる必要十分条件が知られており,アルゴリズム論的にも比較的易しい問題に分類される。しかし2-因子の連結成分数を抑える問題は,ハミルトン閉路問題とも密接に関連し難しい問題となる。本研究では2-因子の概念を緩和し,グラフの頂点集合をそれぞれが2-連結となるように分割する問題に着目した。そこでは,グラフの次数条件や独立数に関する既存の条件を大きく見直し,独立頂点集合上の新たな次数和条件と,次数和の抑えられた独立頂点集合の位数に関する新たな不変量を定義し,それらが重要な役割を果たすことを示した。 研究成果については,2023年12月に龍谷大学で開催された応用数学合同研究集会,2024年3月に大阪公立大学で開催された日本数学会年会(応用数学分科会)にて発表した。また2024年2月には,慶應義塾大学において継続開催している若手研究者らを交えた研究集会を開催し,関連する若手研究者らと情報交換や研究討論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,グラフの大域的部分構造として,ハミルトン閉路のような存在判定が困難である構造に着目し,その極値問題を様々な角度から考察している。グラフのタフネスとハミルトン閉路については,前年度に引き続いて研究を進め,禁止誘導部分条件により制限されたグラフのクラスにおいて一定の成果が上がった。どのような禁止誘導部分グラフに意味があるかについても進展が見られた。またハミルトン閉路を緩和した構造の研究においては,その過程で次数和と独立数に関連する新たな不変量を導入し,特に2-連結部分グラフへの分割問題において,それらの不変量が有効であることを確認した。また,平面グラフの緩和概念である1-平面グラフの全域部分構造についても研究が進んでいる。以上の理由により,研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
着目する大域的部分構造としては,引き続き,存在判定がアルゴリズム論的にも困難であることが想定されるものを中心に扱う。これまでの研究で扱ってきたハミルトン閉路に加え,それを緩和した構造についても研究していく。このハミルトン閉路を緩和した構造としては,連結成分数の制限された2-因子や,閉路のパッキング問題,さらには2-連結部分グラフへの分割問題などが有力な候補となる。2-連結部分グラフについては,最大次数を抑えるパラメータを導入するなどすることによって,閉路から緩和する度合いを調整することが可能である。この2-連結部分グラフへの分割問題においては,すでに部分的に成果が上がっており,そこでは新しい次数和条件を与える不変量が有効であることが分かっている。また分割の個数については,次数和の制限された独立頂点集合の位数の概念が関係することがわかっており,これら新しい着眼点から導入された不変量について,それらがどのような極値問題に関連するかについて探っていく。 グラフに位相幾何学的性質を考慮に入れて議論する場合,全域連結部分グラフや全域2-連結部分グラフについても,興味深い問題が生じる。平面上に描かれたグラフで,各辺が他の辺と高々1回交差することを許した1-平面グラフにおいては,全域平面グラフで連結なもの,あるいは2-連結なものの存在について,新潟大学の鈴木有祐氏や東京理科大学の野口健太氏らと議論する機会があり,一定の研究成果が得られつつある。元のグラフの連結度や他の不変量との関係についても議論し,存在条件の解明を進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)