Theoretical study of emergent quantum phase driven by orbital-lattice entanglement
Project/Area Number |
22K03507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩原 直也 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (90903188)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 動的Jahn-Teller効果 / 振電秩序 / 多極子秩序 / RIXS / 5d化合物 / Jahn-Teller効果 / スピン軌道相互作用 / 多極子相互作用 / スピン軌道Mott絶縁体 / 4d/5d遷移金属化合物 / ダブルペロブスカイト / 強相関電子系 / 電子格子相互作用 |
Outline of Research at the Start |
絶縁性のフラーレン化合物や金属酸化物の各構成要素において軌道格子エンタングルメント(動的Jahn-Teller効果)が形成される場合、その量子状態の秩序化や量子液体状態の発現が期待できる。本研究ではそのような協同現象を適切に記述できる理論を開発し、動的Jahn-Teller物質に現れる新奇量子現象の解明や予言を行う。開発した理論と第一原理計算を組み合わせて、実在する動的Jahn-Teller物質の基底状態を定量的に決定する。この研究を通して、絶縁体における動的Jahn-Teller相の基礎理論を確立し、今後軌道格子エンタングルメントに駆動される量子物性を調べるための土台を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、(1) d1ダブルペロブスカイトの基底状態を第一原理的に決定するための研究と、(2) d1ダブルペロブスカイトの共鳴非弾性x線散乱(RIXS)スペクトルの理論解析を行なった。また、昨年度中に投稿した研究成果が論文誌に掲載された。 (1) d1ダブルペロブスカイトの第一原理模型の導出を進めた。d1ダブルペロブスカイトの基底状態を定量的に記述するためには、各d1イオンにおける量子状態の決定と、イオン間の相互作用の決定の両方が必要である。前者については申請者が以前に計算を行っており、2年目の研究ではイオン間の相互作用を決定するための研究を進めた。申請者は1年目にイオン間の弾性相互作用が、振電多極子秩序を引き起こすことを示した。この考えに基づき、弾性相互作用に注目して研究を進めた。得られたフォノンバンドから、低エネルギー状態の記述に必要な自由度だけを考慮した弾性相互作用模型を導出した。第一原理計算ではd1サイトに直接作用する振動モードとしないモードが得られるが、後者の効果も取り込む有効模型を得ている。得られた有効弾性相互作用定数の大きさは、1年目の理論に基づいて多極子秩序の実験データを説明する際に予想される相互作用定数の大きさと矛盾しない。 (2) 複数のレニウム(Re)d1ダブルペロブスカイトのRIXSスペクトルの実験データを解析した。1年目に開発したd4, d5化合物で用いた理論手法をd1化合物に適用した。この解析によって、Reサイトにおいて軌道格子エンタングルメント(動的Jahn-Teller効果)が発現することが明らかになった。この結果は(1)の前提となっている仮定の妥当性を強めるものである。 2年目の研究成果は論文に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの2-3年目の目標は、d1およびd2ダブルペロブスカイトの基底状態を定量的に計算し、その相で誘起される物性を発見することであった。前者については、第一原理解析と実験データを定量的に比較し、振電秩序の存在を定量的に証明することも含まれる。 2年目の研究ではd1ダブルペロブスカイトを例にとり、有効弾性相互作用を第一原理的に導出することに成功した。第一原理計算の結果は、1年目に行なったd1ダブルペロブスカイトの理論解析で想定した弾性相互作用定数の大きさとおおむね一致することも確認できており、理論的枠組みと第一原理計算は今のところ両方妥当であることがわかった。この相互作用の導出が行えるようになったことで、有効模型全体を決定するためのスキームが完成したと考えている。ただし有効模型の全ての項の導出が完了したわけではないので、それらの決定、基底状態の定量的計算や新たな物性の探索、さらにd2ダブルペロブスカイトの解析は3年目に行う予定である。 第一原理解析のほかに、2年目はRe化合物の実験データ(RIXSスペクトル)の解析を行う機会を得た。複数のRe 5d1ダブルペロブスカイトのRIXSスペクトルを、動的Jahn-Teller効果を仮定することで再現することに成功した。このことから、これらRe化合物の各金属イオンサイトにおいて動的Jahn-Teller効果が発現することが確認できた。元々第一原理的に予言する予定であったが、実験データが現れたため、単一Reサイトの模型を解析することで実験データを定量的に再現した。実験データから得られた模型は、第一原理計算の結果の妥当性を確認するために役立つと考えている。 以上の成果はいずれも論文としてまとめ、投稿準備中もしくは投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、5d1、5d2ダブルペロブスカイトの秩序相の第一原理計算、そして新奇物性探索を行う。5d1ダブルペロブスカイトの有効模型の導出を完成させ、各物質の基底状態についての定量的知見を得る。得られた結果をRIXSスペクトルの解析結果などと比較し、その妥当性を確認する。また、秩序相についての情報を与えるx線スペクトルを第一原理模型に基づいて解析する。さらに、外部磁場印加した場合についてどのような相が現れるかなど、新奇量子相の予言を行う。得られた基底状態に基づき、巨視的な交差相関応答が現れる可能性について調べる。同様の解析を5d2ダブルペロブスカイトに適用し、その基底状態に関する知見を得る。 また、さまざまなd1ダブルペロブスカイトのRIXSスペクトルの解析を続ける予定である。複数の物質において複数種類のRIXSスペクトル(金属のL3端および酸素のK端を用いている)が報告されており、これらの解析を続けることで、動的Jahn-Teller効果が様々な物質において発現することを確立する。さらに、開発した手法を、d2ダブルペロブスカイトに適用し、この物質群において動的Jahn-Teller効果が発現するかどうかを実験的に検証するための手段を提案する。
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Report
(2 results)
Research Products
(24 results)