Thermodynamic Investigation on Shear-induced Phase Transitions
Project/Area Number |
22K03561
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13040:Biophysics, chemical physics and soft matter physics-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
鈴木 晴 近畿大学, 理工学部, 准教授 (50633559)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 定常ずり変形 / 熱量計 / 相転移 / 液晶 / ずり流動相転移 / 熱量測定 |
Outline of Research at the Start |
近年,液晶などのソフトマター分野において,ずり流動によって相転移が引き起こされる「ずり流動誘起相転移」と呼ばれる現象が注目を集めている.本研究では,その本質的なメカニズム解明には,熱力学的観点からのアプローチが必要であると考え,「ずり流動機構を組み込んだ熱量測定装置」を開発して,ずり流動誘起相転移の熱力学的なメカニズム解明を目指す.流動状態は,熱力学的には非平衡状態に分類されることから,将来的に,非平衡熱力学体系の確立に向けた実験的な基礎データの提供につながると期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
私たちは,液晶などのソフトマターで観測される「ずり流動誘起相転移」と呼ばれる現象に注目して,そのメカニズムを熱力学的な観点から説明することを目指している.本研究では,そのための実験的なアプローチとして,世界に先駆けて「定常ずり変形機構を組み込んだ熱量測定装置」の開発を行う計画である.令和4年度はプロジェクトの1年目にあたり,装置開発の方向性を探った.当初は,定常ずり機構と断熱型熱量計を組み合せた装置の開発を予定していたが,デモ機を用いて検討を重ねたところ,断熱型熱量計が目的に適していないことが明らかになった.これは,定常ずり変形機構に際して機械的な回転運動を導入することが原因であり,試料容器を固定する治具を通した熱の出入りによって断熱状態が目的の精度まで維持できないと判断されたためである.そこで熱量計を示差走査型熱量計に変更して,研究開発を進めた.この装置では,試料と参照物質の両方を同じ熱環境に置き,温度変化に伴う両者の温度変化から,相転移に伴う熱量変化を定量することができるため,定常ずり変形機構を試料と参照物質の両方に設置すれば,固定具を介して流出入する熱量は相殺されるという利点がある.1年目は,プロトタイプの装置設計,組立,計測器の配備を行い,測定ができる状況にまで漕ぎつけた.また,液晶物質8CBをモデル化合物として,測定条件を最適化させることで,定常ずり変形下の液晶相転移ピークを検出することに成功し,別途測定したずり応力のデータから摩擦発熱量を見積もることで,相転移由来する熱量ピークを単離することにも成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況はおおむね順調と評価できる.当初予定の断熱型熱量計は断念したが,示差走査熱量計を採用することで,定常ずり変形を加えながら相転移に伴う熱量変化を検出できたことは大きな進捗であった.また,定常ずり変形に伴う発熱の寄与を精確に見積もることが難しくなることが予想されたが,参照試料を空にして,基準の発熱をゼロにする方針を採用することで,試料由来の発熱量を,別途行うずり応力測定から見積もることができた.一方,測定データからずり変形による発熱を差し引く手続きは簡単ではなかった.様々な検証の末,原因が熱流束型示差走査熱量計に特有の温度遅延によるものだと明らかになったことから,この寄与の解析的なモデルを議論した過去の論文を参考にすることで遅延分を畳み込み,これを測定データから差し引くことで,転移由来の熱量変化を抽出することに成功した.この手法を液晶物質8CBに適用したところ,転移温度や転移エントロピーがずり速度に大きく依存しないことが明らかになった.これは,当初予想していた結果とは異なる結果であり,ずり変形に伴う構造変化は粘度や誘電率などでは顕著に検出されるが,分子運動の自由度という観点からは,エントロピー変化としてはごくわずかしか変化しないことが示された.一方,スメクチック相-ネマチック相の転移ピークの幅は,ずり速度を大きくすると幅広になることが示唆され,粘度測定で転移が複数ステップに分離することに対応するのではないかと考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で,液晶物質8CBについて,ずり変形を加えても転移温度や転移エンタルピーが大きく変化しないことが明らかになった.そこで,今後は2つの方針で研究を進める計画である.一つは,測定精度の改善である.ずり変形に伴う熱量変化を検出するには,より精度の高い装置を開発する必要があるが,そのための方策として,走査速度を大きくすることを考えている.示差走査熱量計では,走査速度が大きい方が,相転移に際して試料と参照物質との間の温度差が大きくなる.今回作製した示差走査熱量計では,昇温速度が0.3 K/minで,降温測定に至ってはその10分の1以下であった.これは,示量全体を均一に加熱冷却することに重点を置きすぎたため,熱浴のサイズが大きすぎ,熱容量が大きいために,速い速度で温度変化が出来なくなったことが原因であった.そこで,次の熱量計では,この熱浴のサイズを小さくする計画を立てている.また,温度やエントロピーが小さかったもう一つの理由は,8CB液晶が,分子が揃っても熱力学的状態が大きく変わらないためとも考えられる.そこで,分子の配向秩序化が熱力学的に大きく影響するような,配向と分子の運動の自由度がより密接に関わる液晶ポリマーを対象として研究を行うことを予定している.具体的には,シロキサン系のポリマーの側鎖に液晶メソゲンを導入して,液晶ポリマーを合成して,作製した装置で測定を進める計画である.また,ポリマーの長さが転移の変化に及ぼす影響についても調べを進めていく計画である.
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Phosphorescence of hydrogen-capped linear polyyne molecules C8H2, C10H2 and C12H2 in solid hexane matrices at 20 K2022
Author(s)
Tomonari Wakabayashi, Urszula Szczepaniak, Kaito Tanaka, Satomi Saito, Keisuke Fukumoto, Riku Ohnishi, Kazunori Ozaki, Taro Yamamoto, Hal Suzuki, Jean-Claude Guillemin, Haruo Shiromaru, Takeshi Kodama, Miho Hatanaka
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Journal Title
Photochem
Volume: 2
Issue: 1
Pages: 181-201
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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