Project/Area Number |
22K03585
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14030:Applied plasma science-related
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荻野 明久 静岡大学, 工学部, 准教授 (90377721)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | 水素キャリア / プラズマ / 水素化マグネシウム / 酸化マグネシウム / 水素化ホウ素ナトリウム / メタホウ酸ナトリウム / 還元 |
Outline of Research at the Start |
再利用可能な粉体水素キャリアとして注目されるNaBH4は、水との反応で多量の水素を生成できる。この水素発生反応後の副生成物NaBO2からNaBH4を再生する循環利用プロセス実現に向けてMgH2が重要な役割を担う。本研究では、MgH2生成に必要な原料コストを大幅に軽減することを目的とし、原料として安価に採取できるMg(OH)2またはMgO粉末を原料とするプラズマプロセスについて検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
固体系水素キャリアである水素化マグネシウム(MgH2)および水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)は、体積エネルギー密度が高く、常温常圧で安定であるため、水素を安全かつ効率的に運搬し長期保管できる。水素キャリアとしてMgH2およびNaBH4を実用化するには、その製造および運用コストの低減が必要であり、解決策の一つとして、水素発生反応後に生ずる酸化物をプラズマ処理により再生する研究を進めている。メタホウ酸ナトリウム(NaBO2)を直接NaBH4に水素化することは容易ではないが、MgH2を助剤とすることでNaBH4の生成効率が向上することがわかっており、MgH2生成技術が鍵となる。プラズマの水素イオンおよびラジカルを照射すると酸化マグネシウム(MgO)を水素化できるが、水素化反応の副生成物である水分子(H2O)および酸素(O2)がプラズマ中で解離され、酸化力の強いOHおよび酸素ラジカルが生じ水素化が阻害される恐れがある。本研究では、水素ガスに空気を混合してマイクロ波プラズマを生成し、プラズマを用いたMgOの水素化における空気混合の影響を調べた。その結果、MgO試料の温度が150~200 ℃の範囲では水素化が進むが、試料表面にMgH2層が形成されると水素の拡散長が低減して試料内部の水素化が阻害されることがわかった。また、試料温度が200 ℃以上になると水素脱離が加速する一方で、空気をプラズマ中に少量添加すると、250 ℃以上においても水素化が確認された。これは、空気混合によりプラズマ中で生成された酸素およびOHラジカルが試料と反応して水酸化物を形成した後、試料表面温度が高いと水酸化物が熱分解されてMgOが形成され、再びプラズマにより還元される反応サイクルの活性化によると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非平衡プラズマプロセスを用いてメタホウ酸ナトリウム(NaBO2)および酸化マグネシウム(MgO)を水素化し、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)または水素化マグネシウム(MgH2)に転化するする技術の実現には、1) NaBO2およびMgOのプラズマ還元処理とその評価、2)プラズマ処理条件の組み合わせと効率化の検討、3)効率化のためのメカニズムの理解が必要である。プラズマ処理の効率化に向け反応メカニズムを整理する中で、プラズマ還元反応で生成される水分子が、水素化において重要な役割を果たす可能性を示唆する結果が得られた。これまでに、ラングミュアプローブ法による電子温度、プラズマ密度の測定に加え、プラズマ発光分光測定ならび水素ラジカル入射量の評価を完了し、その結果をもとにプラズマ制御を高度化するとともに、複合的なプラズマ診断の結果から、反応メカニズムの検討を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
非平衡プラズマによる酸化マグネシウム(MgO)の水素化効率向上のため、反応メカニズムの検討を進める。これまでの研究より、試料温度250 ℃程度の空気混合水素プラズマ処理においてMgOの水素化促進が確認された。このプラズマ処理では、試料表面における水素の脱離と水素化の平衡反応が重要であり、MgOから水素化マグネシウム(MgH2)に至る中間体と考えられる水酸化物(MgOHx)の反応メカニズムの理解が必要となる。プラズマ処理の過程において生じるMgOHxの水素脱離は、主に加熱による脱離の他、イオン照射によるものと推測され、試料表面温度が高いと水素イオン照射の影響が増加すると予想される。これらの影響は、試料にバイアス電圧を印加して入射イオンのエネルギーを制御して処理した試料をX線光電子分光法およびラマン分光法により解析し、化学結合の変化を評価して検討する。また、試料温度が200 ℃以下でプラズマ処理した試料と比較することで、試料温度の影響を明確にするとともに、空気以外のガスを混合し、MgOの水素化における影響を比較検討する。
|