部分噴射マイクロ衝動タービンを用いた多目的熱発電システムの開発
Project/Area Number |
22K03896
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
柴田 貴範 岩手大学, 理工学部, 教授 (20902365)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 部分噴射 / 軸流タービン / 空力損失 / 1D CAE / 最適化 / 実験 / 数値解析 / マイクロランキンサイクル / 極低比速度 / 衝動タービン / 排熱発電 / 解析 |
Outline of Research at the Start |
近年、脱炭素化の流れが世界的に強まる中、太陽熱や地熱などの熱エネルギーの利用は進んでおらず、人工排熱も膨大に捨てられる状況にある。これら熱源は、小規模に分散して存在し、温度も常に変化することが有効利用の妨げの主因である。対応策の一つとしてマイクロランキンサイクル発電が注目されているが、膨張機を標準的なタービンとした場合、発電機回転数の制約から翼高さが極小になり、効率が悪い。そこで本研究では、タービンの入口流れを円周状の一部のみから流入させる部分噴射とし、かつ低い回転数でも大きな出力が得られる衝動タービンとすることで、制約条件下でも高効率なマイクロタービンの開発を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、部分噴射を考慮したタービンの翼形状を広範囲にパラメタサーベイできる設計システムを構築し、代表的な設計条件に対して流れ解析を援用しながら翼形状を最適化する。さらに、得られたタービン形状を実際に製造・組み立てて要素試験を実施し、達成効率を確認、他の膨張機形式と比べた時の部分噴射タービンの優位性を明確化することを目的としている。 令和5年度は、タービン効率の更なる向上と性能試験準備のため、次の【 】で括られた4項目に取り組み、以下の研究実績を得た。 【流れ解析による部分噴射率と回転数のパラメタサーベイ】 システム仕様に合わせて大局的に最適なタービン翼を選定するため、流量と出力を固定した条件で、タービンの部分噴射率、回転数、ガスパス平均径を広範囲に流れ解析にて探索した。それにより、昨年度よりも高回転数域にタービン効率が最大となる部分噴射率が存在することが明らかとなった。 【ベイズ最適化に基づく翼型創成システムの構築】 昨年度、開発した翼型創成システムに新たにベイズ最適化のアルゴリズムを加え、広範囲な設計パラメタ空間の中から効率的に最適解を見出す翼型最適化システムを構築した。これにより、動翼と静翼の翼型を同時に最適化できるシステムが完成した。 【高速ブラシレス発電機の試運転】 模型用の高速ブラシレスモーターと三相交流整流化装置を組み合わせた高速回転発電システムを構築した。別途用意したブラシレスモーターを動力源とした発電試験を行い、33660rpmまでの発電効率を把握した。 【高速回転軸系の設計】 高速回転数域に対応したタービン軸系を設計した。3Dプリンタで製作したタービンディスク系と金属シャフト、玉軸受けを組み合わせて軸系の重量不釣り合いを調べる高速バランサーを製作、バランシングのプロセスを構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画では、令和5年度中に、部分噴射タービンの要素試験装置を設計、製作し、達成効率や設計手法の妥当性を試験で確認する、としていた。しかし、広範囲に行った解析サーベイにより、当初計画よりも高速回転域にタービン効率が最大となる点があることが判明し、実績よりも高速で回転する軸系の開発にも着手する必要が生じた。それゆえ、タービン要素試験の実施を後ろ倒しにし、高速回転に対応した軸系および発電機の開発を優先した。その結果、当初計画よりも高いタービン効率を達成する見込みであり、単体要素としてタービン軸系および発電機部分の実証も完了している。現在、タービンケーシングおよび圧縮空気供給系の設計を進めており、準備ができ次第、タービンの性能試験に着手する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、これまでの検討で得られた有望設計案に対して、部分噴射タービンの要素試験装置を設計、製作し、達成効率や設計手法の妥当性を試験で確認する計画にある。簡便のため、作動媒体は空気を用いた等価試験とし、あくまで設計手法の妥当性検証に焦点を当てたものとする。令和5年度に開発した発電系とタービン軸系を流用することで、軸振動用のトラブルを回避することとする。そのような方針のもと、より具体的には以下を実施していく予定である。 【タービン要素試験装置の設計、製作、試験】 これまでの検討により、タービン翼部および軸系、発電機部の設計は完了している。現在、検討中の圧縮空気の供給系統およびタービンケーシング部の設計を完了させることで、タービンの性能試験が実施できる見込みである。試験における性能や信頼性の確認のための計測方法の検討も行い、温度、圧力などの計測機器や軸振動計など、必要な計測機器の選定を行っていく。準備ができ次第、タービンの回転試験を実施する。翼部については、3Dプリンタを使って製作が可能であり、性能上の改良の余地を見出したら、改良案を製作して試験する。 【ベイズ最適化によるタービン翼の更なる改良】 昨年度開発したベイズ最適化の技術を用い、タービン効率のさらなる向上の余地を精査する。さらに、部分噴射にまつわる損失の発生メカニズムについての調査も進め、そのような損失の低減方法がないかも、流れ解析を援用して追加検討していく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)